Ho New / Reuters
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NASAのハッブル宇宙望遠鏡は1990年4月24日に打ち上げられ、すでに31年半もの長きにわたって遠い宇宙を見つめてきました。しかし近年は故障が相次ぎ、最近でも7月にコンピューターの不具合が発生したほか、10月23日に制御装置と観測機器間の同期通信がうまくいかない問題が発生して、25日にNASAは宇宙望遠鏡全体をセーフモードに落とす措置を講じています。

ISSよりもさらに高い軌道に位置するハッブル宇宙望遠鏡は日頃から強い宇宙線に晒されているため、ときおり高エネルギー粒子の衝突によって勝手に機器が作動してしまうといった細かいトラブルは起こります。しかし、原因がわからない現象の場合は運用チームには細心の注意が求められます。可能な限りこのシステムを生きながらえさせ少しでも多くの観測ができるよう、急激な電力の消費や温度変化を避けつつ、各部機器をひとつひとつ再起動してその状態を確認しつつ、全体の再稼働をおこないます。

技術者は11月7日に、ACS(掃天観測用高性能カメラ)の再起動に成功しました。この機器は2002年にハッブルに追加された新しめの機器で、運用チームはこのカメラでの科学観測を再開しつつ、しばらくこれを動かして正常に使えるようなら、この機器に関連する別の機器の再起動と試験をおこなう予定です。

ハッブル宇宙望遠鏡が打上げられた当時はスペースシャトルがまだ現役で、もともと10年の運用期間しか予定されていなかったこのスクールバス大の観測機を5回も訪れては、メンテナンスや増改築を施し、その寿命を延ばしてきました。しかし最後の現場メンテナンスは2009年5月に実施され、その後はスペースシャトルの退役もあってトラブル対応はすべて地上からの遠隔操作でおこなわれています。

ハッブルは現在も重要な観測や研究、新たな発見に貢献し続けていますが、完全に機器が故障してしまえば、もはやその部分を修理しに行くことはできません。

運用チームは今回のトラブルもなんとか復旧しようと奮闘しています。しかし、その困難な努力からはもうすぐ開放されるかもしれません。NASAは1か月後の12月18日にジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の打上げを予定しています。この次世代の宇宙望遠鏡は主に可視光を観測するハッブルとは異なる波長(赤外線)で宇宙を眺めるものの、宇宙の最初の世代の星の誕生など、遠い宇宙の現象を観測することを目的としており、やはりこれから多くの重要な発見に貢献することが期待されています。

満身創痍ながらもなんとか活動を続けてきたハッブルですが、バトンを次に渡す時まであと少しの踏ん張りを期待したいところです。

Source:NASA

via:Space.com