ジャストシステムがWindows版定番ワープロアプリ、一太郎の次期バージョンとなる『一太郎2021』を発表しました。今バージョンは標準の無印と、上位版となる『一太郎2021 プラチナ』の2グレード構成となります(現行版2020と同じです)。

発売日は2021年2月5日、価格は無印が2万円(税別)、プラチナが3万8000円(同)と、現行と同価格です。

合わせて、同社製日本語入力システム(日本語IM、かな漢字変換ソフト)であるATOKも新バージョンに。Windows向けは、月額制プログラム『ATOK Passport』ユーザー向けに2021年2月1日より提供されます。

新ATOKは口語変換が強化され、校正支援機能は「千葉県幕張市」や「(福岡県)博多市」、「神奈川県町田市」といった地名の誤りを指摘するように強化。ともすれば友情や信頼にヒビが入る悲劇を防ぎます。

また、Android向け『「ATOK for Android [Professional]』は、先行して12月1日(つまり本日)より更新。

ユーザーの入力ミスを自動修復して想定文字を補完する機能『ATOK ディープコレクト』をAndroid版として初搭載し、フリック入力(テンキー形式)やジェスチャー入力で起こりがちな、指の細かなズレなどによる誤入力を補完し、推測変換候補を提示します。


スマホアプリとの連携を強化した一太郎2021

▲ある意味で今回の主役となる、一太郎Pad新バージョン。ハッシュタグ的なマークアップによる見出しなどの指定に対応します

一太郎2021での大きな改良ポイントは、スマートフォン・タブレット(iOS/iPadOS/Android)用のメモアプリ『一太郎Pad』との連携を強化し、双方向で文書のテキストデータの送受信が可能になった点。

一太郎Pad自体は現行の一太郎2020に合わせて提供されたOCR機能搭載のメモアプリですが、現行版は一太郎への転送が基本でした。これが2021では、一太郎からPadへの転送にも対応し、より場所や時間を選ばない文書作成・編集が可能になります。

これに伴い、Pad上でも大見出しや中見出しといった書式指定の文字列が追加。これらを付けた文書を一太郎側で開くと、大見出しや中見出しとして認識されます(筆者のように初期から一太郎を使っているユーザーにとっては、Ver.3などの「.jxwファイルがテキストとして使えるので、他のアプリと連携させる」ノリを連想するかもしれません)。

▲一太郎ならではと呼べるスタイルセットはさらに扱いやすく。ある意味で「らしい」、教科書体を活用したセットなども用意します

また、昨今の一太郎で重視されている「スタイルセット」もよりモダンに更新。基本フォントを「游明朝」「游ゴシック」中心に変更し、作成する文書の印象がより上品な雰囲気となるようにデザインされています。

合わせて、新規文書作成時の初期設定となるフォントを「游明朝」に変更。画面上でも読みやすさを目指しています。

一太郎 ATOK 2021
Engadget Japan
校正支援機能はビジネス文書向けの用例を増加。「間違いではないが避けたほうがベター」的な例も指摘されるため、新社会人などには心強いところ

さらに文書校正機能では、ビジネス文書向けの機能を充実。「ご連絡させていただきます」「ご利用できます」といった、いわゆる間違いではないがビジネス文書には不適切な表現や、一部企業名の「前株・後株」までもチェックできます。


▲文書整形機能「きまるスタイル」では学教向けを強化。定評ある機能がさらに便利になっています

上位版『一太郎2021 プラチナ』は、一太郎本体と『ATOK for Windows 一太郎 2021 Limited』(この2アプリは無印と共通)に加え、隠れ名物と呼べるグラフィックソフト『花子 2021』、音声読み上げソフト『詠太 11』、さらに筑紫書体やUDフォント、『新明解国語辞典 for ATOK』『新明解類語辞典 for ATOK』の日本語辞書2種、『JUST PDF 4 [作成・編集・データ変換]』など、便利なアプリをセットに。

とくに小説作成者などにとっては重要アプリとなる詠太は、男性声で2人目となる音声合成話者『TAKERU』が新たに参加。小説などを手がけるユーザーから要望されていた、男性話者同士の読み分けがついに可能になりました。


「神奈川県町田市の悲劇」を回避。ATOK新版は地名の誤りを指摘

▲変換中に指摘される訂正候補を見逃した場合でも、後から確認できるビューアを新たに搭載。指摘された文書だけでなく、ATOKで入力していたアプリ名も確認できます

さて、ユーザーの利用時間が長い(一太郎以外でも使われる)ことから、ともすれば一太郎以上に注目されるのが、ATOK新バージョン。

今回の強化では、口語が多用されるSNS時代へ向けての強化が中心。変換エンジンとなる『ATOK ディープコアエンジン』の適用範囲を拡大し、これまで相対的に弱かった話し言葉に対する変換を強化。

「こないだの件どうなった?」や「めちゃ早ですね。助かりました。あざっす。」といった、チャットで使われる口語に対しても一発変換が可能になっています。

さらに校正支援機能では、存在しない地名を指摘するという、地味ながら重要な強化を導入。

「千葉県幕張市」や「福岡県博多市」などありがちなカン違いにはじまり、都道府県名の組み合わせ違いにも対応。「神奈川県町田市」という間違いのような、いわゆる“人によっては譲れない一線”となるミスも検知し、訂正候補を提示します。

さらにWebブラウザ上など、文字色での校正支援指摘が加わった際に確認しにくい場合に向け、「ATOK 校正支援 見逃し指摘ビューア」機能も搭載。確定後に指摘された箇所の一覧を確認でき、文書の見直しに役立ちます。


このように2021年版一太郎とATOKは、アプリとしての実力を着実に向上させつつも、これまでジャストシステム製アプリが苦手としてきた――というよりは敬遠してきた、と表現すべきでしょうか――口語への対応やスマホアプリとのより密接な連携など、新機軸も盛り込んだバージョンと呼べるアップグレード。

とくにWindows版ATOKは、ある意味で「SNS時代に合わせた強化」とも呼べそうな強化点だけに、他の日本語入力システムを使っているユーザーも変換精度が気になるところでしょう。個人的にも(現行ATOKユーザーということもありますが)地名にまつわる悲劇を防げるという点などから、ぜひ使ってみたいバージョンです。

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