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アップルがWWDC 2020の基調講演にて発表した、Macのプロセッサ移行計画。「2年をかけて、独自開発のAppleシリコンへ移行する」と発表し、実際に11月にはM1チップ搭載Macの3機種を発売して以降、かつての盟友だったインテルとの関係は冷え切っている印象があります。

そんな中、2月にインテルCEOに就任したばかりのパット・ゲルシンガー氏が、いずれはAppleシリコンの製造を請け負うなど関係を修復したい、と発言しています。

この発言は23日(米現地時間)、ゲルシンガー氏が米アリゾナ州に200億ドル(約2兆1700億円)を投じて新工場を建設する計画や、他社開発品の量産を受託生産する事業に乗り出すと発表した直後のことです。

米Yahoo!Financeのインタビューでゲルシンガー氏は、PCの需要はここ10年半を通じて最高潮に達しており、チップメーカーの競争力が復活したのは明らかだと発言。そして世界はもっと多くの技術革新を必要としているなかで、アップルとMacのエコシステムとは「競争する楽しみがある」と意味深なことを述べています。

この発言は、最近インテル製チップ採用のノートPCがM1チップ搭載Macよりも優れていると主張するキャンペーンを展開していることと、深い関係があると思われます。

インテルは、かつてアップルのCM「Get a Mac」にMac役で出演していた俳優を起用して「Macでゲームを遊ぶ人はいない」というゲーマーに対して相づちを打たせるYouTube動画を公開したほか、「Go PC」サイトを開設してM1 Macをこき下ろしています。

もっともこのキャンペーンに対しては、複数の海外メディアから「インテルがAppleシリコンを怖がっているのは明らか」と評されていました。

しかしゲルシンガー氏いわく、すでにアップルのティム・クックCEOとの関係修復を打診しているとのこと。さらに「アップルは顧客であり、彼らをファウンドリ(半導体の製造を請負う企業)の大手顧客にしたいと思っています」と述べ、Appleシリコンの製造を担当したい意向を示唆しています。

そしてこれは、インテルがそう望んでいるというのみならず、ゲルシンガー氏はそれが十分に現実味があると思っている模様です。

同氏は「なぜなら、現在アップルは台湾セミコンダクター(TSMC)に完全に依存しているからです」として、台湾TSMCにiPhone用のAシリーズチップやM1チップ等の製造を頼り切っており、代替生産企業のない危うさを指摘しています。

さらに続けて「私たちはクアルコムやマイクロソフトが当社のファウンドリを活用しているように、アップルが当社のファウンドリサービスを活用するための素晴らしい選択肢を提供したいと考えています。我々は、世界のどこにもできないような素晴らしい技術を提供していくつもりです」とラブコールを送っています。

昨今はちょうど、米国のインド太平洋司令官に指名されたジョン・アキリーノ氏が、中国による台湾侵攻の脅威は「ほとんどの人が考えているよりも差し迫っている」と警鐘を鳴らしたばかりであり、アップルとしても台湾TSMCに依存しすぎるリスクは減らしたいはず。

しかし、インテルが半導体製造プロセスの7nm移行に苦戦している間に、すでにTSMCはiPhone 12シリーズ向けのA14 Bionicを5nmで量産しており、競合他社との技術格差はしばらく埋まらない見通しです。実際にインテルが再びアップルに振り向いてもらうためには、数年の歳月を要するのかもしれません。

Source:Yahoo!Finance

via:MacRumors