アップルがiOS 14で導入予定のプライバシー保護強化に対して、フランスにて広告会社や出版社が反競争的であるとして規制当局に苦情を申し立てたことが報じられています。

iOS 14では広告主がパーソナライズドされた広告(ターゲティング広告)を配信し、宣伝効果を追跡するために使う広告識別子(主にFacebookが提供する広告追跡ツールAudience NetworkのIFDA)がユーザーの明示的な同意なしには取得できなくなります。

すなわちユーザーが不同意の場合は個人が識別できず、ターゲティング広告が無効化されるためFacebookは広告業界に警告を発しました。アップルもそうした懸念に配慮したためか、本来は9月に導入予定だったところを2021年初めまで延期しています

さて、今回の件を報じたThe Wall Street Journal記事によると、今回の苦情申し立ては正式導入に先立ち、フランスの広告会社や出版社の業界団体が行動を起こしたものです。

その訴えにいわく、追跡に同意するユーザーはほとんどおらず、ゲームメーカーからニュース配信元まであらゆる企業がパーソナライズド広告を配信することを難しくし、広告業者にとっても厳しい状況をもたらすとのことです。

実際、上記のFacebookによる警告でも、iOS 14の影響が予想よりも大きく、広告収益が50%以上も減少する可能性があるとの見解を表明していました。

これに対してアップルは「プライバシーは基本的権利です」との従来の主張を繰り返し「ユーザーのデータは本人に属しており、データを共有するかどうか、誰と共有するかは自ら決めるべきです」と付け加えています。

ちなみにアップルは9月、2021年初めまで導入延期のアナウンスに際して、「アプリごとに」追跡の許可を求めるプロンプトが表示されるとの声明を出しています。「開発者に変更を行う時間を与えるため」として猶予はしていますが、その方針は揺るぎなく、断固として実施されるもようです。

なお、アプリによる広告識別子へのアクセスを一律に禁止することは、iOS 14の[設定]>[プライバシー]>[トラッキング]から[Appからのトラッキング要求を許可]をオフにすると可能です。その一方で許可した場合でもアプリごとに許可を求められることになることから、アップルと広告業界との軋轢はさらに深まりそうです。

Source:The Wall Street Journal