新型iPad Airから推察するA14世代Apple Siliconへの期待(本田雅一)

新iPhoneとともに隠された秘密が明らかになるはず

本田雅一
本田雅一, @rokuzouhonda
2020年09月27日, 午前 08:15 in ipad 2020
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先日行われたAppleの発表会は、当初よりiPhoneの発表が期待薄だったことから、あまり盛り上がらないのではないかという懸念を持っていましたが、お買い得価格ながらPro並みの機能性を持つiPad Airの登場などもあり、蓋を開けてみれば予想以上に盛り上がりました。

そうした中で、個人的に注目していたのがiPad Airに搭載されるプロセッサがどのような物になるか? でした。

通常ならば、この時期にはiPhoneの新型が投入され、そこに搭載される最新のApple製SoC(Apple Silicon)が話題になります。というのも、iPhoneに搭載される最新プロセッサは、他のApple Siliconを搭載するApple製品を示唆する側面があるからです。

Appleは出荷量が多いiPhone向けにSoCを開発し、そのSoCを基礎に他の製品へと展開していきます。

ところが、今年はiPhoneの発表が9月になかったため、その起点となるプロセッサがこの時点で発表されるのかどうか? 発表されるなら、どのような性能と機能を備えるのか?という部分が気になっていたのでした。

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A14 Bionicにみるアップルのバランス感覚

Appleが独自のSoC、Apple Siliconを開発する理由は、最終的に作りたい製品のために必要な構成要素をまとめていくためです。

通常は汎用のSoCを使って製品を設計しますが、Appleのアプローチは違います。彼らは目標とするユーザー体験があり、その目標を達成するため必要なハードウェアやソフトウェア、サービスを準備します。その中でハードウェアを開発するために必要なものとしてSoCレベルから設計するのです。

専用に作るといっても、使うことができるトランジスタ数には限りがありますから、それらをどう振り分けて必要な機能、性能を実現するかのさじ加減を見れば、Appleがどんなことを重視しているのかを類推できることになります。

例えばiPad Proに使われているA12Z Bionicには、ベースとなる同じ世代のiPhone用SoCであるA12 Bionicがあります。前者は100億個、後者は69億個のトランジスタを集積しています。

差分の31億個にのぼるトランジスタは高性能CPUコアを2個から4個、GPUコアを4個から8個に増やしたことに費やされていますが、実は他にも多数の変更が加えられています。

コア数以外のもっとも大きな違いは、メモリを共有する高性能コアとGPUの倍増に対して、メモリアクセスの帯域を増やしていること。必要な機能と性能のバランスに対し、適切にコア数構成などを計画し、それに合わせてSoC全体を設計するわけです。

A14 Bionicが搭載するトランジスタは118億個。その前の世代のA13 Bionicは85億個でしたから、製造プロセスが7nm+世代から5nmになったことで33億個が増加していることになります。その増加分をどのように振り分けていくかに、Appleが端末をどのように作りたいと考えているのかのバランス感覚が表現されているとも言えるでしょう。

大胆に増加したNeural Engineについての言及は限定的

A14 Bionicでは高性能CPUコアがA12世代に比べ40%高速化(A13世代比では推定16.6%向上)、CPUは30%向上(A13世代比では推定9%向上)しています。またA13世代で導入されていた機械学習処理を加速させる行列演算アクセラレータも第二世代に更新されました。iPhone 11のカメラ画質を大幅に高めたISP(イメージシグナルプロセッサ)の能力も向上していると言います。

これらは確実に採用するiPhoneの能力を高めるでしょうが、過去の性能向上幅に比べると、やや物足りないと感じるかもしれません。しかし、もともとAppleの高性能コアはスマートフォン向けとしては異例なほど高性能でした。

今回の更新では、増分のトランジスタを他の要素に割り当てたのだと考えるべきでしょう。A14 Bionicの変更点で、もっとも多くトランジスタ増分が割り当てられたと思われるのはニューラルネットワーク処理を加速させるNeural Engineです。

A13 BionicではA12 BionicのNeural Engineよりも20%高速化されていましたが、コア数は8個と同じでした。ところがA14Bionicでは16コアに倍増しており、演算能力もその分向上しています。A12世代は毎秒5兆回、A13世代では毎秒6兆回だった演算能力は、A14世代では11.8兆回と飛躍的に高まりました。

こうした大幅に増加したトランジスタリソースの割り当ては、最終製品に搭載する機能と連動すると考えるべきです。ところがiPad Airの発表では、この点にほとんど言及されていませんでした。

言い換えるならば、iPhone 12という名称になることが予想される次期iPhoneでは、大幅に増加したNeural Engineを用いた何らかの機能が用意されているのかもしれません。

Neural EngineはFace IDによる顔認識やカメラ画質向上などにも使われています。iPad AirではサスペンドボタンにTouch IDが組み込まれていましたが、ここでもNeural Engineが使われています。マスク社会になってFace IDが使いにくいものになっていますから、生体認証に関する新しい要素が盛り込まれる可能性もあるでしょう。

あるいはカメラの画質や機能、写真や動画の自動分類や検索、自動的なレタッチ処理などが、あらかじめ仕込まれているのではないでしょうか。これほど多くのリソースを割り当てながら、ほとんど言及がないというのは不自然です。

A14世代ではiPad Pro/Mac用の高性能版登場にも期待が

ところでA13世代ではCPUコア、GPUコアの数をそれぞれ増やし、メモリ帯域を増やした”X”バージョンが開発されませんでした。これはA13世代とA12世代の製造プロセスが近いためと推察されます。仮にA13世代の設計でA13X Bionicを設計してしまうと、大幅にトランジスタ数が増加してコスト的に見合わないチップになってしまいます。

しかし、今年はApple Silicon搭載Macも予定されていますし、iPad Proも来年春ぐらいにはフルモデルチェンジがあって不思議ではありません。iPad Airに対する差別化も必要ですからね。

さらに製造プロセスが5nmまで微細化されましたから、今世代はXバージョンも設計されるでしょう。順当ならばCPUは高性能コアが4個、GPUも8個になるのでは。となれば、それぞれA12Zに対してCPUで40%、GPUで30%の高速化が見込まれ、Neural Engineは2倍以上、機械学習処理は10倍に高速化されます。

この見込みはiPad Proで使われている、あの超薄型筺体向け構成での見積もりですから、もしMacBook Proなどに搭載するのであれば、もっと高い性能を引き出せるでしょう。

Intelが発表した第11世代CoreプロセッサのTiger Lakeでは、搭載されるシステムの熱設計によって性能が大きく変化します。冷却システムと搭載半導体の性能は本来連動するものですから、当然と言えば当然です。

iPad ProとMacBook Proでは、許容できるSoCの発熱量が2倍以上違うはずですから、Apple Silicon搭載Macの性能はかなり高いものになるはずです。Tiger Lakeとの直接対決が興味深いですが、Neural EngineやMLアクセラレータ、ISPをMacでどう活用するかについても、発表時には製品の機能や性能として反映されたものになるのではないでしょうか。



 

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