iPad Junya Ishino

M1チップを搭載したiPad Proが発売されてから、10日ほどが経ちました。筆者は、発売日に5G対応のCellular+Wi-Fi版を購入。18年に発売された、初代11インチ版iPad Proからの買い替えになります。本サイトには、先行して試用できた12.9インチ版のレビューが掲載されていますが、入手したのは買い替え前と同じ11インチ版。その使用感をここでお伝えしていきます。

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▲M1搭載のiPad Proは11インチ版を購入した

同じiPad Proという名称ですが、21年モデルは、12.9インチ版と11インチ版に大きな差があります。ミニLEDを使ったディスプレイの有無がそれで、12.9インチ版のみ、ディスプレイのピーク輝度やコントラスト比が大きく改善されています。逆に言えば、11インチ版は第1世代や第2世代とディスプレイは同じ。映像の美しさを重視するのであれば、12.9インチ版以外の選択肢はありません。

ただし、実際に両方のサイズを使い比べてみると、やはり12.9インチ版は携帯性に課題があります。元々サイズが大きく、持ち運ぶには大きなカバンが必要な上に、ミニLEDのディスプレイを採用したことで重量も20年モデルより増してしまいました。Magic Keyboardを一緒に持ち歩く場合、重量差はさらに大きくなります。取り回しのよさで言えば、11インチ版の圧勝。ディスプレイの美しさは映画などを見る大画面のテレビで堪能すればいいと割り切り、携帯性を取って11インチ版を選んだ次第です。

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▲片手でヒョイっと持ち上げて、ネットや電子書籍を楽しめるのは11インチ版の携帯性があってこそ

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▲カバンにも収まりやすい。キーボードが不要な時は、単体で持ち運んでいるが、その軽さも11インチ版の魅力だ

11インチ版に限って言えば、20年モデルとの大きな差分はM1チップと5G対応。センターフレーム対応の超広角なインカメラも、前モデルとの違いになります。また、M1の搭載に伴い、メモリ(RAM)も6GBから8GB/16GBに増量されています。筆者が購入したのは、ストレージ(ROM)が256GBのモデルになるため、8GBのメモリが搭載されている格好。18年モデルからの買い替えなので、8GBでもメモリが倍増していることになります。

M1チップの性能に関しては、12.9インチ版のレビューで折り紙つきですが、動作は非常に滑らか。18年モデルだと、複数アプリを同時に起動していると、ものによっては少し動作に引っかかりがありましたが、最新版はどのアプリもスムーズに動きます。と言っても、筆者のiPad Proの用途は、メモアプリでメモを取ったり、エディタで原稿を書いたりといった、軽めの作業が中心。電子書籍を読んだり、動画を見たりといった使い方もしているものの、正直なところ、そこまで劇的に高速化したというわけではありません。

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▲11インチ版のベンチマーク。Geekbench 5はメモリの影響を受けないためか、レビューした12.9インチ版とほぼ同等

ただし、「GoodNotes 5」で校正をするときの動作は、以前より軽くなった印象があります。コロナ禍で頻度は低下していますが、取材現場に出てその場で原稿を書き、写真の補正をするようなときにも、M1のパワーは生かせます。本格的な動画編集はしませんが、単純に数本の動画をつないだり、音声を消して再エンコードしたりといった操作も、スピーディになりました。まだまだ性能を生かし切れていない感はありますが、高速化したことは歓迎できます。

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▲動画の簡易的な編集をしたときのスピードは、18年モデルより大幅に上がっていた

5G対応も、期待していたポイント。上記のように、取材現場で使う際に通信が高速なのは重要だからです。残念ながら、コロナ禍でリアルな発表会が激減しているうえに、まだまだエリアは狭いため、10日間使用した範囲で5Gが役に立った場面はありませんが、緊急事態宣言が明けて、リアル発表会が増えれば、活躍の場面が増えるはずです。せかっくなので、あえて5Gエリアに持ち込んでスピードテストしてみましたが、速度は非常に高く、期待が持てます。

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▲5G対応も、iPad Proを選んだ理由の1つ。タブレットで5G対応となると、まだまだ選択肢は少ない

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▲ドコモの5Gエリアに持ち込んでみたが、つながると速度は速い

iPad Proは、ZoomやTeamsなどのオンライン発表会にも使っているため、センターフレーム対応もうれしい進化の1つです。1人でオンライン発表会に参加していると、あまりカメラの位置を気にする必要はありませんが、見やすさを調整するため、Magic Keyboardに装着した本体の角度を変えることがあります。従来だと、その角度に合わせて体も動かしていましたが、センターフレームのお陰で、それが不要になりました。純正のFaceTimeのみならず、主要なオンライン会議ツールに対応しているので、利用する機会も多くなります。

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▲Zoomなど、主要なアプリがセンターフレームに対応している

このぐらいの用途だと、20年10月に発売されたiPad Airでも事足りてしまう印象を受けるかもしれませんが、iPad Proならではの欠かせない要素もあります。1つはFace ID対応。特にキーボードを使いながらの場合、わざわざ指を離してTouch IDに指を触れるのは、少々面倒です。リターンキーを叩くだけで勝手に認証してくれるFace IDの方が、自然にロックを解除できます(ただし、コロナ禍でマスクを着用する必要があるので、発表会などの出先では使い勝手が悪化することは付け加えておきます)。

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▲Face ID対応が、iPad Airとの大きな違い。キーボードをたたくだけで顔が認識され、ロックが外れるのが便利だ

iPad Airは、6万9080円からとリーズナブルなハイエンドタブレットですが、これはあくまで最小構成の話。筆者の購入したiPad Proと同じ、256GB、セルラー版だと、価格は10万4280円に跳ね上がります。これに対し、11インチ版のiPad Proは、256GB、セルラー版で12万4800円。価格差は2万520円しかありません。iPad Proのストレージを128GBに減らせば、11万2800円とその差は8520円まで縮まります。iPad Airは64GBか256GBの二択になりますが、筆者の経験上、64GBではいくらクラウドに頼っても、容量が不足しがち。かと言って、256GBを選ぶと、iPad Proと価格差が埋まってしまうというわけです。

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▲筆者は256GB版を購入したが、最小構成が64GBから128GBに上がっているのも細かな進化点

こうした視点で見ると、最小構成の容量が128GBのiPad Proは、iPad Airではちょっと物足りないという人にいい選択肢です。256GB同士でも2万円程度の差で、チップセットがM1になり、5Gに対応しつつ、メモリが増え、Face IDやセンターフレームが使えるのであれば、iPad Proを選んでおいて損はありません。ミニLED搭載の12.9インチ版が話題を集めがちなiPad Proですが、11インチ版は、それとiPad Airの間を埋めるような、ちょうどいいiPad Proに仕上がっていると言えそうです。