shikAI

東京メトロは1月27日に視覚障がい者が安全に駅構内を移動するためのシステム「shikAI(シカイ)」を公開し、記者向けの体験会を開催した。同日より運用を開始しており、専用アプリ(対応はiPhoneのみ)をダウンロードし、東京都盲人福祉協会のスタッフから講習を受けたユーザーのみ使えるようになっている。

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▲体験会が開催された「西早稲田駅」

アプリなどシステムを開発したのは「リンクス」。開発は2017年からで、3回の実証実験を経て今回の運用となっている。使い方は、対応する駅でスマートフォンを起動して、メインメニューでナビゲーションを選択。対応駅には点字ブロック中央にQRコードが貼り付けてあり、それを読み込むとその場所から行ける対応駅の出口など、目的地が表示されるので、タップして選択するとルートを策定してくれる。

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▲駅構内の点字ブロックにQRコードを貼り付けてある

体験会が開催された「西早稲田駅」には、QRコードが曲がり角や階段、エスカレーター前、ホームドア前といったポイントの点字ブロック上に約1400枚貼り付けてあるとのこと。各ポイントには同じQRコードが複数枚の点字ブロックに張られている。そのためスマートフォンのカメラを地面に向けていれば、どれかのQRコードはカメラで読み込める仕組みだ。

点字ブロックのQRコードを読み込むと、策定したルートに合わせて音声によるガイドをしてくれるので、それに従って移動していく。たとえば階段の前にいくと、「階段が●●段あります。途中踊り場があります」といった具合。ルートから外れたポイントのQRコードを読み込んだときは「誤った方向に進んでいます」とガイドし、正しいルートへと案内する。

ちなみにアプリのインターフェースは視覚障がい者でも使いやすいように、大きな文字やアイコンが使われており、タップするとそのボタンを音声でガイドする機能もある。また案内も音声だけでなく、振動でも教えてくれる。

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▲shikAIはボタンや文字が大きなインターフェースで、文字サイズは変更可能

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▲目的地は各駅の出口のほか、トイレなども指定可能

実際に視覚障がい者の方のテスト風景を拝見したが、概ねガイダンスの案内のとおりに誘導できていた。利用者からも「不安ではあったがちゃんと使えた」と好評だった。

ただ現状では片手に白杖、片手にスマートフォンというスタイルになるため、両手がふさがってしまう。体験者に話を聞くと「いざというときに危ないので両手がふさがるのはちょっと怖い」とのこと。こういった点について開発を行ったリンクシスの代表取締役会長 小西祐一氏は「クビからぶら下げてQRコードを読み取れる位置に固定するネックバンドのようなものを使えば、解決できそう」と話している。

現状対象駅は西早稲田と北参道駅、明治神宮前駅、新木場駅、辰巳駅の5つ。4月にはさらに4駅が追加され合計9駅になる予定とのと。さらに対応駅を増やす計画もあるが、その際はホームドア設置が条件となっている。

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▲shikAIの運用はホームドア設置が必須条件

こういったシステムの場合、例えば白杖自体にセンサーなどを取り付けた「スマート白杖」などを開発したほうが良いようにも感じるが、リンクシスの小西氏は「専用デバイスの開発にはコストもかかる。スマートフォンのように一般的に使われているデバイスを活用することによって、使用者の導入コストも抑えることができる」とのこと。

今回の体験者のひとりは「私たちがホームドアの設置を訴えてきても、一部の駅で実現するまでに何十年とかかっている。いつも歩くときは命がけで、何人も命を落としてきた。こういった取り組みをもっと進めて欲しい」と切実に話していた。

ITの進化で誰もが安全・安心に移動できるシステムの誕生を期待したい。

関連リンク:shikAI(App Store)

Source:東京メトロ