iPhoneのレビューは毎回、できるだけ楽しく散歩をすることを心がけています。カメラの良さを日常の中で体験するにはとにかく被写体を求める必要があるからです。

コロナ禍かつ天候不順ではありますが、ソーシャルディスタンスなどの感染対策に配慮しつつ、今回も作例と共に、最新のiPhoneの進化を実機で見ていきたいと思います。

10月23日に発売されるiPhone 2020年モデル第1弾の概要から。まずは、iPhone 12をiPhone 12 Proで、iPhone 12 ProをiPhone 12で撮影した写真で、本体を確認していきましょう。

6.1インチの有機ELディスプレイを備え、2013年のiPhone 5s以来となる垂直・まっすぐな側面を持つiPhone 12とiPhone 12 Pro。久々のデザイン刷新とともに、新しいサイズにも注目です。小型5.4インチのiPhone 12 miniと、更に大型化した6.7インチiPhone 12 Pro Maxは11月13日に発売されます。

そういう意味では、ディスプレイが同じ6.1インチで2機種が揃う今回発売の2モデルが標準モデルで、ノーマルとProとの違いが最も分かりやすく出る部分です。Proの優位性・異なる部分は、主に以下の通りです。

  • フレームがアルミニウムから、ギラギラ反射するゴージャスなステンレススチールになる。

  • 有機ELディスプレイの最大輝度が625ニトから800ニトになる。ただしHDR表示時の最大輝度は1200ニト、200万:1のコントラスト比も共通。

  • 超広角と7群レンズでf1.6と明るくなった広角カメラは同じだが、それに加えて望遠レンズが搭載される。

  • LiDARスキャナが搭載され、ARでの空間把握だけでなく、暗所でのオートフォーカスを6倍高速化してくれる。

  • A14 Bionicチップのメモリが4GBから6GBに増え、4K/60fpsでもDolby Visionでの記録ができる。※iPhone 12も、4K/60fpsでの録画はできるが、データサイズがProより小さい。

  • 25g重たくなる。

最後の重さは、ずいぶん違うと思われるかもしれませんが、iPhone 12 ProとiPhone 11 Proを比べると実は1g軽くなっており、薄くなった分さらに握りやすく感じます。

iPhone 12はiPhone 11と同じディスプレイサイズなのに32gも軽くなっており、iPhone 12 Proよりも25g軽く、iPhone 12 miniを待たなくても十分コンパクト化されている点は、意外な発見でした。

薄くてよりシンプルな形状が追究された、と言えます。

iPhone 12で5Gを体験?

筆者は普段NTTドコモでiPhoneを使っており、iPhone 12の5G対応に合わせて、5G契約で毎月100GB使える5Gギガホに切り替えました。ちなみにSIMカード自体は交換せず、契約のみの切り替えだけでした。

そんなわけで5G対応SIMを準備しのですが、その割にドコモの5G体験は満足いくものではありませんでした。新宿駅周辺、新宿2丁目、3丁目などの屋外で計測し、コンスタントに下り100Mbpsを超えてくるのですが、最高でも171Mbps止まり。上りは16Mbps前後という実測値。

しかし驚かされたのはLTEです。新宿3丁目近辺で、コンスタントに400Mbps以上、最高で下り525Mbps、上りも最高42.1Mbpsを記録し、ドコモのLTEインフラのすさまじさを体験することになったのです。つかめるアンテナの数がものを言う世界であるならば、ドコモの場合、LTEの方が有利…というか、LTEで十分早いじゃないか、と思いました。

一方ソフトバンクとなると事情は異なります。秋葉原駅周辺で5Gの電波をつかむと、下り128Mbps、上り70Mbpsを記録し、LTEの計測結果に比べると下り1.5倍、上り10倍という速度が出ました。スポット単位にはなりますが、iPhoneの5G対応の恩恵をより大きく感じる場面が多いのではないでしょうか。

簡単に撮った写真に、感嘆

特にA14 Bionicは、それそのもので2020年モデルのMacBook Pro 13インチと同等の性能を発揮しますが、グラフィックスと機械学習処理は驚くべきパフォーマンスへと進化しました。

もちろんiPhoneを使う多くの人にとって、そんな事は関係ないのですが、ここ数年、Apple Siliconでの画像処理と複数カメラシステムで映し出される「コンピュテーショナルフォトグラフィー」の進化が著しく、チップの進化がそのまま写真やビデオの仕上がりに直結していると感じます。作例とともに見てみましょう。

▲まずは大手町の雨が今にも降ってきそうな午後。カラーパターンが縦に並んだ建物の側面の影の部分も色が判別できていますね。
▲そこから見上げると、大手町一丁目の信号機とビル、そして空。ご覧のような曇り空ながら空は明るいのですが、標識も雲のテクスチャも両立しています。
▲神田橋の首都高、サビ、暗い水面、再び曇り空。右にある高速入口の細かいパターンに目が行きます。
▲再び大手町一丁目の交差点に戻って、夜。実はLive Photosで撮影しており、ナイトモードではありません。広角レンズはf1.6と明るくなり、ISO500、シャッタースピード1/25で、手持ち撮影でもくっきりシャープです。
▲たびたび筆者の作例に登場するコケ。こちらも広角レンズでの撮影です。気温は一挙に初冬の様相ですが、雨が多く、黄色っぽい緑を元気にたたえる様子に出会いました。
▲こちらはiPhone 12 Proの望遠レンズで捉えた1枚。逆光でしたが、花の青、背景の緑の色を楽しむ事ができます。
▲窓から光が入るレストランのテーブルで撮影したステーキプレート。肉のシズル感、フライドガーリックの立体感ももちろんですが、お皿や白米の白が正しく出ている点は、実は今までのiPhoneのカメラに比べて満足度が高いポイントです。どうしても、いままで黄色が強いように感じたので……。
▲再び広角カメラ。ポートレートモードを用いない場合、どうしても背景のボケは散らかった印象になりますが、気になる場合はポートレート、ということで。
▲丘の上で、できるだけ細かい被写体を探して1枚。茎の緑、花弁はないが花の部分の小豆色がきちんと記録されていて、それでいて明るいはずの空の色、手前の黄色い花の色も楽しめます。
▲今日公開の記事で今朝の写真を入れるほど切羽詰まっていたわけですが、やっと晴れて朝日きらめく水滴を1枚。光が少ないところばかりだったので、明るいシーンの解像感に注目です。

iPhone 12 Proに傾く、か……

iPhone 12シリーズには、6.1インチの2モデル以外にも、2つのモデルが用意されています。

4.7インチiPhone SEより小さく、iPhone 8 Plusに匹敵する画面サイズのiPhone 12 mini。そしてiPhone史上最大サイズとなる6.7インチディスプレイを備え、47%拡大されたセンサーとセンサーシフト式手ぶれ補正というスペシャルな広角カメラのiPhone 12 Pro Maxです。

iPhone 12 miniは、サイズが小さいのですが、iPhone 12と同じカメラ性能を楽しめる点は価値になると思います。一方、iPhone 12 Pro Maxの広角カメラは、ハードウェア的な優位性が強く、どうなるかは未知数。大いに期待している次第。画面サイズは拡大していますが、重量はiPhone 11 Pro Maxと同じ226g、サイズは幅が1mm、長さが2.8mm拡大しますが、0.7mm薄くなり、握った際のサイズ感は拮抗するかもしれません。

▲MagSafeには全モデルが対応します。

でも12 Pro Maxは大きいしケースのチョイスも限られることになりそうです。6.1インチで統一され、サイズもすべて同じiPhone 12とiPhone 12 Pro向けには、様々なケースやアクセサリがふんだんに用意されることになり、iPhoneを実際の生活で使う際の便利さや楽しさもこれまで通りでしょう。

となると、写真を撮りながらの散歩のお供には、望遠カメラがあるiPhone 12 Proに、気持ちが傾いてきます。

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