23日に発売を迎えるiPhone 12とiPhone 12 Pro。今回のiPhone 12シリーズは、11月発売のiPhone 12 miniやiPhone 12 Pro Maxも含め、全機種5Gに対応しているのが特徴です。日本では、ドコモ、KDDI、ソフトバンクが取り扱い、3社のSub-6のバンドにもきっちり対応しています。そんなiPhone 12、12 Proの通信周りを、発売に先立ち実機でチェックしてみました。

iPhone 12 / Proの5G通信をチェックした

まずは、5G関連から。5Gに対応したキャリアのSIMカードを挿すと、「設定」の「モバイル通信」にある「音声通話とデータ」に、5Gの選択肢が現れます。デフォルトは「5Gオート」。画面には、「バッテリー駆動時間が大幅に短くならない場合のみ5Gが使用されます」との説明書きが表示されます。これは、iPhone 12シリーズの発表会で紹介されていた、「スマートデータモード」のこと。バッテリー消費は気にせず、5Gの電波を浴びまくりたいという人は、常時5Gが有効になる「5Gオン」に切り替えておくといいでしょう。

「設定」→「モバイル通信」の「音声通話とデータ」で、「5Gオン」と「5Gオート」を選択できる

もう1つ追加されている項目が「データモード」です。こちらは、デフォルトでは「標準」にチェックがついていました。画面に表示された説明によると、こちらに表示した場合は「ビデオおよびFaceTimeの品質は制限されます」とのこと。「5Gでより多くのデータを許容」にすると、5G接続時にビデオ再生やFaceTimeが高画質になるようです。こちらも、アップルの発表会で説明されていたとおりです。

5G接続時の高画質化を有効にするには、「データモード」を「5Gでより多くのデータを許容」に変更する必要がある

ただし、上記のデフォルトは、ドコモとソフトバンクで試したときの場合。KDDIは、「au 5Gエクスペリエンス」として、5G接続時かつデータプランが「データMAX 5G」などの容量無制限プランになっている場合、自動的に画質向上や遅延の低下などの恩恵を受けられるとアピールしています。auのSIMカードは残念ながら5Gに切り替えられていないため、試す術がありませんでしたが、おそらく容量無制限の定額プランに入っていると、自動でここが「5Gでより多くのデータを許容」に変更されるのではないかと推測しています。

とは言え、ドコモの今のところ、「5Gギガホ」であればキャンペーンで容量は無制限。デフォルトでは「標準」になってしまいましたが、設定を切り替えておいても特に問題はないでしょう。ソフトバンクも「メリハリプラン」であれば、容量が50GBと大きく、ゼロレーティングのサービスも実施しているため、データ容量が尽きてしまう心配は少ないはず。そもそも当初は、高画質化に対応しているサービスもアップル純正のものに限定されるため、5Gの恩恵を少しでも受けるため、「5Gでより多くのデータを許容」にしておいてもいいと思います。

5Gでの通信はデータ量が大きくなりがち。筆者もスピードテストだけで9GBも使っているため、無制限プランが欠かせない

では、5Gにつながった場合、実際のスループットはどの程度出るのでしょうか。ドコモとソフトバンクのSIMカードで、それぞれ近場の5Gスポットに出かけて、速度を計測してみました。まずは、ドコモ。渋谷のヒカリエ側の交差点付近で、800Mbps程度の速度を記録しました。ただし、Sub-6とはいえ、周波数がかなり高いため、エリアはまさにスポット的。ほんの数十メートル場所を移動しただけで、200Mbps程度まで下がってしまうこともあります。

800Mbps以上を記録。動画などもビュンビュン落とすことができる

ほんの数十メートル歩いただけで、速度が約1/6になってしまった

これに関しては、ソフトバンクも同じ。目黒の駅を出てすぐの交差点で5Gをつかみましたが、速くて266Mbps、遅いと100Mbpsを割り込んでしまいました。それでも4Gより、ケタが1つ大きいので、5Gの恩恵は十分ありますが、いかんせん3社ともエリアが狭すぎ。近場の5Gスポットに出かけて測定したと書いたように、ユーザー側がエリアマップを見て、5Gの入る場所に出向く必要があります。

ソフトバンクも5Gは高速だが、他社と同様まだまだエリアは狭い

今後、KDDIやソフトバンクについては、4Gの周波数転用で5Gのエリアを一気に広げていく方針を示していますが、少なくとも現時点では、4Gのように、いつでもどこでもつながるわけではありません。5Gのアイコンを見たければ、筆者がそうしたように、ユーザー自身がスポットに出向く必要があります。とは言え、iPhoneは買ってから最低1年、長いと3年、4年と使うデバイス。その間に、エリア整備は急ピッチで進められるため、5Gのアイコンを目にする機会は増えるはずです。

試用したiPhoneはSIMフリー版だったため、取り扱いがないもう1つのキャリアである楽天モバイルも試してみました。こちらは、eSIMでのテストです。セットアップは、4Gのころと同じで、楽天モバイルから発行されたQRコードを読み取るだけと簡単。ところが、上記の設定項目を見てみても、「5Gオン」や「5Gオート」が追加されていません。楽天モバイル側の契約はきっちり「UN-LIMIT V」になっていますが、iPhone側が5Gの通信を許容していないようです。

楽天モバイルのeSIMでは、5Gの設定項目が現れなかった

LTE対応当初にもありましたが、iPhoneはキャリアプロファイルごとに設定を変え、利用可能な通信方式を決定しています。当時の記事を検索すると、本サイトの編集長が何やらゴニョゴニョやっているリスキーな記事がヒットします(笑)。発表会では、5Gに関しては今まで以上にキャリア側ときちんと協力していることをアピールしていましたが、あのリストに名前がなかった楽天モバイルでは、残念ながら5Gの設定が有効になりませんでした。せっかく5Gのサービスを始めたのに、iPhoneを取り扱っていなかったことが悔やまれます。

また、物理SIMとeSIMの両方をオンにしたデュアルSIM状態にした場合、双方ともに5Gでの接続ができなくなる仕様を確認しています。こちらは、以前レビューしたPixel 5やPixel 4a(5G)と同じ。残念ながら、片方を5Gで接続しつつ、もう一方を4Gで待受けするといった使い方はできません。ビジネスでは大手3社の5Gを使いつつ、プライベートは楽天モバイルで電話を受けるといった使い方を想定していた人には、少々残念。eSIMおじさん的にも涙目です。ソフトウェアアップデートで改善できることを期待しています。

デュアルSIMをオンにすると、対応しているキャリアでも通信方式は4Gまでになってしまう

こうした課題はありつつも、5Gにつながればしっかり速度が出るのはiPhone 12シリーズに買い替えるメリット。エリアの広がりも加速していくことが見えているため、快適な通信を求めるユーザーにはオススメできます。特に今回は、iPhone 12シリーズで通信機能に差分がなく、どのiPhoneを選んでも高速です。この点で、あえてProシリーズを選ぶ必要がなくなったのはうれしいポイントと言えそうです。

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