日本国内で依然として高い人気を誇るソニーモバイル製のAndroidスマホ「Xperia」とアップルの「iPhone」。その最新モデルとなる Xperia 5 II と iPhone 12 Pro を入手しましたので、選ぶときに気にすべきポイントを比較してみました。

まずカメラから。Xperia 5 II と iPhone 12 Pro はどちらも約1200万画素のトリプルカメラを搭載。このうち Xperia 5 II は、名門カメラブランド「ZEISS(ツァイス)」の名を冠し、T*(ティースター)コーティングを施したレンズを採用しています。構成は次のとおりです。

Xperia 5 II

  • 超広角:16mm(F2.2)

  • 標準:24mm(F1.7)光学式手ブレ補正

  • 望遠:70mm(F2.4)

iPhone 12 Pro

  • 超広角:13mm相当(F2.4)

  • 広角:26mm相当(F1.6)光学式手ブレ補正

  • 望遠:52mm相当(F2)光学式手ブレ補正

▲iPhone 12 Pro(写真=左)と Xperia 5 II(写真=右)

このように、両モデルともトリプルカメラを搭載しますが、トリプルカメラのなかでも筆者が気に入っているのが超広角レンズです。画角が狭いがゆえに迫力のある写真が撮れないという不満を解消してくれるものでした。下の写真は Xperia 5 II と iPhone 12 Pro で撮影したものです。

▲Xperia 5 II の超広角カメラ(16mm相当)よりも、iPhone 12 Pro の超広角カメラ(13mm相当)のほうがワイドに撮影できる(いずれも35mm換算、以下同)

夜景については、撮影する場所によって iPhone 12 Pro よりも Xperia 5 II のほうが街灯やイルミネーションの鮮明さが際立っていると感じました。一方で皓々と光るビルの看板を撮影してみると、Xperia 5 II よりも iPhone 12 Pro のほうが鮮明に表示されました。

▲ iPhone 12 Pro の望遠カメラ(52mm相当)よりも Xperia 5 II の望遠カメラ(70mm相当)のほうがズームに強い

食べ物の写真を通常モードで撮影してみたところ、どちらも奥にある皿がほどよくボケていますが、全体的に明るい仕上がりの iPhone 12 Pro では手前にある卵焼きの黄色がはっきりと表現できています。

望遠レンズや超広角レンズが備わるスマホなら iPhone 12 Pro シリーズという選択肢もありますが、Xperia 5 II の良さはiPhoneにはないシャッターキーを備えていることによる撮影のしやすさです。たとえ画面が濡れていても、シャッターキーを半押ししてフォーカスを合わせ、強く押し込むことでシャッターが切れます。

▲Xperia 5 II(写真=上)とiPhone 12 Pro(写真=下)

また、「Xperia 1 II」と同様に最高20コマ/秒のAF/AE追従高速連写機能を搭載。ただし、こちらは通常のカメラアプリでは使えず、シャッタースピードやISO感度といった細かい設定が可能な「Photography Pro」を使う必要があります。

▲Photography Pro では、シャッタースピードやISO感度、ホワイトバランスなどをきめ細かく設定できるため、ソニーのデジタル一眼カメラα並みの撮影が可能

一方、LiDARスキャナによるポートレートモードでの撮影機能を備える iPhone 12 Pro では、肉眼では見えないレーザーで前方を照らすことで、奥行きの計測や付近の物体の大きさなどを把握できます。

▲iPhone 12 Pro(背面カメラ)のポートレートモードを使うと、手前の人物だけを際立たせて背景をぼかした写真を撮影できる。ただし、周囲の明るさやカメラと被写体との距離によっては、左の失敗例のようにうまく撮影できない場合がある
▲インカメラのポートレートモードで撮影した写真

続いて動画撮影性能についての違いをチェックしてみましょう。iPhone 12 Pro では4K/60fps(1秒間に60コマのHDR動画)を撮影できるのに対し、Xperia 5 II では動画撮影用のアプリ「Cinematography Pro」を使うことで、4K/120fps(1秒間に120コマのHDR動画)を撮影できます。

Xperia 5 II は iPhone 12 Pro よりも握りやすい

ディスプレイサイズは両端末ともに6.1インチですが、iPhone 12 Pro は19.5:9を、Xperia 5 II は21:9を採用。Xperia 5 II のほうが映画のようにワイドな映像を視聴できるわけです。また、ゲームエンハンサー機能には、画面を書き換えるときに黒い画面を挿入することで、240Hzまで残像を低減する技術を採用。さらにリフレッシュレートが Xperia 1 II の60Hzから120Hzへと向上しており、より滑らかな表示が可能です。

▲21:9のディスプレイを備える Xperia 5 II

Xperia 5 II のディスプレイのアスペクト比は、端末本体の持ちやすさにも貢献します。角が丸みを帯びた Xperia 5 II は iPhone 12 Pro よりも横幅が抑えられているため、とくに縦に持った場合、側面がフラットな形状の iPhone 12 Pro よりも握りやすく、画面のスクロールがしやすいと感じました。

▲Xperia 5 II は大画面ながら横幅が抑えられているので握りやすい

Xperia 5 II はイヤホンジャック搭載

スマホで音楽や動画を視聴する人はイヤホンジャックの有無についてもチェックしておきましょう。iPhone 12 Pro はイヤホンジャック非搭載ですが Xperia 5 II は搭載。ただ、昨今、増え続ける完全ワイヤレスイヤホンを所有している人であれば、Bluetoothで接続して使えば済むため、イヤホンジャックの有無は気にすべきところではないでしょう。

▲Xperia 5 II は有線イヤホンをさせる
▲イヤホンジャック搭載の Xperia 5 II(写真=上)とイヤホンジャック非搭載の iPhone 12 Pro(写真=下)

iPhone 12 Pro のほうが充電しやすい

充電は iPhone 12 Pro のほうがしやすいと感じました。理由は、充電器に置くだけで充電を開始できることに加え、iPhone 12 Pro と充電器の位置合わせが不要なため。MagSafeの仕組みは、iPhone 12 シリーズの背面に内蔵した高感度磁気センサーとNFCで構成されたコイルを使うことで、充電器やその他のアクセサリーを定位置に固定したり、それぞれに合う機能を呼び出せるというものです。ただ、店舗によってはMagSafe充電器や対応するアクセサリーの在庫が潤沢ではないため、事前予約か取り寄せが必要です。

▲iPhone 12 Pro はワイヤレス充電とアクセサリー規格のMagSafeに対応する

iPhone 12 Pro はeSIMに対応するが…

ネットワークに関わる仕様についても触れておきます。両端末とも5Gに対応する点は共通しますが、iPhone 12 Pro は Xperia 5 II で省かれているeSIMにも対応。ただ、石野純也氏のレビューでも触れられているように、eSIMを有効にした場合、物理SIMで5Gを使えなくなる仕様です。いずれ5Gエリアが広がり、eSIMサービスが増えてくれば、この辺りの仕様は余計に気になるといえるでしょう。


関連記事:iPhone 12 Pro ゴールド自腹レビュー カメラやeSIMの使い勝手を検証した(石野純也)


Xperia 5 II では一部の純正アプリが削られた

個人的に最もガッカリしたのが Xperia 5 II で一部の純正アプリが削られたこと。これは以前、記事で触れたことの繰り返しにはなりますが、Android搭載の Xperia 5 II では撮影した写真や動画を閲覧できる純正「アルバムアプリ」や日本語入力「POBox Plus」が使えません。アルバムアプリの代替えとして「Google フォト」を、POBox Plus の代わりに「Google 日本語入力」をサポートしています。


関連記事:Xperiaで「ひそかに消えた純正アルバムアプリ」 一体なぜ?


細かい仕様変更と思われるでしょうが、長きにわたりXperiaを使ってきた人からすると最初は戸惑うことでしょう。ですがその反面、Googleアプリに統一されていることで、他のAndroid端末から買い換えやすいというメリットもあります。

一方、iOS搭載の iPhone 12 Pro は Xperia 5 II のように純正のアルバムアプリなどが削られていません。それどころか、プリインストールされている一部の純正アプリを削除したり再びインストールすることも可能です。さらに、iPhone同士やiPad、そしてMacとAirDrop(ワイヤレス)でファイルの共有ができるのも評価できるポイントです。

Xperia 5 II と iPhone 12 はどんな人におすすめ?

ソニーのデジタル一眼カメラα(アルファ)で培った技術を生かした撮影や、音楽をハイレゾ相当の音質で聴きたいという人であれば Xperia 5 II を、充電のしやすさやAirDropを使ったファイル転送、MacやiPadとの連携、などの点を重視するのであれば iPhone 12 がおすすめです。


(訂正:2020/12/3 10:45)残像低減技術とリフレッシュレートの記述に誤りがありました。訂正しお詫び申し上げます。