▲iPhone 12 mini(カラーはブラック)。

2014年以来、iPhoneは「大きい方」と「普通の方」の2つのサイズでやってきた(まあ、iPhone SEは除くとして)、それが今年は「大きい方」と「普通の方」に加え、「小さい方」が加わった。いうまでもなく「iPhone 12 mini」だ。多くの人が"日本市場での本命"と支持するように、miniに注目が集まっている。

2014年以来ずっと「大きい方」を使ってきた大画面派の筆者だが、今回は12 miniを試してみた。いやあ、これはなかなか悩ましい。

片手で持てて「今日的な大画面デザイン」が特徴

文章で書くよりも、サイズをみた方がわかりやすい。miniの良さはそのサイズ感なのだから。他のiPhoneに比べ片手で持ちやすい。

▲上から順に、iPhone 12 mini・12・12 Pro Maxを片手で持ってみた写真。男性なら手が小さめの人でも片手で軽々握れる。

小さなiPhoneといえば、「iPhone 4s」からつい先日まで売られていた「初代iPhone SE」で採用されていたスクウェアボディが思い浮かぶ。第2世代(すなわち現行)のSEはiPhone 8ベースなので、現在のスマホの中では相対的に小さな方ではあるものの、ごく普通のサイズだ。

それに対し、iPhone 12 miniはさらに小さい。この辺は、改めてAppleのサイトで確認して驚いた。

▲Appleのページより。歴代のiPhone SEと、12 miniのサイズ感の違いがわかるだろうか。

ポイントは「画面は大きくなっている」というところだろう。現在のiPhoneは、「ホームボタンをなくしてFace IDを搭載し、それ以外の領域はいっぱいまで使う」ポリシーでデザインされている。特にiPhone 12の世代は、デザインが角張ったせいか、ディスプレイのベゼルが従来モデルより細くなった。結果として、かなり表面をディスプレイが覆う印象になっている。

ベゼル自体はiPhone 12 Pro Maxでも、iPhone 12 miniでも同じ太さのようなので、「画面を大きく見せる効果」はPro Maxの方があるのだが、それでも、十分満足すべきサイズ感だろうと思う。

▲左がiPhone 12 mini、右が12 Pro Max。ベゼル部の太さはどちらの機種でもほとんど変わらない。

「このサイズでハイエンド」であることに意味がある

ポイントは、「このサイズでも性能は他と特に変わらない」ということだ。

iPhone 12 Pro Maxのレビューでも述べたが、今回のiPhone 12シリーズは、どれを選んでもパフォーマンスがほとんど変わらない。5Gの面でも同様だ。

小さいスマホというと低コストなミドルクラス以下……という場合が多いのだが、12 miniは間違いなく「ハイエンド」だ。実際、7万4800円(税別)〜とそんなに安くはない。

小さいスマホが安価なミドルクラス以下になりやすかったのは、「トレンドが大きいスマホであり、小さいものを求めるのはスマホに大きな価値を求めていない人」という傾向があったからだ。Apple自身もこれまではそう考えていたのだろう。

だが実際にはそうでもない。スマホが生活必需品になったので、より自分の生活スタイルやファッションに合わせて選ぶ人が増えていく。そうすると、「小さいのは欲しいが長く使える性能の高いものを」「小さいのが欲しいが、性能面で妥協したいわけではない」という人も出てくる。そういうニーズに12 miniはフィットすることになる。

……まあ実際には、Appleが「できる限り同じプロセッサーを量産し、多くのラインナップに使う」方針であるため、結果として12 miniも他と同じプロセッサーとワイヤレスモデムなどを使うことになった、ということなのだろうけれど。

他社からプロセッサーの供給を受ける場合、コストと供給の両面で、そうそうハイエンドばかりを選んではいられない事情がある。しかし自社で計画を立てるAppleの場合には、量産効果によるコスト低減が効きやすい半導体調達では、「全部同じ」である方が理に叶っている。

カメラは十分に進化、軽さもプラス?

カメラについても「他のiPhoneと同じ」であるのがポイントになる。具体的には、iPhone 12と全く同じ構成になる。

実際撮影してみても、12とminiの差はまったくない。また、12 Proとの差についても、基本的には「望遠カメラの有無」「LiDARの有無」がポイントであり、「望遠」で寄った写真が撮れること、夜間のフォーカスとポートレート撮影の精度が増すことを除くと、両者の差は小さいと感じた。

iPhone 12 mini
iphone 12 Pro
iPhone 11 Pro Max
iPhone 12 mini
iPhone 12 Pro
iPhone 11 Pro Max
iPhone 12 mini
iPhone 12 Pro
iPhone 11 Pro Max

iPhone 12シリーズ全体での「コンピュテーショナル・フォトグラフィ」の進化が大きく、iPhone 11に比べ、よりはっきりとした写真が撮れやすくなっている。その結果として、センサーの面ではProシリーズに比べて不利な部分がある12や12 miniでも、性能向上の効果がはっきりと見えやすく、雑駁にいえば「よく撮れる」のだ。

また、133gとiPhoneの中では軽いこともポイントだろう。軽いということはそれだけしっかりと持ちやすく、手ぶれもしにくいということだからだ。スマホの場合、ラフに急いで撮影してブレて失敗……という写真も多いが、そこでは軽さが効いてくる。

懸念は「5G時代」に向けたバッテリー動作時間

というわけで、サイズよし・性能よし・カメラ十分と、文句ない製品になっている12 mini。個人的には「大きな画面がいい」と冒頭で述べたが、通話時にはもちろん軽い方がいいに決まっている。だから、「これをサブで持ち歩けないものか……」と少し迷ったのも事実なのだ。

結局、筆者は大きいPro Maxを選ぶのだが、その決め手は「バッテリー動作時間」だ。12 miniとPro Maxの間には、カタログ上の「動画再生時間」の値で5時間の差がある。12 miniの「15時間」が短いわけではないが、動作する時間が長いに越したことはない。

同じような設計ならば、結局のところ「本体の質量の差=バッテリー搭載量の差」と言え、これはもうどうしようもない。

▲ちなみに、iPhone 12 Pro Maxと12 miniではこのくらいサイズが違う。

4Gが中心である現在は特に問題ないが、5Gでの通信が増え、消費電力が増えていった時のことを想定すると、バッテリー搭載量はできるだけ多い方が安心できる。これが筆者の決断である。

とはいえ、それだってモバイルバッテリーなり、こまめな充電なりでいくらでもカバーはできる。「Pro Maxにしてプラス100gになる(226g)のは勘弁」と思う人がいても、それはそれでとても納得できる。

そこでライフスタイルにあわせて選べることこそが重要。12 miniが出たことで「選択肢が増えた」のが、今年の最大の進化点、と言ってもいいだろう。


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