A15 Bionic
Apple

ここ数年のフラッグシップiPhoneには、価格差のある各モデルにもすべて同一性能のプロセッサが搭載されてきました。

その前例はiPhone 13シリーズでも「全機種がA15 Bionicを採用」として踏襲されているようでいて、Proモデル2つが「5コアGPU版」に対して普及モデルの無印13およびminiには「4コアGPU版」と差が付けられ、「全モデルが同一仕様のプロセッサ」という原則が破られています。

この違いは、アップルがいわゆる「チップビニング」戦略を採り、半導体不足のなかで普及モデルの値上げを避けるためではないか、との推測が伝えられています。

チップビニングとは、製造されたチップをテストして、様々な機能別に選別することです。たとえばどれだけの電圧が使えるか、オーバークロックできるか、どれだけのGPUコアを有効にできるかという具合です。その手法はグラフィックスカードでは一般的に使われており、アップル製品でもすでにM1 Macに投入されています(M1 MacBook Airの最安モデルはGPU7コアで、それ以外は8コア)。

この手法が、なぜiPhone 13シリーズにも採用されたのか。テックメディアWccftechは、おそらく半導体不足のためにiPhone 13およびiPhone 13 miniの生産にかかる費用を減らすためだとの推測を述べています。

つまり生産したA15チップのうち、1つだけGPUコアに欠陥あるチップを(例年なら廃棄するところを)廃棄せずに使ってコストを削減してるのではないか、というわけです。

iPhoneのAシリーズチップ製造を請け負っている台湾TSMCはプロセッサ製造代を値上げすると噂され、そのためiPhone 13も昨年のiPhone 12より値上げが予想されていましたが、実際はさほど価格差は(少なくとも米国向けのドル建て価格では)ありませんでした。しかしiPhoneにもチップビニングの手法が持ち込まれたのであれば、特に価格に敏感なユーザー向けのiPhone 13およびminiで「値上げもグラフィック性能も控えめ」となったことも頷ける感があります。

さらに先を見据えれば、今後は安価なiPhone SEシリーズにもA15が搭載されるとの報道もあります。2022年末までは半導体不足が続くという観測もあるなかで、廉価モデルにフラッグシップ機種と同じSoCを積むために、そちらでも4コアGPU版が搭載されるのかもしれません。

また、アップルはA15を1億個以上も発注したとも噂されていますが、品質のバラツキを前提にした上で「普及価格や廉価モデルには4コアGPU版、高級モデルには5コアGPU版」と振り分けることを織り込んでいる可能性もありそうです。

記事執筆時点では、A15のうちGPU4コア版と5コア版ではどれほどの性能差があるのか不明です。もっとも正式発売前に、どこかの誰かが新型iPhoneの実物を入手した上でベンチマークを公開するのも例年のことであり、そちらの動きを静かに待ちたいところです。

Source:Wccftech