17歳のiOSアプリ作家に訊いたプログラミングの学びかた・親世代に望むこと

親が勝手にハードルをつくらないことが大事

砂流恵介(Keisuke Sunagare)
砂流恵介(Keisuke Sunagare), @nagare0313
2020年06月22日, 午後 06:31 in wwdc
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N高に通う加藤周さんは小学生からプログラミングを学び、すでに10以上の iOSアプリを App Store でリリースする開発者。最近では新型コロナウイルスの拡大防止を目的に、自分の行動履歴を保存できるアプリ「足あとトラッカー」が話題を集めました。

中学生のときには、未踏事業のOB・OGによる団体 社団法人未踏が運営する「未踏ジュニア」で突出した成果を残し、2017年度の「未踏ジュニアスーパークリエータ」にも認定されています。

Engadget編集部では、加藤周さんにプログラミングを学んだきっかけや苦労したこと、学生側の視点でプログラミングを学ぶ環境についてなどをインタビューしました。

■はじめてのリリースは何度もリジェクトされた

Engadget
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ーー プログラミングをはじめたのは小学生何年生の頃からですか?

小学校4年生のときです。パソコンに触り始めたのは小学校2年生のときで、父が持っていたWindowsのパソコンをもらってタイピングソフトからはじめました。プログラミングは、私が住んでいる函館に「Life Is Tech!」というITやプログラミングが学べるスクールの無料体験が来ていて、それに参加したのがプログラミングをはじめたきっかけです。

ーー なるほど。Life Is Tech!で学んだんですね。

そうなんです。その後、夏休みや春休みの休み期間中にLife Is Tech!のキャンプにも参加してプログラミングを覚えました。

ーー 加藤さんは小学生の頃からApp Storeにアプリをリリースされていますが、申請方法などもそのときに教えてもらったんですか?

Life Is Tech!ではそこまでは教えてもらっていないんですけど、Life Is Tech!自体はリリースすることを推奨していたので、最初からリリースするつもりでいました。でも、実際リリースするとなるとアイコンつくったりとか、アプリのサイズを色んなiPhoneのサイズに対応させたりとか色々しなきゃいけないんです。それが大変でした。

あと、最初のうちはめちゃくちゃリジェクトされて・・・。それでアメリカのAppleから電話がかかってきたことがありました。

ーー え。

そのとき私は学校に行っていていなかったので、父が電話をとったんですけど向こうは英語で。でも父は英語が分からなかったので大変だったみたいです。

ーー それは事件ですね。電話は審査上での質問みたいな内容だったんですか?

私が何回も申請を出していたので、審査してくれる人が「ここを直して」的なアドバイスをしてくれようとしていたみたいです。ただ、言語の問題でそれがなかなか伝わらなかったという笑。

ーー なるほど。これまで何度も申請を出されていると思いますが、Appleの審査に対して何か言いたいことなどありますか?

そうですね・・・。「足あとトラッカー」の審査を出したときにクラッシュログが送られてきたんです。「あなたのアプリはこの状況のときにクラッシュするので、クラッシュログを送ります」みたいなものが送られてきたので、見てみたらただの文字の羅列で。うまく変換しなきゃいけないらしいんですけど、どうやっても変換できなかったので、自力でバグを見つけて対処しました。

自分勝手ではあるんですけど、動画とか送ってくれたらわかりやすいなと思いました。

あとは、前は審査に1週間くらいかかっていたんですけど、今は2日とかで返ってくるので嬉しいですし、楽です。

■思い出のアプリは2日でつくった読書感想文アプリ

Engadget
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ーー 加藤さんは「足あとトラッカー」以外にも10個以上のアプリをリリースされていますが思い出に残っているアプリはありますか?

足あとトラッカーの次にダウンロードされている「簡単に読書感想文~穴埋めでパッとできる~」です。小学校6年生の時につくったアプリなのですが、私は読書感想文がめちゃくちゃ嫌いなので、穴埋めで読書感想文が書けるようにしたいと思ってつくりました。

ーー 夏になると毎年駆け込み需要で売れそうなアプリですね。

そうですね笑。このアプリは今は有料なんですけど、初めは無料でリリースしてすぐに7000ダウンロードくらいされました。でもこれ作成時間は2日くらい。パパッとつくって、パパッとリリースしただけなんです。それなのにダウンロード数が良かったので、作成時間とダウンロード数は比例しないんだなとか、「使ってみたよ」みたいな声も聞けたので、アプリ開発にはまったきっかけになりました。

あとは、小学5年生のときにつくった「あまりのある割り算計算機」です。これは、私がKUMONをやっていたときに、お母さんが採点をするんですけど、割り算の採点が大変そうなのでつくったものになります。

自分も計算するの大変だったからお母さんも採点するの大変だろうな、と。

■アプリ開発はモテる!?

ーー 「足あとトラッカー」がニュースにたくさん取り上げられて、環境が変わったなどはありますか?

新聞に出たときとかはいろんな友達から連絡が来たりとか、「アプリ落としたよー」みたいな連絡をもらいました。あと私は、父が経営している「函館公園こどものくに」でバイトをしているんですけど、「足あとトラッカー」の画面をスマホで見せてくれながら「ダウンロードしたよ」と言ってくれる人もいて、嬉しかったです。

ーー アプリをつくっていることでモテたりしますか?

モテですか・・・。アプリをつくっているからモテるとかはないですね。「なんか難しそう」みたいな感じに思われていて話題にあがらないです。中学の先生も「なんか凄いんだね」みたいなとこで終わっちゃてましたし。そこに関してはうまくいかないですね。

ーー なるほど・・・。ちなみに、これまでつくられているアプリにも波及効果があったと思うのですが収益面で変化はありましたか?

5月は、アプリ全部の広告収益で4万円くらいです。そのうち8割が足あとトラッカーになります。足あとトラッカーの画面の下にバナー広告をいれさせてもらっているのですが、その広告がよくタップされています。

有料アプリのダウンロード収益は6000円くらいでした。なので、まだまだ食べていけるにはほど遠い感じです。10万円を目標にしているのですが、読書感想文など季節限定のものが多いので、一年中収益が見込めるアプリを開発中です。

ーー 加藤さんは今はどういうふうにプログラミングを学んでいるんですか?

独学です。何かやりたいことを調べて、日本語で見つからなかったら英語で調べています。あとは、スタック・オーバーフローとか質問サイトに質問もしていますね。

ーー 英語力はやはり必要と。

めちゃくちゃ必要ですね。未踏プロジェクトで海外に行ったときに、私だけ英語がまともに話せず悔しい思いをしたので、それ以来、DMM英会話で毎日勉強しています。

ーー WWDCでも英語力は必要になってきますしね。WWDCはオンライン開催ではありますが、現地に行ってみたいとかはありますか?

行ってみたいです。とはいえ、まだ長文の文章を読むのは難しい英語力なので、頑張らないといけないですね。

ーー 今からプログラミングをしたいと思ったら、おすすめは?

Swiftです。自分のスマホで動くので達成感があります。あと、UIもドラッグ&ドロップでつくれるのもいいですし、友だちのスマホにもインストールして遊んでもらえるので、それも楽しいです。Macを買うお金がない人は、JavaScript系がいいのかなと思います。

■親がプログラミングのハードルを上げている

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ーー プログラミング教育もはじまってきていますが、学生側の視点でどんな環境だと嬉しいなどはありますか?

パソコンを覚えようとすると、専門用語がたくさん出てきますよね。例えばExcelであれば「ここはセルといいます」というような。全部カタカナでしかも難しいうえに、何か行動をする前に用語を覚えさせようとするので、そこで挫折をしてしまう人が多いと思います。

まずつくったり使ったりしてみて、その後に用語を覚えるほうが挫折しないんじゃないかなと思います。せっかく楽しいことができるのに、はじめにつまずくのはもったいないのですからね。

あと、子どもがプログラミングをするハードルの高さはあるんですけど、それよりも親がプログラミングのハードルをあげているというのがあります。私にプログラミングを聞きにきた家族で「うちの子はそんな難しいことできない」みたいなことを親が言うことがあったりして。

ーー あぁ。

サッカーとかほかの習い事と同じように考えてもらっていいのに、プログラミングをなぜか難しい扱いをしてしまうんです。子どもはやる気があるのに、お母さんが「うちの子にプログラミングは無理」みたいなことを言うと、子どもも「無理なのかぁ」ってなっちゃうじゃないですか。しかも、お母さんはプログラミングのことを分かっているわけではないと。

ーー なるほど。親が勝手にハードルをつくらないことが大事ですね。最後に、将来こうなりたい、という夢などがあれば教えてください。

将来はやっぱりエンジニアになりたいです。あと、プログラミングをスキルを活かして起業したいですね。本とかを読んでいても、成功している人はいきなり成功しているわけではなく、何回目かのチャレンジで大成功しているケースが多いです。

私はまだ親元にいるので資金的にも楽ですし失敗もできます。起業する前にまず個人事業主でやってみて、ある程度収入をつくれるように色々やってみて、その後に起業しようと思っています。

■WWDC20は6月23日開幕

今年のアップルの開発者イベントWWDC20は日本時間6月23日開幕です。

完全オンラインで開催される初のWWDCのキャッチコピーは、「全部パワフル。全部オンライン」。

iOS / watchOS / macOS / tvOSの新バージョン発表や、プロ向けの製品、まったく新しい製品がWWDCのタイミングで発表されることもよくあります。

注目のキーノートは、日本では23日午前2時から。Apple.com や WWDC アプリ、Apple TV アプリ、YouTube 等々でストリーミング視聴できます。Engadgetでも、いつものように速報でお伝えします。

お詫びと訂正: 「未踏ジュニア」について、編集上のミスにより、運営主体を誤って「経済産業省所管の独立行政法人情報処理推進機構 (IPA) の事業である未踏事業が開催する」としていましたが、正しくは「未踏事業のOB・OGによる団体、社団法人未踏が運営する」でした。読者ならびに関係各位にお詫びして訂正いたします。

 
 

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