オンラインで診療して薬をドローン配送、日本初の試みを見てきました(中山智)

2022年の空の産業革命にむけて、実証実験が着々と行われています

中山智 (Satoru Nakayama)
中山智 (Satoru Nakayama), @yenma
2020年07月20日, 午前 10:45 in drones
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旅人ITライターの中山です。ドローンを活用したサービスの実証実験が各所で行われていますが、今回はANAやエアロセンスなど9つの企業や団体が旭川で行った「国内初、オンライン診療・オンライン服薬指導と連動した ドローンによる処方箋医薬品配送の実証実験」を取材してきました。

今回の実証実験は、経済産業省北海道経済産業局、旭川医科大学、ANAホールディングス、アインホールディングは、北海道旭川市、エアロセンス、トッパン・フォームズ、特別養護老人ホーム 緑が丘あさひ園、日通総合研究所が協力。単純に医薬品をドローンで配送するだけでなく、その前の診療や服薬指導をオンラインで行い、それと連動してドローンによる処方箋医薬品配送を行い、薬品を受け取るまでまったく人と接触しない非対面医療の実証実験となっています。

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ANAやエアロセンス、そして旭川医科大学などが協力して実証実験を行った

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処方医薬品の搬送や、オンライン診療からの連携など日本初の試み

実証実験は旭川医科大学病院で行われ、同病院のオンライン診療による処方箋に基づき、アイン薬局 旭川医大店にて、薬局薬剤師がオンライン服薬指導のデモンストレーションを実施。さらにアイン薬局 旭川医大店から約540m離れた老人ホームの緑が丘あさひ園までをドローンによる処方箋医薬品配送を実施するという流れ。緑が丘あさひ園に到着後は配送した処方箋医薬品の品質・状態をオンラインで確認できるようになっています。ちなみに旭川医科大学は古くからオンライン診療に力をいれており、その歴史は1994年からとのこと。

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約540m離れた先へドローンで配送する

使用するドローン機体は、エアロセンス製の「AS-MC03-T(BOX)」。本体重量はバッテリーを含まない状態で2.6kg。最大離陸重量は5.5kgでペイリードは2.9kgとなっています。最大飛行時間は20分で耐風性能は10m/sというスペックです。

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エアロセンス製の「AS-MC03-T(BOX)」

そのドローンにトッパン・フォームズの医薬品保冷ボックスを装着して搬送します。こちらの医薬品保冷ボックスは、温度ロガーや蓄熱材、アタッチメントを含んだ状態で1.4kg。クラウド連携でボックス内外の温度を遠隔地からモニタリングできるようになっています。

実証実験ではまずオンライン会議サービス(Zoom)を使って、病院の医師と老人ホームの患者をつなぎオンライン診察を行います。その診察結果から医師が処方箋を発行。さらにその処方箋はFAXで薬局へと送られます。

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Zoomを使って医師とのオンライン診療を行っている様子

そこから処方箋を受け取った薬局は、老人ホームの患者をオンライン会議サービスでつなぎ、オンラインでの服薬指導を行った上で、処方箋に書かれた医薬品を保冷ボックスにセット。そのままドローンの配送サービスに手渡して発送してもらいます。

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処方箋がFAXで送られてきたという設定

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薬局が処方箋に書かれた医薬品を保冷ボックスにセット

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その保冷ボックスをドローンの運用を行うANAの担当に渡される

今回の実験は、旭川医科大学から道路を挟んで向かいにある老人ホームまでの540mをドローンで移動します。道路を横断するルートということもあり、実証実験とはいえ現状の法制度に則って実施されているため、出発地点から到着地点までのルート上に8人の補助者を配置しています。

このあたりが、現状の法制度下の限界。人やクルマが通る場所ではかならず補助者を置く必要があり、今回のようにたった540mをドローンで移動させるだけでも、操縦者と補助者をあわせて10人以上の人員が必要です。コスト的にはまったく割に合いません。ただ、2022年を目処に航空法改正案する動きもあり、そうなればドローンの「目視外で有人地帯での飛行」、いわゆるレベル4での運用やサービスが一気に進みそうです。2022年は空の産業革が起こるとも言われており注目が集まっています。

今回の実証実験でも、旭川なのに異例の30度という暑さのため実験前はドローンの不調があったようですが、ドローンの飛行自体は問題なく、医薬品保冷ボックスの搬送を2回成功させていました。

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ドローンに医薬品保冷ボックスをセット

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離陸していくドローン

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出発側のオペレーターが使用しているPC

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ドローンの映像やセンサーのデータがモニタリングできるようになっている

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着陸地点からの様子で、黒い点が飛行中のドローン

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着陸地点でボックスを取り外す

ドローンを使ったサービスにはハードウェアやソフトウェアの進化だけでなく、法整備など社会システムのアップデートも必要ですが、来るべき未来に向けて着実に実験を積み重ねて安全で安心で便利なサービスの誕生を期待したいです。

 
 
 

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