iPhone 3GS レビュー:3GS固有アプリ・総論編

Ittousai
Ittousai , @Ittousai_ej
2009年07月4日, 午後 12:13 in apple
0シェア
FacebookTwitter


第一部からの続き。後半は iPhone 3GSで追加された音声コントロールと電子コンパスについて、そして結局「毎年買い換えよう」に値するモデルチェンジなのか?について。

音声コントロール




3GSの新機能である音声コントロールは使いどころが難しく、日本語対応に難あり。操作はホームボタンの長押しまたはリモコンなどの再生ボタン長押しで起動してから、背景に流れる文例を参考に「アーティスト <アーティスト名>の<アルバム名>を再生」やら「xxにダイヤル」などと声で指示するだけ。

なのですが、外来語や漢字が混在する日本語環境では、音声認識以前に曲名や連絡先の正しい読みをiPod / iTunesが認識する精度がまだまだ。いくらはっきりと聞き取れるように発音しても、iPod側が想定する候補に入っていなければそもそも認識できません。試しに読み上げを使って曲名を聞いてみると、多くの曲が予想もしない読み方で認識されていることが分かります。

音声の言語は本体の言語と独立して設定可能。しかし英語にすれば日本語はまったく読まなくなり、日本語に設定すると日本人のカタカナ発音にあわせてくれる一方、基本的な英単語でもおかしな読み方になるなど痛し痒しの状態(一般的な英単語は読んでくれるようでいて、PreludeがプレルデだったりCakesはカケスだったりと予測がつかない)。ただ将来的にはiTunes側のインテリジェンスが改善され固有の読みも辞書ベースになれば解決できそうな問題ではあります。Amazon MP3やiTunes Plus時代の付加価値として、アーティストやDJが読み上げる正しい曲名データの埋め込みもありかもしれません。

音声ダイヤルは簡単なコンタクト名なら意外と認識してくれる「場合も多い」ものの、iPhoneが名称を読み上げたあといきなり発信してしまうのが問題。認識範囲をよく使うコンタクトに限定する、あるいは読み上げたあとに「発信」なり「OK」といった確認を待つように設定したいところです。

このようにさまざまな問題があるものの、こちらから機械にあわせて使い方を限定すれば便利な場面もあります。たとえばリモコンの再生ボタンでコマンド受付状態にしたあと「再生中の曲」や「whats playing?」「誰の曲?」で(おかしな読みだったとしても) 曲名を聴いて確認できること。大量の曲をシャッフルで聴いてレートしているような場合は便利です。またプレイリストを最初から認識しやすい名称にしておく手もあります。

音声精度・読み上げ性能とは独立した問題としては、Apple in-ear headphonesや付属ヘッドホンなど有線リモコン付きの場合はボタンを長押しして音声コントロールを立ち上げられるのに、Bluetoothヘッドセットの発信 (再生・一時停止)を長押ししても反応しないという不可解な仕様もあります 。つまりヘッドセットでこそ活きる音声コントロール・ダイヤルなのに有線でしか使えません (少なくとも手元の環境+BTヘッドセット数機種では不可)。こちらもOS 3.1では改善するようです。

またこれはどの程度普遍性のある問題なのか未確認ながら、発売日からテストを続けて唯一フリーズしたのがこの音声コントロールアプリでした。波形は動いているものの発音しても反応はなく、背景に流れるコマンドのヒントが消えてホームボタンも効かない状態。聞き取り精度の悪さについ暴言を吐いた直後だったのでiPhoneが気を悪くしたのかもしれません。

コンパス、マップ



電子コンパスも3GSから追加された新機能。 (3GでもGPSを測位しつつ移動して方角を割り出す手もなくはありませんが)。マップアプリでは左下の現在地表示アイコンを一度押して現在地を取得したあと、もう一度押すことで地図をリアルタイムに回転表示できます。不慣れな場所などでは現在地の地図があっても方角が分からないことも多く、特にモバイル地図としてはあるとないでは大違い。ただし、Androidでは実現しているストリートビューの自動回転には非対応。

単体コンパスアプリは本当に単なるコンパスを表示するだけの機能デモ的アプリ。マップでも画像を回転させている都合上文字の傾きで北が分かるものの、開いてすぐ高精度で方角が読めるという意味ではまあ実用性もあります。カメラやGPS・加速度センサーなどと同様、電子コンパスもサードパーティーアプリでの応用こそ期待です。たとえば ARブラウザのLayarなど。

総論

iPhone 3GSの価格、つまりソフトバンクの iPhone for everybodyキャンペーンでの新規実質負担額 16GB 480円 / 月・32GB 960円 / 月 x24回が「買い」か、同条件で実質負担 0円の3G 8GBで良いのか、あるいは従来の3Gユーザーが場合によって異なる負担額を支払って買い増し(機種変)すべきか見送るべきかについては、各人の評価軸が異なる以上Yes / Noだけで答えることはできません。判断の材料を提示するならば、なによりも強調すべきは高速化の恩恵が実に大きいこと。

コンピューティングデバイスである以上つねに速い方がよいのは当然ながら、 iPhone 3Gから3GSの使用感の差がここまで大きい理由には、 iPhone OSが iPhone 3Gというハードウェアに対してかなりぎりぎりの状態で動いていたという点があります。iPhone OSは画面効果の滑らかさや入力に対してとりあえず反応するといったルック&フィールで遅く・重く感じさせない工夫を凝らしているものの、メモリの少なさから裏では涙ぐましい最適化が繰り広げられていました。3G -> 3GSの差は「普通」が「より速く」なったというより、最低動作スペックで動かしていたところをようやくまともなCPUにしてメモリを倍増させたようなもの。

3Gも常にストレスが溜まるほど遅いわけではなく、とくにブラウザの挙動などについては、いまもPalm Preなどごくわずかな最新スマートフォンしか並ぶものがないほど使いやすい(※)のは事実です 。しかし3GSでは特定のアプリや日本語入力など無意識に避けたくなる重い動作が減ること、アプリの強制終了をほとんど意識せずに済むこと、だんだん重くなってきたから手動で再起動しよう、など機械にあわせて気を使う場面が激減します。 (※「使いやすい」反面できることの幅は狭い。多機能というならたとえばNetFrontの圧勝。)

カメラについては携帯のカメラを日常的に使いたい(けれど多くは求めない)、あるいはカメラを利用した新しいサードパーティーアプリの可能性を体験したいというユーザーにとっては重要と考えられますし、コンパスについてもまあ同じことがいえます。そのどちらも決定要素ではないユーザーにとって、3GSの差は所詮速くなった「だけ」、アプリも将来的に登場するかもしれない例外を除いてまったくおなじものが動きます。

さらに3GSでも3Gでも変わらない点を挙げるなら、日本の一般的な携帯と比較して、赤外線ないmicroSDないFelicaアプリ/ おサイフケータイない、ワンセグが要別売りWiFiチューナー、インカメラない対面テレビ通話できない、いわゆる「携帯サイト」サービスやほかのソフトバンク端末用ゲーム / コンテンツ買えない使えない、ついでにストラップホールもない等々 (ただ、いわゆる「携帯メール」使えないは@softbank.ne.jpのMMS解禁でほぼ解決しました)。ついでにいえば「スマート」フォンのくせにユーザーアプリのマルチタスクできない、そもそもApp Storeでアップルの都合を邪魔しないアプリしかインストールできない、数年前のWindows MobileやSymbianで当然できてiPhoneで不可能なことがまだまだ多い、他のプラットフォームなら無料あるいはフリーソフトウェアで揃っているようなアプリ・ユーティリティでも存在しない、あっても有料DRMつきでしかない場合が多い等々、iPhoneそのものの性質も「これは電話でもスマートフォンでもなくiPhoneである」と腹をくくるか、将来に期待するしかありません。


それでもわざわざ最新機種にするか / 乗り換えるか否かは、iPhoneをメインの携帯電話あるいは携帯デバイスとして常用するか否か、「おなじ」携帯でもストレスなく快適に使えることと月々の金銭的な負担をどう評価するか。ストレスフリーはアプリ起動や表示、日本語入力のもたつき以外にも指紋や皮脂で汚れにくい画面、何が写っているのか分かる写真が取れる可能性が高い、Apple In-Ear Headphonesなどの有線リモコンで音量調節が使えるといった点も含みます。価格の考量を抜いて指標を並べるなら:
  • 3Gを気に入っているなら買い増し。3Gはバックアップか 脱獄 研究用、やや重いけどフル機能 iPod touchとしてトレード要員へ。
  • ゲームや新着アプリを自分からチェックしにゆくユーザーなら文句なく買い。待たされる時間が違いすぎる。ものによってはフレームレートも上がる。
  • サブ携帯として、iPhone「シーン」の話題についてゆくためたまに起動するくらい、常用はしないなら3Gでも変わらない。でもGPSとコンパス・加速時計を組み合わせたアプリや「3Gでは重い」アプリが話題になったときは我慢。
  • 待ってもあとから高性能な機種を買った方がいいという人は待ち。アップルはおそらく毎年新モデルを投入してくるので何年でもお待ちいただけます。
  • ぺたついている人は買い。
  • iPodと携帯がひとつになると便利、という素朴なかたは上記「iPhoneでできないこと」を復習してから3GSを買い。リモコンでボリューム調節、音声で曲名確認やアルバム・アーティスト選択ができます。
  • この御時世にまだプロセッサパワーという言葉でときめくことができる少年少女および紳士淑女には義務。リッチな携帯電話の世界ではまだCPUの差が操作感に極端に効いてくるため、「マシンパワーはいいものだ。たぶんなによりもいいものだ。そして、良いものは決して滅びない」と真顔で主張できます。ついでにSnapdragon端末も年内に登場するらしいTegra携帯も買いましょう。
大幅アップデートとなった3.0に続く iPhone OS 3.1は現在開発者向けにベータ配布中。3.0のバグや露骨な欠落の多くは修正・改善される見込みです。もちろん、旧機種となるiPhone 3Gも最新 OSにアップデートできます。
 
 

TechCrunch 注目記事新型コロナのソーシャルディスタンスを支援するビデオチャットアプリ8選

新型コロナウイルス 関連アップデート[TechCrunch]
関連キーワード: apple, features, iphone, iphone 3g, iphone 3gs, iphone os 3.0, Iphone3g, Iphone3gs, IphoneOs3.0
0シェア
FacebookTwitter