Xbox 360といえば全身をコントローラ化するProject Natalが先週の東京ゲームショウでも話題でした。いかにも健康によさそうなProject Natalですが、だからといって現行のXbox 360が心臓病のリスクを軽減すると言われれば奇妙に感じるのではないでしょうか。しかし英国ウォーリック大学が行っている研究はまさにそういうものです。彼らはXbox 360のACアダプタをダンベルがわりにするエクササイズ方法を発見した......のではなく、チップを改造したXbox 360を利用して心臓のモデル演算を行い、医者が心臓の異常や不整脈を発見できるシステムを設計しました。

もっとも、ゲーム機の高性能を研究用途にも、というのは珍しい話ではありません。例えばタンパク質の構造を分散コンピューティングによって演算するFolding@homeプロジェクトにPS3が大きく貢献していることはよく知られています。ではなぜウォーリック大学はXbox 360を選んだのか。それは心臓のモデル化システムが、Xbox 360用ゲームのデモを土台にしているからです。

もととなるデモを作ったのは英国シェフィールド大学で心臓の研究をしながらゲーム業界でソフトウェアエンジニアとして働くという、独特のキャリアを歩んでいるSimon Scarle氏。Scarle氏はマイクロソフト傘下のレア社でシューター系のデモを開発したことがあり、そのときの戦闘フィールドが心臓に似せた形だったことから今回の研究に繋がりました。レア社といえばスーパードンキーコングやバンジョーとカズーイ、ピニャータなどで有名なイギリスのゲーム開発会社。シューター系ゲームが巡り巡って心臓病に役立つというのは不思議な因果です。

ウォーリック大学の研究成果はJournal of Computational Biology and Chemistryの8月号に掲載。従来のスパコンを使ったシステムに比べ、同じ成果を1/10以下のコストで、5倍のスピードで提供できるとのことです。次はゲーム業界をモデル化し、複数プラットフォーム間で揺れるゲーマーや開発者を楽にするというのはいかがでしょう。