今年6月のル・マン24時間レースにおいて最も注目を集めた変態レーシングカー、日産デルタウィングがサーキットに帰ってきます。開発スポンサーでありエンジンも供給する日産自動車が、10月にアメリカのロード・アトランタで開催されるアメリカン・ル・マン(ALMS)シリーズ最終戦、通称「プチ・ル・マン」への参戦を発表しました。

今回、デルタウィングのコックピットに収まるドライバーには、2011年の ALMS・LMPC クラスチャンピオン、グンナー・ジャネットに加えて、欧州日産が主催する「GT アカデミー」出身のルーカス・オルドネスが抜擢されています。

GT アカデミーとは、欧州日産と SCEE(ソニー・コンピュータ・エンターテインメント・ヨーロッパ)が2008年に開始した、『ゲーム「グランツーリスモ」で最も速いプレイヤーを現実のレーサーにする』プロジェクト。この年、2万5000人のゲーマーの中から勝ちあがり「初代・グランツーリスモチャンピオン」に選ばれたのがオルドネスでした。オルドネスはその後、GTアカデミーで現実のレーサーになるべく訓練を受け、実戦デビュー。そして2011年にはル・マン24時間でクラス表彰台を獲得するまでに成長しています。

ル・マンに続きALMS最終戦に参戦するマシン、デルタウィングの特徴は、なんといってもこの奇抜すぎるシルエットです。戦闘機のようでもあり、またバットモービルのようにも見えます。極端に幅の狭い先端部にはバイクのタイヤのような2本の前輪が収まり、コックピットから後半は、上から見るとその名のとおり三角形の翼のような形状をしています。この部分は、ボディ下面を流れる空気を利用して路面に吸い付く構造になっていて、高速走行での安定性を確保する仕組みです。
エンジンには日産の市販車「JUKE」搭載エンジンをレース仕様にチューンした、1600cc 直4ターボエンジン。最高出力は約300馬力と、他の出場車両に比べると馬力不足ですが、475kg の超軽量ボディによって、タイヤの摩耗や燃費面で有利であるとしています。ちなみに軽自動車は800kgぐらい。
なお、今回もル・マン参戦時と同じく実験車両向けの「ガレージ#56」カテゴリーでのエントリーであるため、デルタウィングは賞典外扱いとなります。ただしALMSは来シーズン、デルタウィングのシリーズ参戦を認める方向だと見られているほか、インディ500を擁するインディカーの下位カテゴリー用の車体としてデルタウィングを採用する動きもあるとされ、近い将来、デルタウィングが大量に走るレースが開催される可能性も出てきています。
ALMS 最終戦への参戦を語るスタッフとドライバーの動画はこちら。