NHK放送技術研究所のオープンラボイベント 技研公開2013 は、週末の日曜6月2日まで、世田谷区砧の技研で開催中です。入場は無料。時間は最終日も含め午前10時から午後17時まで。

テレビにかかわるあらゆるハード・ソフト技術を研究開発する技研だけあって、2016年目標の実験放送が近づくスーパーハイビジョンや、放送と通信を融合する新規格ハイブリッドキャスト(2013年内開始予定)など、40項目以上にわたる膨大な展示が実物を見られる・感じられる形で用意されています。

また講堂のスーパーハイビジョンシアターでは、2012年ロンドンオリンピックと、リオのカーニバルの映像を8K 3300万画素 SHV・22.2ch音声で常時上映中。「ここだけ2020年」な非日常が体験できます。

今年の目玉はやはり8Kスーパーハイビジョン関連。例年のごとく、ともいえますが、今年は2016年予定の実験放送開始を控えて、超小型8Kカメラヘッドや8K 120Hzカメラ、新規格の伝送・記録システム、8K HEVCリアルタイムエンコーダ、そして「一般家庭用に小型化した」145インチ音響一体型8K SHVディスプレイなど、すべてのレイヤーで一気呵成に開発が進む勢いがあります。



3300万画素のフルスペックSHV対応CMOSセンサと駆動装置を内蔵しつつ、12.5cm角で奥行き15cm、重さ2kgに小型化したスーパーハイビジョン用カメラヘッド。7680 x 4320 ピクセル 60fpsまで対応。

放送業務用のカメラヘッドなので、撮影時にはここからケーブルが伸び信号処理装置や伝送・記録装置 etc につながります。この形のままハンディカムのように撮影できるわけではないものの、かつては固定砲台のような大型カメラで撮影するしかなかったSHVがさらに機動的に撮影できるようになります。



こちらは120Hz フルスペックのSHVカメラ(右奥が超小型カメラヘッド)。3版式で12bitカラー、データレート144Gbps。8K 60Hzでも信号処理は恐ろしく大がかりなのに120Hz!と怯まざるを得ませんが、技術は着々と開発されています。





高精細がありありと感じられる距離で見たSHVは、これまでのテレビとは違った奇妙な生々しさがあるものの 、被写体やカメラの動きが速い場合、ぼんやりブレて見えた途端に「ああ、録画映像だな」と引き戻される感覚もあります。120Hz カメラは実際に60Hzと並べて効果が確認できる状態で展示中。ただし、表示装置は今のところ120Hz対応4Kディスプレイを4枚並べた方式です。



世界初!の手作り感が光る 8K HEVCリアルタイムエンコーダー。次世代コーデック H.265 / HEVC で、8K 60p 動画をリアルタイムに圧縮。仕様は7680 x 4320 /60p、4:2:0、10bit。HEVC Main 10 Profile @ レベル6.1 相当。最大ビットレート 340Mbps。

8K映像を 7680 x 256 の細長い映像 x17枚に分割して、それぞれに1枚の H.265エンコーダを割りあてて処理 (一番下だけちょっと細い)。




ついうっとりしてしまうスーパーハイビジョン映像伝送インターフェースと変換基板。





こちらは家庭用に小型化した音響一体型145インチ スーパーハイビジョンディスプレイ。家に145インチが置けるシアタールームくらいフツーだよね?(震え声)という話はともかく、表示用の信号変換回路やインターフェースの簡素化で周辺装置を従来比30%以下にし、ディスプレイ側に組み込むことで大幅に小型化しています。




SHVは規格的に音声を22.2chマルチチャンネル記録するため、忠実な再生には24個のスピーカー+ウーファーを設置する必要があります。この試作型は部屋中の壁にスピーカーを設置するかわりに、ディスプレイ外周にずらりと並べたスピーカーアレイで仮想サラウンド再生をするためのデザインです。スピーカーアレー部はフォスター電機との共同開発。

(「撮影・録音禁止」を堂々と写した写真が何枚かありますが、いずれもプレス日に許可を取って撮影しています。禁止表示がやたらと多いのは、主に映像の中身の権利関係。)





「技研どーもくん」と、マスコットキャラクター 「新ラボちゃん」もお出迎え。(写真は生「新ラボちゃん」の中の人 坂田弓佳さん) 。


技研公開2013 ではこのほかにも、裸眼3Dディスプレイや3D撮影技術、触覚・力感ディスプレイ、ホログラムメモリーやフレキシブル有機ELディスプレイといった未来系技術、NHKと民放の番組連動ハイブリッドキャストアプリ、あるいは「評判分析のためのTwitter解析技術」 やら「2次創作を楽しむSNS型コンテンツ創作システム」といったものまで、まだまだ多数の展示が楽しめます( 一覧は展示資料のpdf あたり )。イベントについてはNHKの技研公開2013公式ページへ。