米 Amazon.com が、権利者公認で二次創作作品を出版できる Kindle Worlds に作家カート・ヴォネガットの作品世界を追加しました。

『タイタンの妖女』や『プレーヤー・ピアノ』、『猫のゆりかご』、『スローターハウス5』といったヴォネガット作品の設定やキャラクターを使った作品を誰でも Kindle 書籍として販売でき、売上の35%を「印税」として得ることができます。残りは現権利者への支払いとアマゾンの取り分。



アマゾンの出版部門 Amazon Publishing が先月から開始した Kindle Worlds は、既存の小説や漫画、映画、テレビドラマ、ゲームなどの作品世界についてアマゾンがあらかじめライセンスを獲得することで、誰でもその世界設定を使った作品を Kindle プラットフォームで販売できる仕組み。

英語では Fan fic (ファンフィクション)などと呼ばれる二次創作作品の作者は、原作者や出版社、テレビ局など権利者と個人で交渉することなく、公認のかたちで作品を販売して印税を得ることができるようになります。


アマゾンが Kindle Worlds 向けに最初にライセンスを取得したのは、ワーナー傘下の Alloy Entertainment が権利を持つテレビドラマのゴシップガールやヴァンパイア・ダイアリーなど。

その後はさらに拡大し、現在では Valiant Entertainment のコミックス Bloodshot, X-O Manowar, Archer & Armstrong, Harbinger, Shadowman (もともと共通のシェアドワールドが舞台)や、ニール・スティーブンスンらが開始したシェアドワールド Foreworld などが含まれます。

当初は人気テレビドラマやコミックスなど、もともとネット上での二次創作が盛んな「いかにも」な世界や、プロ作家によるシェアードワールド企画のために作られた世界が対象となってきました。

一方、今回加わったヴォネガットは、ジャンルとしてはSFに分類される作品が多く geek の基礎教養でもありますが、いまや現代アメリカ文学の巨匠、米国を代表する文学者のひとりです (2007年没)。ヴォネガットの小説には複数の作品にまたがって登場する人物や設定が多く、作中作の作家にして作者の分身や、時の流れから切り離されて自分の過去や未来をランダムに知覚する主人公など、考えようによっては二次創作やスピンオフにふさわしい作品世界といえないこともありません。

作品をアマゾンに登録するうえでの手続きやガイドライン、著作権や出版権など諸権利の帰属、「印税」のシステムなどについては Kindle Worlds の発表記事をどうぞ