Nokia Lumia 1020は、スマートフォンとしては桁外れの4100万画素イメージセンサを採用したWindows Phone 8 (以降WP8) 端末です。短期間ながら試用する機会に恵まれたため、ハードウェア関連(前編)とカメラ関連(後編)の2回に分けてご紹介します。
カメラの最大出力サイズは7712×5360ピクセル
コードネーム「EOS」と呼ばれていた Nokia Lumia 1020は、2013年7月11日(現地時間)に正式発表を迎えました。今年前半までのフラッグシップ Lumia 920を軽量化し、PureViewではないもののカメラ機能を強化したLumia 925 は5月10日(現地時間)だったため、約2月遅れの登場となります。すでに海外では出荷が始まっており、また特定キャリア向けでなくグローバルモデルなので、秋葉原のSIMフリー系のショップやウェブ通販、日本語でやりとりできる Expansys など入手は比較的簡単でしょう。
CPUなど主要部分はLumia 92x系と同じです。最大の特徴は冒頭に書いたように、4100万画素センサーの「PureView」カメラを搭載すること。有効画素数は約3800万画素。最大出力サイズは7712×5360ピクセルとなります。同じ画素数のカメラを搭載したSymbian端末の「Nokia 808 PureView」も人気のモデルでした。
発売時期では Lumia 925 のあとに出た製品ですが、仕様的にはボディがアルミニウム(側面)のLumia 925より、ポリカーボネートでカラーバリエーションの豊富なLumia 920の方が近いと思われますので、1020 と 920 の 主な違いを表にまとめてみました。
端末名 | Lumia 920 | Lumia 1020 |
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OS | Windows Phone 8 | |
ディスプレイ |
IPS液晶 4.5inch
WXGA(1280×768/332ppi)
|
有機EL 4.5inch WXGA(1280×768/332ppi) |
CPU | Qualcomm Snapdragon S4(1.5GHz/Dual Core) | |
RAM | ||
1GB | 2GB | |
ストレージ | 32GB | |
外部メモリ | なし (microSD非対応。SkyDrive 7GB) | |
メインカメラ | 870万ピクセル f/2.0, レンズ5枚 |
4100万ピクセル f/2.2, レンズ6枚, Xenon flash |
サブカメラ | 1280×960ピクセル | |
サイズ |
130.3×70.8×10.7mm | 130.4×71.4×10.4㎜ |
重量 | 185g | 158g |
バッテリー容量 | 2000mAh(Qi対応) | (Qi非対応、オプションのカバーで対応) |
ディスプレイは4.5inch/1280×768ドット(332ppi)です。IPS液晶ではなく、Lumia 925と同じ有機ELが使われています。
CPUは両機種とも デュアルコア1.5GHzのQualcomm Snapdragon S4。他社製スマートフォンではクアッドコアで上位のSnapdragon 800クラスが使われ始めているので、このタイミングとしては少し惜しい部分です。
メモリは従来機種の倍となる2GB。現行のWP8採用スマートフォンで2GB RAMは唯一かつ最大です。センサーが高画素数なだけに、それを処理するのにより多くのメモリが必要なのでしょう。
ストレージは32GBですが、相変わらずmicroSDなど外部メディアは非対応。カメラのデータが大きいので、頻繁に撮影すると容量不足になる可能性があります。
ノキアは 以前からLumia 820など、下位モデルではmicroSDに対応しているのですが、Lumia 900以降のフラッグシップ系は非対応で残念です。これはボディのリアパネルが外れるかどうかで決まっているようです。側面にスロットをつけたくないのでしょう。
サイズはほぼ同じですが、カメラ部分が少し出っ張っていますので若干厚みが増えています。また興味深いことに、重量は逆に27g軽くなっています。
バッテリー容量は変わらないものの、非接触充電 Qi には非対応。Lumia 925と同様、オプションカバーでの対応です。厚みや重さとのトレードオフとなる部分で、Qiに関しては充電時のみ必要な機能と言うこともあり、ノキアでは Lumia 720や925以降、オプション扱いになる傾向があります。
携帯ネットワークと最大速度、対応周波数帯域は、
3G(DL:HSDPA 42.2Mbps / UL:HSUPA 5.76 Mbps)
WCDMA:900 MHz / 2100 MHz / 1900 MHz / 850 MHz(GSMにも対応)
4G(DL:100Mbps / UL:50Mbp)
LTE bands:1 / 3 / 7 / 8 / 20
その他、Bluetooth 3.0、IEEE 802.11 a/b/g/n、NFCなどに関しては変わっていません。カメラ部分については、大幅に異なることもあり、後編で詳細をお伝えしたいと思います。
フロント
上部右上にフロントカメラ、下にスタートキーなどが並びます。一見、Lumia 920とほとんど変わりません
リア
リアカメラの周囲は黒く丸い凸状で存在感があります。小さいコネクタはQi対応のカバー用です
上側面
オーディオコネクタ、Micro SIMスロット。カラーバリエーションはブラック、ホワイト、イエローの三種類です
下側面
左側にストラップホール、右側にあるスピーカーのスリットはLumia 920より広くなっています。中央にUSB2.0(Micro-USB-B)があります
右側面
音量+/-、電源、シャッターボタン。左側面には何もありません。リアのカメラ部により、傾いているのがわかります
付属品など
黒いUSBケーブルとACアダプタ。ボディの色に合わせた黄色いヘッドホンがおしゃれです
ポリカーボネートでもLumia 920とは違う質感
Lumia 920と比較して持った感じは、同じポリカーボネートでも表面がツルツルのLumia 920に対して、Lumia 1020はザラザラしたマットな感じです。手から滑り落ちそうになることも減るでしょう。またたった27gの差とは言え、Lumia 920のようにズッシリ重く感じません。Lumia 920との比較(リア)
カメラ部分の迫力がまるで違います。フラッシュはXenon flashです。また同じポリカーボネートでも光沢感に違いがあります
目を引くカメラの部分があるため、一見バランスは少し悪そうでしたが、これは取り越し苦労でした。ジーンズのポケットへの収まり具合もこの程度の厚みなら問題ありません。全体的にLumia 920をうまくリファインした雰囲気で、筆者としてはこちらの方が好みです。作動速度やスピーカーのサウンドなどはどちらも同じでした。ベースとなる主要コンポーネントが変わらないため納得の結果といえます。
Lumia 1020(有機EL) / Lumia 920(IPS)
ディスプレイはIPS液晶と有機ELで色が結構違います。Lumia 1020の方が最大輝度、彩度やコントラストも高い感じです。ただ視野角はIPS式の方が広く、角度をつけると有機ELは緑被りしていきます。
発色のバランスは、Lumia Amberと呼ばれるソフトウェアアップデート以降、設定のディスプレイ+タッチ、Lumiaカラープロファイルの項目から、彩度/色温度の調整が可能になったため、好みに応じて変更できます。Lumia Amber アップデートは Lumia 920 にも適用可能です。
余談になりますが、このLumia Amberアップデートで、通信量をモニタリングする「Data Sense」、「Nokia Pro Cam」対応、スリープ時に時間とバッテリー残量を表示する「Nokia Glance Screen」、ディスプレイをダブルタップしてスリープ解除、シャッターボタンを押した時に起動するカメラアプリの選択、FMラジオ(但し周波数が異なるため日本ではほぼ使えません)、CardDAV/CalDAVプロトコルに対応などの機能が追加され、より便利になりました。
Nokia Wireless charging cover / Nokia Camera Grip
オプションのカバーは、「Nokia Wireless charging cover」と「Nokia Camera Grip」の二種類あります。前者はQi充電に対応するためのカバー、後者は名前の通り撮影し易いようにグリップ、そして三脚用のネジ穴もあるカバーです。
Lumia 1020で撮影したサンプル(f/2.2, ISO1600, 1/4秒)
期待のリアカメラ、興味を持って頂けるよう、印象的な写真を一枚だけ掲載します。パッと見、何の変哲もない写真ですが、通常、一般的なデジカメでもこれだけ明るく綺麗に撮れないシュチエーションです。撮影データからも分かるように、仮にISO6400でもシャッタースピード1/16秒と、かなり暗い場所なのです。また手ブレもしていません。AWBでの発色も見事。驚くべき性能です。
後編では標準搭載アプリと、「PureView」カメラの機能に絞ってご紹介したいと思います。