先日 KDDI が開設した Web上のオープンラボ「au未来研究所」(A.U.F.L.)で、神山健治監督のオリジナルアニメ「もうひとつの未来を。」の配信が始まりました。架空の研究所ながら実際にあるKDDI研究所をモチーフにしたこのアニメ、参加ユーザーは研究の所員となって、仮想空間上のラボで発生した事件に巻き込まれていきます。

今回の企画は、近頃流行りの現実とバーチャルが交差する参加型アトラクションのような、そんなauのプロモーションです。プロモーションではありますが、いわゆるマス広告型のみんなに知ってもらおうと言った主旨の施策ではなく、KDDIとしては、auとユーザーのより親密で、より継続的な顧客接点を作りたいと狙ったもの。古い言葉を使えば「(auを)なが〜く愛して」もらうための施策です。



アニメの内容は、A.U.F.L.の研究員がたまたま作ってしまった、未来と通話できるケータイを使って友人に電話をかけると、電話をかけた本人が自分が死んでしまったことを知るというもの。

アニメーションの制作はProduction I.G.、監督は神山健治。音楽は菅野祐悟。声優陣には、福山潤、佐倉綾音、てらそままさき、佐竹海莉、高木渉、加隈亜依。全3話で、1話7分程度。英語字幕付き。




アニメとユーザーをつなげる、A.U.F.L.プロジェクト全体の世界観は、神山監督と博報堂の古田彰一のクリエイティブディレクターが共同CEOを務めるSTEVE N' STEVEN(STST)の担当。

なお、A.U.F.L.は、現実にあるKDDI研究所に併設した組織という位置づけ。KDDI研の実際の所在地と同じ住所にあり、アニメに登場する外観もKDDI研究所となっています。




参加者が見るA.U.F.L.のWebサイトは、所員が使うパソコンの画面という設定。ただし、Flash非対応の多くのスマートフォンで見ると以下の通り。所員が外部からアクセスできないようにしている......、わけでもないようです。






研究員にはアニメの登場人物のほか、KDDI研の実在する研究員らもメンバーにいます。ユーザーから募集したアイデアは、STSTがデザイン面のイメージを膨らまし、KDDI研究所のメンバーが技術的な立場からコメント。アイデアスケッチには、A.U.F.L.の所長のハンコを押印して、ホンモノ感を演出します。

なお、12月10日現在、Webを通じたユーザー参加者は7600人。アイデア投稿数は200件で、このうち、Production I.G.のアニメーターがアイデアスケッチにしたのが14件とのこと。12月にも研究案件を決定し、2014年2月に研究成果として発表する計画。ただし、実際にそれを製品化するところまではいかないようです。





今回のプロジェクトを担当する塚本陽一担当部長は、ドコモのiPhoneを発売などによって、各社の差別化ポイントが少なくなり、「最後はブランドイメージ」だと話しています。A.U.F.L.のような取り組みを通じて、「なんとなくauっていいよね」と思うユーザーが広げていきたいとしています。

また、STSTの古田共同CEOよれば、「フィクションとノンフィクションが崩れているような、キワを曖昧にしたものが受けている」とのこと。KDDI本社に似たビルでの会議風景など、嘘のような本当、本当のような嘘を演出しているそうです。アニメ作品の予算については非公開ですが、劇場クオリティの5.1chで作っていると話していました。

KDDIでは、A.U.F.L.を長期のプロジェクトとしたい考え。あくまでも想像ですが、実在する研究所や実在する本社などが登場するとなれば、今後のリアルイベント、O2O(Online to Offline)施策などにも発展しそうです。