今回はいよいよ、ハイエンドLumiaの魅力であるカメラ関連についてお伝えします。2000万画素センサや Carl Zeiss lensを搭載し、抜群の描写力に加え拘りのあるアプリ群など、最上位機種だけあってその写りはなかなかのものです。
20MP PureView カメラを搭載しDNG対応
Lumia 1520が搭載するカメラは20MP PureViewです。Lumia 1020、920同様、Carl Zeiss lensを採用し、光学手ブレ補正機能もあります。それ以外の部分をLumia 1020と920で比較するため表を作ったところ、意外と違うことが分かりました(以降Lumia 1520 / 1020 / 920の順です)。まずセンサーのサイズは、1/2.5inch / 1/1.5inch / 1/3.2inch。Lumia 1020と920の中間に相当します。写真の画質はサイズに対する画素数も影響しますので、一概には何とも言えない部分ですが、画素数は20MP / 41MP / 8.7MPとなり、うまくバランスを取っている感じがします。
レンズの焦点距離は35mm換算で26mm相当と三機種とも同じです。iPhone 4S(35mm相当)からiPhone 5s(30mm相当)へ乗換えた時、若干違うので慣れるまで違和感がありましたが、この三機種に関してはスムーズに移行できます。
ただ最短撮影距離は10cm / 15cm / 8cmと、Lumia 920より若干遠くなり、花などにグッと寄れなくなります。とは言え、Lumia 1020の15cmよりは近くまで寄れますのでそれほど問題にはならないでしょう。
Lumia 1520 | Lumia 1020 | Lumia 920 | |
センサー | 20MP PureView | 41MP PureView | 8.7MP PureView |
レンズ | Carl Zeiss lens | ||
サイズ | 1/2.5inch | 1/1.5inch | 1/3.2inch |
f値 | f/2.4 | f/2.2 | f/2.0 |
焦点距離(35mm換算) | 26mm | ||
最短撮影距離 | 10cm | 15cm | 8cm |
レンズ枚数 | 6枚 | 5枚 | |
フラッシュ | LED | キセノン | LED |
光学手ブレ補正 | あり | ||
ISO感度 | Auto, 100, 200, 400, 800, 1600, 3200, 4000 | ISO Auto, 100, 200, 400, 800, 1600, 3200 | ISO Auto, 100, 200, 400, 800 |
f値は 2.4 / 2.2 / 2.0と、Lumia 1520が最も暗くなっています。その分、最大ISO感度が、4000 / 3200 / 800と、最も高くなっており、暗い場所でも問題無く撮影できます。またボケ味も理論上は不利になりますが、もともとセンサーのサイズがデジタル一眼レフなどと比較してかなり小さいため、実際の写りは大差ありません。
細かい部分では、内蔵フラッシュは、LED / キセノン / LED。レンズの枚数は、6枚 / 6枚 / 5枚です。フラッシュがキセノンでないのは残念ところです。またレンズは一般的に枚数が多いほど写りは良くなりますので、この点はLumia 1020と同じと言えるでしょうか。
レンズ周りのLumia 920との比較。全体的にLumia 1520の方が大き目です
今回、ギャラリーにLumia 1520で撮影した写真を30枚ほど掲載しましたのでご覧下さい。撮って出しのJPEGと、RAW現像したものが混ざってますが(全体の半分程度)、スマートフォン内蔵カメラでこれだけ撮れれば文句無しです。
通常、Nexus 7など7インチ以上のタブレットとなると、大きくて安定させるのが難しく撮り辛いのですが、6インチのLumia 1520はギリギリ、スマートフォン感覚で撮影可能です。
参考までに明るい場所で撮影した写真と、暗い場所で撮影した写真を1枚づつ、横620ピクセルに縮小したものと、等倍で横620ピクセル切出したものを載せました。
また撮った時は気付きませんでしたが、暗い場所での写真はシャッタースピードが1/5秒となっています。通常これだけ遅いと、手ブレ補正ONでもかなり注意して撮影が必要ですが、普通の感覚で撮ってもブレていないのは驚きです。
Lmina 920や1020も含め、iPhone 5sやXperia Aと写りが違うところは、あまり派手過ぎず、色もノッペリと塗った感じにならないところでしょうか。芯を残しながらも柔らかい描写で、硬い描写のiPhone 5sやXperia Aとは、逆の特性を持ちます。
実際保存される画像の画素数は、5MPで3072×1728ピクセル、16MPで5376×3024ピクセル(DNGも同様、一枚2MB前後)です。
明るい場所(ISO100, f/2.4, 1/1448秒) / 横620ピクセルに縮小した写真(JPEG5MP)
明るい場所 / 等倍で横620ピクセル切出した写真(JPEG5MP)
暗い場所(ISO1250, f/2.4, 1/5秒) / 横620ピクセルに縮小した写真(JPEG5MP)
暗い場所 / 等倍で横620ピクセル切出した写真(JPEG5MP)
Lumia 1520のカメラの特徴として、1020同様、AdobeのDNGフォーマットにも対応し、後からRAW現像できることです。画質の向上はもちろん、ホワイトバランスや明るさ、色被り除去などもJPEGの状態で操作するより、はるかにうまく処理できます。
当初「スマートフォンのカメラでRAW現像までは......。」と思っていましたが、ハードウェア編でご紹介した通り、Lumia 1020や920とは違いmicroSDに対応しているので内部ストレージの残量を考えずに撮影可能になり、スナップなどもバシバシ撮れます。
Nokia Cameraは撮影時に、ホワイトバランス固定、露出補正なども設定可能です。撮る段階でしっかり調整すれば問題ありませんが、流石に普通のカメラほどサクッと設定できず、少し時間を必要とします。とりあえずJPEG+DNGで撮影し、場合によっては後から調整した方がシャッターチャンスを逃がしません。
撮って出しのJPEG
日陰だったので色温度が高めで青っぽくなっています
PhotoshopでRAW現像中
主に色温度を変更し、トーンカーブ、色被り除去、彩度強調などを行いました
RAW現像後
見栄えのする綺麗な写真になりました
多彩なNokia製アプリ
カメラを使ったNokia製アプリは、Nokia Camera、Nokia Cinemagraph、Nokia Creative Studio、Nokia Glam Me、Nokia Panorama、Nokia Play to(DLNAプレイヤー)、Nokia Refocus、Nokia Storyteller Beta(ソーシャルネット)など、紫色のタイルに統一されています。撮影すると言う意味では、Nokia Camera、Nokia PanoramaとNokia Refocus。編集は主にNokia Creative Studio。遊び系(?)は、自分撮り+エフェクトのNokia Glam Me、写真でアニメーションが出来るNokia Cinemagraphになるでしょうか。
Nokia Camera 自動モード / プロモード / 設定1
Nokia Pro CameraとNokia Smart Cameraを統合し、Nokia Cameraに一本化されました。自動モードは、フラッシュ ON / OFF / 自動、撮影モード Auto / 夜景 / スポーツの切替だけの対応です。
プロモードは、フラッシュ / ホワイトバランス / 焦点距離 / ISO感度 / シャッター速度 / 露出補正に対応しています。また設定画面を見れば分かりますが、センサー自体は20MPですが、有効画素数は16MPとなっています。
設定2 / 露出ブラケット / レンズを選ぶ
フェイストラッキング(顔自動認識)、露出ブラケットにも対応しています。加えてレンズアプリと呼ばれる特殊なレンズ機能を持つアプリを撮影時に選ぶことができます。多くはエフェクト系ですが、先日MicrosoftからOffice Lensがリリースされました。ホワイトボードやノートに書かれた情報を、読み取り可能なデータにしてOneNoteに保存できます。
Nokia Panorama
パノラマ撮影しながら画面キャプチャするのが難しかったので、アプリストの画面キャプチャを掲載しました。まず左側の様に、スタート位置でタップすると数秒固定する必要があります。次にカメラを移動しながら画面右側の円を中央の円にピッタリ収まるまでカメラを右に動かします。この処理を必要分だけ繰り返しチェックボタンを押して撮影完了です。
Panoramaサンプル
ただ実際撮影すると、この中央の円に右側の円をピッタリ納めるのが難しく、パノラマ撮影はiPhoneの方が簡単でした。
Nokia Refocusサンプル 奥にフォーカス / 真ん中にフォーカス
Nokia Refocusサンプル 手前にフォーカスを合わしつつ色抽出 / 全てにフォーカス
元々Lumia 1520と1020のみ対応でしたが、先日全Lumiaで使える様になりました。撮影後、タップしたポイントでピントを合わしたり、全てでピントが合って見えるように、またピントを合わした場所の色だけ抽出し他はモノクロ化するなどの機能を持っています。
Nokia Creative Studio / Nokia Glam Me / Nokia Cinemagraph
Nokia Creative Studioは、まず画面キャプチャにあるように好きな色調を選び、その後で、ブラー(フォーカスオブジェクト、ラディアル+チルトシフト) / 作成(カラーポップ、コラージュ)、調整(カラーバランス、輝度、透明度、鮮明度) / 修正(クロップ+回転、赤目)の調整が可能です。かなり多機能でこれだけで十分楽しめます。
Nokia Glam Megは自分撮りした写真にエフェクトなどをかけることができます。Nokia Cinemagraphは、写真で簡易アニメーションが作れます。
以上のように、Lumia 1520はカメラ本体の性能はもちろんのこと、標準アプリでいろいろなことができ、とても楽しめる内容になっています。同社のカメラ系に関する拘りはなかなかのものと言えると共に、それがLumiaシリーズの人気の秘密となっているのでしょう。
次回の最終回は、少し大きいLumia 1520=ファブレットのちょっと変わった使い方などをご紹介したいと思います。