アップルが オーディオ機器メーカー Beats Electronics の買収に向けて交渉中であると、Financial Times ほか複数の海外紙が伝えています。総額は32億ドル。

アップルは伝統的に比較的小規模の企業を特定技術や製品のために買収し自社製品の開発に役立てて来ましたが、もし成立すれば、同社史上でも特異な大型買収となります。


Beats はミュージシャン Dr. Dre ことAndre Young氏と、プロデューサーJimmy Iovine氏が2008年に創業したオーディオ機器メーカー。赤いケーブルと" b " ロゴの目立つヘッドホンは人気を呼び、日本でもよく見かけるようになりました。

Beats はヘッドホン以外にもカプセル剤型 Bluetoothスピーカー Pill シリーズなどオーディオ機器を販売するほか、HPのノート製品に Beats by Dr. Dre ブランドで音響技術を提供したり、一時期は HTCが50.1%の株式を取得しBeats印のモバイル機器を販売するなど、音が関わる製品の多くに自社技術とブランドをライセンスしています。(HTCからは2012年に株を買い戻してパートナーシップを解消済み)。

また2012年には音楽サービスのMOGを買収し、今年2014年からは Beats Music のブランドで独自のストリーミング音楽サービスにも進出しました。



アップルとの交渉は、リンク先のWall Street Journal Financial TimesNY Times などがそれぞれ関係者から匿名を条件に得た証言として伝えるものの、内容は金額が32億ドルになる見込みであること、交渉は最終段階にあり早ければ来週にも発表の可能性があること程度。 Beats を買って具体的にどう使うのか、について詳しい情報は分かっていません。またあくまで交渉段階であり、成立しない可能性もあります。

なお32億ドルはアップルの従来の企業買収からすれば異例の多額ですが、膨大なキャッシュを貯めこんでいる(と時に株主から詰問される) アップルの財務的には大した額ではありません。クックCEOはかつて投資家向けのカンファレンスコールでキャッシュの使い道と買収戦略について問われて、「伝統」をことさら守る意識はなく、必要とあらば大胆な買収も辞さないと回答していました。もし成立すれば、今回の Beats がその案件になるかもしれません。