オーディオ機器メーカーのティアックがWi-Fi接続対応リニアPCMレコーダー、DR-22WL(写真左)とDR-44WL(右)を発表しました。業務用ブランドとなるTASCAM(タスカム)ブランドの製品です。発売時期は10月上旬。市場想定価格は22WLが1万6444円(税抜)、DR-44WLが税抜3万3111円(同)です。

特徴は、高音質タイプのデジタルレコーダーとしては珍しいWi-Fi接続機能を搭載した点。録音したデータの転送のみならず、iOSとAndroid版の専用アプリ『TASCAM DR CONTROL』を使ってのリモコン操作にも対応します。


TASCAM DR CONTROLをDR-22WLで使用した場合の画面


リモコン操作できる項目は、録音、再生、停止といった基本操作に加え、録音時の音質フォーマットをはじめとする各種の設定など。また、リモートで入力(録音)レベル調整とレベルメーター表示も搭載するため、録音時に必要な操作は一通りリモコンから可能な仕様です。

録音中の同時モニターこそ不可能ですが、録音後の音声確認もストリーミングで可能。公称でのリモコン可能距離は20m程度。これまでのポータブルデジタルレコーダーではズームマイクを使わなければ難しかったような、野鳥や動物の録音をはじめとする遠隔地にマイクを設置したい状況でも、リモコンを併用することで本体内蔵マイクによる録音が可能です。

ティアックは「(本体に操作で触れる必要がないため)タッチノイズ無縁のローノイズレコーディング」「赤外線リモコンを超える操作性と柔軟性、有線リモコンに迫る確実性を実現し、これまでのハンディレコーダーとは比較にならない自由な設置を実現します」とアピールします。


TASCAM DR CONTROLをDR-44WLで使用した場合の画面


しかも画面はスマートフォンやタブレットの(本体液晶に比べて)高い解像度を活かして、レベルメーターや時間情報などは高精細で見やすい表示にまとめられており、視認性が高いのもポイントです。

また、TASCAM DR CONTROLは音楽ファイル共有サービスのSoundCloudへのアップロード機能も搭載し、録音したデータのSoundCloudへのアップロードが素早く行えます。なお、対応する規格はIEEE 802.11b/g/n。屋外での使用が基本となるためか、2.4GHzのみです。



22WLと44WLの違いは、録音トラック(チャンネル)数。22WLは一般的な2チャンネルステレオ用ですが、44WLは4トラック対応。動作モードはステレオ×2、ステレオ×1+モノラル×2、モノラル×4から選択できます。



また44WLは、楽曲制作に活用できるMTR(マルチトラックレコーダー)モードを搭載。4つのトラックを個別に録音して、本体内でミックス(ミキシング)が可能です。ミックス時に便利なリバーブ(エコー)効果も搭載します。


さらに44WLでは、外部音声入力端子として、スタジオ用で多く使われるXLR/TRS端子を搭載。+48Vファントム電源(本体からマイクに電源を供給する機能)にも対応するため、スタジオ用マイクなどの(外部ミキサーを通さない)直接接続も可能です。さらにこの端子は、+4dBuライン入力としても使える仕様。スタジオ用の幅広い機器が接続できます。

また、両機種ではバッテリーも異なり、22WLは単3×2本、44WLは単3×4本。外部電源は、専用ACアダプタに加え、USBからの給電での動作も可能です。なお、44WLのみ専用ACアダプタが付属します。

アルカリ乾電池を使用した録音時のバッテリー駆動時間は、22WLが約17.5時間(内蔵マイク仕様時)、44WLが約16時間(MIC入力選択、ファントム電源未使用時)。エネループではそれぞれ約13.5時間と約12時間に減りますが、いずれにせよ最近のデジタルレコーダーだけあり、かなりの長時間動作です。

録音可能なフォーマットは、16/24ビット、44.1k/48k/96kHzのリニアPCM(WAV/BWF形式)と、44.1k/48kHz、32k~320kbpsのMP3。
記録メディアはSDカードで、対応する最大容量は128GBのSDXC。本体には4GBのmicroSDHCカードとSDカード変換アダプターが付属します。


マイクは、ステレオの中抜け現象(中央の音が薄く聞こえる)を防ぐ『X-Y方式』による、斜め方向段差つき配置の単一指向性タイプ。バンドのライブ録音などで生じる大きな音でも耐えられるよう、最大音圧は125dB SPL(22WL)、132dB SPL(44WL)と高い耐高音圧設計を採用します。また、万が一の音割れを防ぐ、自動録音レベル調節機能として、ピークリダクションとリミッターも搭載します。

外形寸法と質量は22WLが52.2×155×36.6mm(幅×高さ×厚さ)で170g(電池含む)、44WLが79×162.2×42.5mm、346gです。



DR-44WLの付属品。こちらのみ、ACアダプタやソフトケース、三脚マウントアダプタが付属します


コンパクトデジカメなどでは基本機能となりつつあるWi-Fiリモコン機能ですが、音楽用レコーダーとしてはまだ珍しいもの。ですが、メーカー側の提唱するメリットを確認すると「なぜいままでなかったのか」と思えるぐらいのメリットがあり、むしろデジカメよりも有効度は高い印象を受けます。


さらに両モデルは基本性能も最新のリニアPCMレコーダーとして水準以上。ブランドも信頼性の高いタスカムとあって、かなりの人気が出そうな予感。ともすれば、音楽用デジタルレコーダーにWi-Fiリモコン機能の流行を作るモデルとなりそうな気配がします。