米ニューヨークで現地時間9月21・22日に開催されたWorld Maker Faire New York 2014より。

「モノづくり」が身近になり、幅広いものが生み出されると、できたものと「興味を持つ人、買いたい人」を結ぶサービスも増えてきました。多額の資金調達に成功したニュースや、プロジェクトの多様さで知られるクラウドファンディングサービス Kickstarterのブースに集った成功プロジェクト17件から一部をご紹介します。



Kickstarterは広く「モノづくり」をする人=Makerを支援し、興味をもつ人と作者をつなぐサービスです。IoTガジェットや3Dプリンター、ロボット、ゲームなどの技術的な物だけではなく、映画、絵画、写真、フード、おもちゃなどを「Make」するものと定義。作者は制作するものの説明と必要な資金を公表して支援者を募り、目標額を達成できればプロジェクトを進め、頓挫せず完成した場合は支援者にあらかじめ約束していた成功時の見返りを提供します。



冒頭の画像で激しく放電する不思議なガジェットはMIT hackerspaceで誕生したoneTesla。Kickstarterで2万ドルを目標に資金を募り、16万9千155ドルを調達しました。



高圧電流が流れるコイルからバチバチと火花を散らしながらエレキテルのような音が鳴り、音楽を演奏します。馴染みのない音につられて多くの人が足を止めていました。oneTeslaはDIYキットであり、電気について学習ができる教育目的製品です。学生、DIYが好きな人、ミュージシャンなどを想定ユーザーにしています。2014年夏には、新しくtiny TeslaとoneTeslaTSをKickstarterのキャンペーンとして登録しています。



DIY MIDIシンセサイザーボードOtotoは、伝導性のある物ならばなんでも電極を付けて電子楽器にできます。単体で音を出すことも可能ですが、ボードに装着するセンサーを交換して音を変化させたり、電極をOtotoと楽器にしたい物に付けて触れると音が鳴り出します。



出展ブースの紹介とインタビューに対応してくれたKickstarterのコミュニケーション・ディレクターDavid Gallagher氏が演奏デモにチャレンジ。軽く野菜や果物に触れるだけで音を奏でられます。伝導性がある身近な物は、野菜や果物、植物のほか、水や金属など。また、OtotoとPCやiOSデバイスを結線するとMIDIコントローラーとして使うことも可能です。公開中のデモムービーでは、Ableton LiveとApple Garagebandを使用しています。

なお、製品名のOtotoは日本語の "弟=おとうと" が "音=おと" と発音が似ていることと、親しみやすい存在として弟分のようになってほしいという意図から名づけているとのこと。手がけるdentaku LtdはサウンドアーティストのYuri Suzuki氏とインタラクションデザイナーMark McKeague氏が2013年に立ち上げました。もちろん、dentakuは日本語の電卓です。



Kraut Sourceは、簡単に発酵食品が作れるステンレス製の台所用品。米国内でメジャーなガラス瓶であり保存容器のMason jarの蓋代わりに使います。World Maker Faire開催のわずか約3週間前の8月26日にプロジェクトの終了と資金調達の成功を迎え、Kickstarterから出展ブースへの招待を受けました。



ファウンダーのKaren Diggs氏は長年シェフを務め、その後大学へ戻り栄養学を専攻。その経験から、発酵食品は優れた栄養価があり、身体にも良いことを改めて実感したそう。しかし、発酵食品を作るには今まで大きな容器が必要で、手順も複雑。また、一度に大量の食材を漬けるために少人数には向かない食品でした。それを解決したいと考案したのがKraut Sourceです。



こちらは恐竜をモチーフにした3DパズルのBoneyard Pets。半月状の鶏冠を持つ獣脚類恐竜ディロフォサウルス、翼龍プテロダクティルス、小型恐竜ヴェロキラプトル、角竜のスティラコサウルスの4種類があります。素材はそれぞれ木製とアクリル製の2タイプ、大きさはそれぞれ4種類です。それぞれ支援者が支払う額で大きさは変わります。

資金調達が順調に進んだので、プロジェクト途中に数限定でアクリル製や蛍光に光るタイプも用意しました。



展示ブースにはその場で組み立てられるように4体ほどのパズルがシートの上に置かれ、目にした子供が笑顔を見せながら組み立てたり、組み立てたものをバラしていたのが印象的でした。なお、Kickstarterのオフィスにも特注した大型のBoneyard Petsが飾られているそうです。



KickstarterはMaker Faireだけではなく、アートフェスティバル、ムービーフェスティバルなどにも今回と同様にブースを出展しており、オンラインだけではなくオフラインでも掲載プロジェクトとその作者が、興味を持つ人とコミュニケーションできる機会を作っています。

なぜKicstarterで資金調達プロジェクトを立ち上げたのか、Kraut SourceのKaren Diggs氏と卓上型金属ワイヤー加工機械DIWireを出展していたPensa LabsのファウンダーMarco Perry氏に質問しました。

Karen氏は、以前より個人的にKickstarterで複数のプロジェクトを支援した経験があり、自然な流れでKicktarterを選択したとのこと。ほかのクラウドファンディングサービスでキャンペーンを支援したこともあったものの、選択肢にはなりませんでした。理由のひとつとして、 Kickstarterではキャンペーンが成功する(資金調達が成功する)まで手数料を徴収されないことを挙げています。

Marco氏は、Kickstarterはユーザーとコミュニケーションを取る機能やマーケティングツールが豊富で、簡単に利用できることを挙げました。製品に対する支援だけではなく、コミュニティを形成し、ファンとなってもらえる仕組みも良い結果につながったとのこと。

World Maker Faireの来場者には、Kickstarterの文字を見て足を止める人も多く居ました。また出展プロジェクトの担当者に話を聞いてみると、作り手と支援者をつなぐ仕組みの1つとしてクラウドファンディングが注目を集めていることを実感できました。