ついに日本でも個人向けに販売が始まったGoogleの Chromebook。国内ではASUS、日本エイサー、デルの3メーカーが発売しました。今回はデルの「Chromebook 11」をベースにChromebookの使い勝手をレビューします。
3メーカーがラインアップ、決め手はディスプレイサイズと価格
2011年に始まった海外販売から遅れること約3年、やっと日本でも国内向けのChromebookが購入できるようになりました。法人や教育機関向けには2014年7月から先行して販売しており、11月からASUS、日本エイサー、デルの3メーカーが個人向けにそれぞれChromebookを販売しています。3メーカーのChromebookはスペックがほぼ横並びですが、最も大きな違いは画面サイズ。国内では現状ASUSのみが13インチモデルを発売し、エイサーとデルは11.6インチモデルのみ。自宅で据え置きマシンとして利用するか、モバイルでも使いたいかで好みのサイズを選ぶといいでしょう。
メーカー | ASUS | 日本エイサー | デル |
---|---|---|---|
型番 | C300MA | C720 | Chromebook 11 |
CPU | N2830 2.16GHz | 2955U 1.40 GHz | Celeron 2955U 1.40GHz |
ディスプレイ | 13.3型 1,366×768ドット | 11.6型 1366 x 768ドット | 11.6型 1,366×768ドット |
SD | ○ | ○ | ○ |
カメラ | インカメラのみ | インカメラのみ | インカメラのみ |
無線LAN | IEEE 802.11a/b/g/n/ac | IEEE 802.11a/b/g/n | IEEE 802.11a/b/g/n |
USB | USB 3.0×1/USB 2.0×1 | USB 3.0×1/USB 2.0×1 | UBB 3.0×2 |
メモリ | 2GB/4GB | 4GB | 2GB/4GB |
ストレージ | 16GB/32GB | 16GB | 16 GB |
HDMI | ○ | ○ | ○ |
Bluetooth | 4.0 | 4.0 | 4.0 |
バッテリー | 約10時間 | 8.5時間 | 10時間 |
本体サイズ | 329mm×230mm×20.3mm(幅×奥行き×高さ) | 294×200×25mm(幅×奥行き×高さ) | 294×200×25mm |
重量 | 約1.4kg | 約1.32kg | 約1.32kg |
本体カラー | ブラック、ホワイト(4GB/32GB)スカイブルー、バレンシアオレンジ、ハニーイエロー(2GB/16GB) | グレー | グレー |
実勢価格 | 3万6800円(日本語キーボードモデル、税別) 2万9800円(英語キーボードモデル、税別) |
約3万円 | 3万1980円(メモリ2GB、税別) 3万8980円(メモリ4GB、税別) |
スペック面ではASUSが2.16GHzのCeleron N2830を搭載し、日本エイサーとデルは1.40GHzのCeleron 2955U。ストレージもASUSが機種によるものの32GBも用意しているのに対し、日本エイサーとデルは最大で16GB。無線LANもASUSのみがIEEE 802.11acもサポートしています。
一方、USBに関してはASUSと日本エイサーがUSB 2.0とUSB 3.0の2ポートに対し、デルはUSB 3.0×2ポートと優れています。
画面サイズで考えれば13インチ派はASUS一択。一方、11インチの日本エイサーとデルはスペックがほぼほぼ横並びでUSBがデルを上回っていることを考えるとデルが有利。そのぶん価格面ではエイサーがメモリ4GBで3万円前後に対して、デルは2GBモデルで税別3万1980円のため、価格重視であればエイサーがおすすめ、ということになります。
低価格ながら質感の高いデル Chromebook 11
こうした細かなスペックの違いはあるものの、Chromebookとしての使い勝手はどの端末も共通。見た目はノートPCながら中身はChromeブラウザのみが動作するというブラウザ専用端末です。デルの「Chromebook 11」は黒基調のシンプルなデザインながら、背面はマットな質感に加えて上部にChromeのロゴを埋め込んでおり、値段の割に安さを感じさせないしっかりした作り。
背面はマットな質感
サイズは11インチクラスということで小型ながら、重量は約1.3kg。最近のスリムなノートPCに比べてずっしりた重量感があります。モバイル用途ではやや重めの部類ですが、4万円を切る低価格さを考慮すればバランスを欠くほど重いわけでもありません。
本体キーボードはWindowsのノートPCによく似ているものの上段にはファンクションキーがなく、戻るや再読み込み、フルスクリーン、起動中のブラウザを一覧表示する概要モード、設定などのショートカットキーを搭載。さらに本体に左側にはいかにもGoogleらしい検索キーを搭載し、Web検索やインストール済みの拡張機能を簡単に検索できます。
Windowsと比べると文字入力そのものはさほど変わらないものの、日本語キーボードながら無変換キーが存在しないため、無変換キーを活用してカナ変換する人はやや苦労しそう。なお、一見すると検索しかできそうにない検索キーはファンクションも兼ねており、検索キーを押しながら数字の1〜10を押すことでF1〜10の機能を呼び出せます。
USBやHDMI、BluetoothなどPC周辺機器にも利用可能
ChromebookはChromeブラウザしか搭載していない端末ですが、より丁寧に言うならChromeブラウザに最低限の端末設定機能を用意した端末と言えそうです。無線LANの接続設定やディスプレイの輝度といった本体設定に加え、HDMI経由で外部ディスプレイへの画面表示も可能なほか、USBマウスやUSBストレージ、Bluetoothキーボードやマウスなどを接続して使うなど、周辺機器類はかなりPCに近い感覚で使えます。初期設定は言語やキーボード、無線LANを設定したのち、所有するGoogleアカウントでログインするだけ。普段Chromeで利用しているブックマークや拡張機能も同期できるため、Chromeブラウザだけに関して言えばいつも使っている環境をそのままChromebookに持ち込めます。
無線LANやディスプレイの設定は画面右下の通知エリアから選択。Chromeブラウザの設定に加えてChromebook本体もここから設定できるほか、Google Nowの通知もここから確認可能です。天気予報や交通ルート、宅配便の追跡といった情報を画面右下にて通知を受け、手軽に確認できます。
タイピングは良好、使いたいときに使える高速起動も魅力
低価格ながらキーボードはしっかり作られており、横幅は狭いながら文字は打ちやすくレスポンスも良好。筆者のモデルはメモリ4GBだったこともあり、Chromeでタブを10以上同時に開いて作業してももたつきはほとんど感じません。起動速度もChromeの魅力の1つ。電源を押してログイン画面が表示されるまでは10秒もかからず、使いたいときにすぐに起動できます。電源ボタンは本体ロックも兼ねており、長押しでパスワード入力が必要なロック状態に、さらに長押しで電源をオフにできます。
マルチアカウントにも対応し、複数のGoogleアカウントがあれば個別にChromebookへログインいて利用できます。また、ゲストブラウジング機能も備えており、アカウントを設定せずにブラウジングだけの利用も可能です。
ハード面はPCに近い感覚で使える一方、ソフトウェア面はシンプルなまでにChromeのみのため、Chromeブラウザで動作しないものは一切使うことができません。見た目はWindowsのように見えるものの、当然のことながらMicrosoft Officeや秀丸、SkypeといったWindowsでお馴染みのソフトは対象外。ブラウザベースではあるもののSilverlightも対応していないため、GyaOやdビデオなどSilverlightを使った動画サービスも見られません。
そう聞くと不便に思えるかもしれませんが、Windows PCで使っていたブラウザ以外の機能も、Chromeの拡張機能や各種Webサービスを活用することで、同等とは言わないまでもかなり近い感覚で活用することができます。次回はChromebookをより便利に使いこなすための活用方法を中心にご紹介します。
Google Chromebookレビュー
- デル Chromebook 11のハードウェア編(この記事)
- 使いこなし編