クアルコムSnapdragon 820プレビュー。認識し考えるZeroth(ゼロス)プラットフォーム導入

橋本 新義(Shingi Hashimoto)
橋本 新義(Shingi Hashimoto)
2015年03月2日, 午後 07:26 in cognitivecomputing
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スマートフォンやタブレット用SoCの代表的メーカーであるクアルコムが、MWC 2015に合わせた記者発表で、同社の次世代ハイエンドSoCであるSnapdragon 820をプレビューしました。サンプル出荷は2015年後半予定とされています。

......となればいつもであれば、機能的な改良点や特徴が続くところですが、今回同社が主な特徴として打ち出したのは、処理速度や省電力性能ではありません。いわゆるリアルタイム・コグニティブ・コンピューティング(Realtime Cognitive Computing)、いわば「即時に学習して認知するコンピューター機器」の第一歩となる点。タイトル画像はその「活躍想像図」です。



こうした目標を実現するためのプラットフォームが、Snapdragon 820搭載機で導入されるであろうZeroth(ゼロス:開発コード名)です。Zerothはクアルコムが初めて手がけるリアルタイム・コグニティブ・コンピューティングのプラットフォームとして2013年11月にプレビューされており、その第一弾となるのがSnapdragon 820搭載機(のおそらく一部)というわけです。

イメージとしては、各種センサーからの情報やいわゆる機械学習(machine learning)などを使い、ユーザーの行動パターンを学習、次に起こる行動を予測しつつ動作するプラットフォーム、といったところ。
クアルコム公式Twitterでも「Real-time cognitive computing is here.」と、この点のみを強調したアピールとなっています。




また今回クアルコムは合わせてZerothプラットフォームの紹介ビデオを公開していますが、そこで挙げられた例は、活用イメージということもあり、かなり先進的なものとなっています。

例えば「旅行者が駅の近くでスマートフォンをかざすと、3Dカメラからの情報を分析し建物の情報を自動解析。おもな被写体が駅(の形状)であることを認識して電車の来る時刻を表示。さらに背景に美術館が映っていれば開館時刻情報なども表示し、カフェが映っていれば、それまでに蓄積したユーザーの嗜好からティータイムを薦めてくる」......といったシチュエーションがあります(タイトル画像の状況です)。



また美術館の写真を撮影する際には、スマートフォン側が建物が歴史的建造物である点を認識。続いて特徴的な構図や露出を撮影すべく、自動で画角(ズーム)や露出の設定をする、といった事例も挙げられています。

これまでのスマートフォンは実際に各種センサーを活かした機能を実装してきたとはいえ、Zerothはかなり野心的な考えに基づくプラットフォームと呼べそうです。



ただし同ビデオには、しっかりと「Zerothプラットフォームをサポートする最初のプロセッサーは、将来製品であるSnapdragon 820となる予定です」という注釈が入っており、実際にここまでの機能が一気に実現できるかはともかく、Snapdragon 820が最初の世代の製品となることも紹介されています。

一方でSnapdragon 820自体の基本的な特徴としては、プレビューということもあり、公開された情報はわずかです。しかしその中でも特徴となるのが、CPUコアには同社独自開発の『Kryo』を搭載する点。

もちろん64ビット対応で、リリースでは「私たちのルーツであるフルカスタムデザインのCPUに戻りました」と、自社設計である点を強調しています。

合わせて、製造プロセスにFinFET、つまり三次元構造半導体の技術が導入されている点も特徴として公開されました。プロセス世代(配線幅)については伏せられていますが、多くの半導体製造企業ではFinFETは14nmとセットで導入されることが多い点、また実際に機器が登場するであろう2016年でのトレンドは14nmに移行していると想定される点から、14nmと考えるのが妥当でしょう。



合わせてクアルコムは、三次元指紋認証技術『Snapdragon Sense ID』も公開しました。こちらは発表タイミングからして、Snapdragon 820とほぼ同時に導入されるのではないかと予測できます。


今回のプレビューは基本仕様の情報公開などを伴ったこれまでのSnapdragonのものとはかなり雰囲気が異なることもあり、面食らった方も多いと思われますが、いずれにせよ、Snapdragon 820はサンプル出荷が2015年後半ということで、搭載製品の登場までにはおそらく1年以上掛かるものと思われます。

今後のスマートフォンの使われ方の方針となるであろうイメージ、それもかなり野心的なものをSoC界のリーダーであるクアルコムが打ち出したことで、今後いろいろな意味で話題となりそうなプレビューです。

 
 

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