ピクセラは、Mac用USBデジタルテレビチューナー『PIX-DT195』を発表しました。最大15倍の圧縮録画やDLNAを利用した録画番組のネットワーク試聴が可能なほか、試聴対応機種も追加されています。

また、ワイヤレステレビチューナー『PIX-BR310W』経由でXbox Oneでのテレビ試聴および録画が可能になる無料アプリの提供を7月15日より開始します。Kinectによるジェスチャー操作にも対応。

PIX-DT195のスペックなど詳報については下記のニュース記事をご参照ください。当記事では、PIX-BR310W+Kinectで実際にジャスチャー操作をしている様子と、発表当日に実施されたトークセッションをレポートしました。セッションの主なテーマは"ピクセラ製品の歴史"。

ピクセラからMac用3波対応USB接続TVチューナーPIX-DT195。1TB HDDに1500時間のトランスコーダ搭載

PIX-BR310Wは、2014年10月に発売。無線LAN経由でテレビ番組をリモート試聴できるほか、裏番組録画機能などを搭載しています。スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末などに専用アプリを導入することで視聴が可能です。これまではiOS、Android、Windows 8.1で対応アプリを用意していましたが、7月15日からはXbox Oneで同アプリが利用可能になります。


同機がXbox Oneに対応したことで、番組表の表示やチャンネル変更、録画の開始/中断などをKinectによるジェスチャーで操作できるようになりました。実際に操作している様子は下記の動画をご覧ください。


トークセッションではコラムニストの小寺信良氏を聞き手に迎え、ピクセラの成り立ちや、これまで発売した製品の中で特徴的な機種を振り返りました。話し手は株式会社ピクセラ営業企画本部長の森佳昭氏。(以下敬称略)

小寺信良氏

森佳昭氏

森:創業は1982年で、当時は堺システム開発という社名でした。創業当時はMac用プリンタドライバの開発を行っており、色んな企業さんからプリンタドライバの開発を請け負っていました。代表的な例としては、キヤノンさんのインクジェットプリンタで、今はPIXUSと呼ばれているシリーズの前身になったWonderBJという製品のドライバがありますね。

小寺:ピクセラっておもしろハードウェアを作るベンチャーという勝手なイメージがあったんですが、最初はソフトウェア会社だったんですね。

ドライバを開発するかたわら、Mac用のシリアル-パラレル変換ケーブルの開発も行い、インターフェイス変換関連の技術を蓄積。ここで得た変換技術を応用して、1999年に世界初のUSB接続DVD-RAMドライブ PX-DVRM/U1を発売しています。

森:DVDビデオデータをPowerPCで先取りし、USB(当時は1.1)のバッファ帯域を一杯まで使って転送し、最終的にはPCソフト側でデータを再加工して、プレイヤーに流すというマニアックなことをしていました。

ピクセラがTVキャプチャ製品をメインに取り扱う先駆けとなったのは、2002年発売の MPEG1/2テレビキャプチャーユニット PIX-MPTV/U1M(CaptyTV)。アナログ放送をリアルタイムにMPEG-2圧縮しつつ録画する装置としていち早く登場しました。

小寺:この時期はWindowsでもUSBのTVキャプチャーって流行ったんですよね。2000年にBSデジタル放送が始まって、2003年に地上波デジタル放送が始まる直前のタイミングです。TVのデジタル化が加速する時期で、PCによるTV放送のキャプチャーがブームになりました。

2005年には、ハイビジョン対応のデジタルテレビキャプチャーボード『StationTV』を発売。2005年は地デジが全国で見られるようになり、映像や音声がきれいになった分、コンテンツ保護が非常にシビアになった時期でした。

森:このとき著作権関係で交渉していたとある業界団体には『PCはハッキングマシン』とみなされていて、何度も門前払いをされました。ピクセラとしてはコンテンツ保護のガイドラインはしっかり守るので、商品を出させてくれという交渉を続けて、1年後くらいにようやく許諾をもらいました。このときは富士通製のPC(FMV)の一機能、レコーダー機能として搭載する分にはいいよということで許諾をもらったと記憶しています。

小寺:キャプチャーボード自体は、他社の製品にも搭載されていましたよね?

森:ピクセラという名前は出していませんが、後のシーズンで発売された機種には、弊社のキャプチャーボードを採用いただきました。

小寺:地デジが録画できるPCの第一世代って、実はみんなピクセラのボードを使っていたんですね。それ以降は各社の独自開発になっていくということでしょうか?

森:その通りです。

2009年9月には、簡易地デジチューナー PRODIAを発売。2011年7月のアナログ放送停波に向け、地上デジタル普及の条件として総務省が挙げた"5000円以下のチューナー"という課題を初めてクリアした製品です。イオン系列の店舗にて4980円で販売されました。

小寺:2011年7月24日までに全員地デジに引っ越さないといけない中で、テレビの買い替えができない人はどうすればいいのかという問題に対して、総務省がブチ上げたのが"5000円チューナー構想"でした。この件に関しては私も各メーカーに取材したんですが、2008年当時のコストを考えると、5000円でフルデジタルのチューナーなんてできるわけがない、というのが各社の一致した見解でした。その頃はせいぜい9800円くらいが下限の価格と言われていたのですが、ピクセラさんがそれから1年後の2009年に実現してしまったんですよね。

当時の地デジチューナーはCANチューナーなどの大きなデバイスで構成されており"サイズが大きく高価である"という課題がありました。これに対応するため、ピクセラのグループ会社であるRfStreamに小型で安価なシリコンチューナー製造を依頼し、当時のNECエレクトロニクス(現ルネサスエレクトロニクス)にデモジュレータやCPUデコーダなどをワンパッケージにしたチップを発注。その結果、従来よりも小型サイズのチューナーにできたといいます。

森:これはピクセラだけでは実現できなくて、イオンさんと手を組んだからこそできた話ですね。技術的な部分はピクセラが担当して、流通部分をイオンさんが担いました。PRODIAは岩手県にある工場で作ってたんですが、そこからイオンさんの物流のトラックに載せて、野菜の産地直送ばりに全国へ出荷しました。

2011年、ソフトバンクのアクセサリーブランド SoftBank SELECTIONにおいて、国内初のワイヤレス視聴向けテレビチューナー SB-TV02-WFPLを発売。2011年当時、iPadを取り扱っていたキャリアがソフトバンクだけだったということもあり、ピクセラが声をかけて実現したとのことです。

小寺:この製品は評判も良くて、2代目、3代目と続いています。外付けHDDが出たり、色んな展開があったと思うんですが。

森:現行の製品は6世代目ですね。

2013年には、Androidスマートフォン向けフルセグ視聴アプリをリリース。

森:Androidのスマートフォンはワンセグしか見られないのが普通だったんですが、画面もきれいになってきたので、フルセグも見たいよねという話が出てきました。フルセグを視聴する装置にはB-CASカードを挿さないといけないのですが、TRMPが定めた"コンテンツ権利保護専用方式"に沿ってプログラムを運用することで、視聴を可能にしています。

小寺:今回発表したPIX-DT195はMac用チューナーとしては6年ぶりの製品ですが、なぜ今、Mac用の商品をやろうということになったんでしょうか?

森:最近はMacのシェアが好調ということもあるのですが、ここ数年間開発を続けてきた技術とか、新しいTVの見方を色々な人に紹介したいという思いがありました。これまではMacbookなどのディスプレイ一体型の機種でしか使えなかったのですが、本機からはMac miniやMac Proといった外部ディスプレイ出力の機種でも利用できるようになっています。結果としては、色んな技術を詰め込んで、いい感じに商品化できたんじゃないかと思っています。