うわさが続いてきた次世代 Google Glass は年内にも登場するようです。
プロトタイプを試用したというGoogleのパートナー企業関係者によれば、新バージョン(Enterprise Edition)はコンシューマー向けではなく企業・業務向け。幅広のプリズムで視野角が広がり、Atomプロセッサ採用で処理速度・駆動時間・発熱を改善したほか、一般のメガネのように畳めるようになるとのこと。
(こちらは初代 Explorer Edition)
Google がメガネ型ウェアラブル端末 Glass を発表したのは2012年。初代は一般コンシューマー向け発売を前に活用の可能性を探るための Explorer Edition (XE)と称して、当初はごく一部の開発者や各分野のプロフェッショナル限定で配布したのち、1500ドルの有料テストExplorer Programとして一般の開発者やユーザー向けに販売していました。
発表当初のインパクトは大きかったものの、その後あまりコンシューマー向けに説得力のあるキラーアプリも活用法も登場せず、招待なしで米国内なら誰でも買えるようになったころには、1500ドルという価格やアプリのなさもあって話題にもならず、今年の1月にExplorer プログラムが終了したときはGoogleの大失敗、Glassチームは解散、メガネ型に未来がないことが証明された云々との評価もありました。
その一方で、業務用・産業用バージョンのうわさも以前から続いています。今回 Wall Street Journal や Re/code、9to5 Google などが関係者の話として伝えるEnterprise Edition (EE) の特徴は:
・初代のTI OMAPから、インテルAtomプロセッサへ変更。処理速度は向上、バッテリー駆動時間はやや改善。初代はアプリを使い続けるとすぐに切れてしまうバッテリーが不評でした。
OMAPは初代Google Glassの発表当時こそ広く使われた枯れたチップでしたが、メーカーのTIはすでにモバイルプロセッサへの投資を打ち切っています。
・表示部の改善。プリズムが幅広になり、視野角が拡大。右目の上に視野を妨げず表示する方式は変わらないものの、上下左右に位置を調整できるようになった。
・本体デザインの変更。日常向けではなく業務用として、よりインダストリアルな外見に。右側に本体とバッテリーの配置は変わらないものの、普通のメガネのように折れるようになった。バッテリーはマグネット式で脱着交換可能。
・防滴構造。開口部が減り、ボタンなども水や埃の侵入を防ぐようになった。
・熱問題の緩和。熱設計の改善で、連続使用時にユーザーが感じる不快感を軽減。
・ワイヤレス機能の性能向上。
・価格は、Googleとパートナーシップを結ぶ企業関係者とされる発言によれば、初代XE の1500ドルよりはずっと下。
2012年から、メモリ量などのわずかな進歩しかなかったExplorer Edition からは大きな進歩です。
(参考:Googleが謎のデバイス A4R-GG1 をFCC提出)
肝心のリリース時期については、これまた「詳しい筋」によれば今年の秋以降。ただし産業用・業務用としてGoogleの Glass at Work プログラムパートナーを通じての提供に限られ、定価の設定や一般向け販売は、少なくとも当初は考えられていないとのこと。
アップデートしたGlassが欲しかった向きには残念、業務用でスマートグラスを売る企業には特に価格に戦々恐々とするニュースです。Google の Glass事業担当者の正式な発言ではコンシューマー向けのGlass開発を諦めたわけではなく、さらに洗練された製品として市販版もいずれは登場する予定。
ですが、秋以降といわれる業務用からさらに世代を置いて発売となると、また今度こそ XE (やAndroid Wear)の教訓を活かしコンシューマーが欲しがるものに仕上げねばならないことを思えば、発売は遠くなると覚悟しておいたほうが良さそうです。