1300年の歴史とIoTと下心、光枡プロジェクトを追う(量産化への道編)

Takako Ouchi
Takako Ouchi
2015年08月11日, 午前 11:10 in hikarimasu
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7月7日にMakuakeでクラウドファンディングがスタートした「光枡」。先日お伝えしたように、Engadget 電子工作部でおなじみ情報科学芸術大学院大学(IAMAS)の小林茂教授らが、岐阜県大垣市で進めてきた「コア・ブースター・プロジェクト」発のプロダクトです。今回は3回に渡って、この光枡プロジェクトを追跡しました。

いよいよ、量産化への動き

量産化へ進もうというとき、プラスチック樹脂加工、基板製造、基板実装など、自分たちだけではできない部分が当然出てきます。どこか発注できる企業を探すことになるのですが、ここでも間接的にEngadget 電子工作部が絡んできます。

小林:Engadgetの1回目の電子工作部で、IRKitの大塚雅和さんと、プラスチック製品の試作や小ロット生産を得意とするミヨシの杉山耕治さんが同じチームだったんです。そこのチームの成果自体が世の中に出ることはなかったんですが、そのあと大塚さんが杉山さんと組んでIRKitを作っていて。その話があって、ある日、Facebookを見ていたら大塚さんが岐阜に来ていたんですよ。あれと思って「何しに来たんですか?」とメッセージを送ったら「実はいま、岐阜で基板を作っていて」と。

そこから話は早かったといいます。先方(久田見製作所)にメールを送ってみたら、「IRKitみたいな感じの話ですね」って、話がしやすかったそうです。Ogaki Mini Maker Fairが開催されたあたりで、Mini Maker Fairに来てもらって、実際に光枡を見てもらったところ、「なるほど、できるんじゃないですか」となったそう。

当初、基板製造は中国で、実装を久田見製作所に頼むつもりだったが、実装するときに発生する細かい制約など、いろいろ考えていくと「実装屋さんが取引のある基板屋さんに頼むと早い」と、結局、久田見製作所に基板製造と実装をお願いする形になりました。

遮光板の樹脂加工も大橋さんがつながりのあった会社に頼むことができ、こうして流れを追ったみただけだと、トントン拍子に話が進んでいるように思えます。しかし、「そもそも、これを製品として出そうというものがなかったらそこまでやらないので、1年半もプロジェクトが続いたことが大きい。それがすごいなと思います」と小林さん。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA左から、佐藤さん、小林さん、大橋さん、田上さん、齋藤さん、井戸さん

井戸:最初にもらった日程表では11月に発表して終わり、そこから先はみんなでがんばってね、みたいになっているんですが、途中からそれを忘れてしまっていて、出るまでとことんやるんだろうってつもりでいたんです。

また、プロジェクトマネージャーやプロデューサー的な立場のメンバーがいたことも重要なポイントです。メディア対応、進捗管理、チームのムードを盛り上げていくなど、プロデューサーの役割は大きいといえます。リアルでの打ち合わせはひと月に1回、ひどいときは3か月に1回。しかし、半月に1回くらいはFacebookに誰かが、進捗やいついつ久田見製作所さんに行きます、今度CEATECに持っていきますなど、活動状況を投稿する感じだったそうです。

大橋:プロデューサーがちゃんとリーダーシップを発揮してくれたことが大きい。それぞれが、それぞれに対して動く、まとめる。それが途切れそうになりながらも、うまく途切れなく続いてきた。

例えば、途中でメンバーが抜けたりということが出てきたときに、フラットな立場で集まっているチームの場合、なかなか進み続けることができなくなってしまうことがあります。状況に応じて、全体の進行や動きをきちんとコントロールする立場の人が必要なのでしょう。

七夕にクラウドファンディングを開始した光枡、現在1ヶ月余りが過ぎたところ。目標は、まずは100%の達成とのこと。その後の量産については、「細かいロットを重ねていくような形になると思います。予算設計というところの踏ん切りはまだ難しいですね。どれくらい出るかわからないので」(佐藤さん)とのこと。このあたりは、今後、この手の作り方をする製品の悩みどころになるのでは、と。

光る枡、「光枡」。リリースを読んだだけでは、産学協同事業のおもしろい試みの1つ、などととらえてしまいがちですが(確かにそれはそうなのですが)、実物を目にし、光る枡を手にすると「光る枡で飲む」という体験にワクワクしてきます。興味のある方は、このあと展示会などに光枡が出展する機会にぜひ実物をさわってみてはいかがでしょうか。光枡のモノとしての魅力を感じることができると思います。

なおコア・ブースター・プロジェクトですが、実は2014年5月に第2回が行われています。第2回のプロジェクトからは直接製品は出ていませんが、そこに参加していた人たちの中で新しい動きをやりたいという話が出ているといいます。

小林:最初にコア・ブースターを始めたとき、まったく根拠なく、こういうものがいいんだという話をして、成功事例があるのかと言われたら「ありません!」でしたが、光枡のプロジェクトで、いや成功事例がありますというふうになったら、次にもっとチャレンジしてみようという人たちが増えてくると思うんです。そうしたら、もっと楽しい世の中になっていくわけじゃないですか。いかに、次につなげられるかというところだと思っています。何らかの形で継続はしたいとは思いますが、それは第1回、第2回の繰り返しではないと思います。

コア・ブースター・プロジェクトの次の試みも気になるところですね。(了)
大内孝子(おおうち・たかこ):フリーライター/エディター。主に技術系の書籍を中心に企画・編集に携わる。2013年よりフリーランスで活動をはじめる。IT関連の技術・トピックから、デバイス、ツールキット、デジタルファブまで幅広く執筆活動を行う。makezine.jpにてハードウェアスタートアップ関連のインタビューを、livedoorニュースにてニュースコラムを好評連載中。著書に『ハッカソンの作り方』(BNN新社)がある。

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