8月31日、東芝製A19nm TLC NANDを採用した2.5インチSSD、OCZ「Trion 100」シリーズが発売となりました。120/240/480/960GBの4モデルある中、480と960GBを試用できましたので、簡単にベンチマークテストを行ってみたいと思います。
TLC NANDとは
多くのSSDにMLC NANDが使われているのはご存知の通りです。TLC NANDは従来、USBメモリやmicroSDカードなどに多く使われ、一般的に後者は安価な分、信頼性は前者に劣るというイメージが持たれています。また、メモリセルあたりのbit数が、MLCは2bit(ARC 100)、TLCは3bit(Trion 100)なので、理論上、リードはbit数の多いTLCが有利、逆にライトはbit数の少ないMLCが有利となります。
表(左)裏(右)
ただ実際パソコンのインターフェースに接続した時の性能は、コントローラーのできによるところが大きく、TLC用の純正コントローラーを採用し、MCLタイプのSSDと同等のパフォーマンスと耐久性を実現したのが「Trion 100」シリーズとなります。
960GBをすべてNTFSでフォーマットすると約894GB(左)CrystalDiskInfo(右)
ARC 100同様、メンテナンス、モニタリング、チューニング、OS最適化などが行える、SSDマネージメントツールの「OCZ SSD Guru」をダウンロードして利用できます。
SSDマネージメントツールの「OCZ SSD Guru」Overview(左)Tuner(右)
MLCと同等以上のパフォーマンス
今回比較するため、MLCのARC 100/480GB、TLCのTrion 100/480GBと960GBの3つを用意しました。
話が少しそれますが驚いたのは、Trion 100がかなり軽いことです。実測で49gと104g。ARC 100の半分以下でした。手に持っただけでその差がはっきりわかります。ノートPCなどをSSD化する時、少しでも軽くという用途でも有効でしょう。
ベンチマークテスト用に用意したTrion 100/960GB(左)Trion 100/480GB(上)ARC 100/480GB(下)
CrystalDiskMarkを使ったベンチマークテストの結果は以下の通りです。何と4Kライト以外は、すべてTrion 100が勝ってます。同モデルで容量による速度差もありません(多少違いますが誤差の範囲です)。エントリーモデルとなっていますが、パフォーマンスに関しては全く遜色無いといえるでしょう。
CrystalDiskMark。ARC 100/480GB(左)Trion 100/480GB(中)Trion 100/960GB(右)
気になる耐久性は手元で測定できませんので、同社のサイトによると、ARC 100がMTBF 200万時間、1日あたり20GB書込で3年間(標準的なワークロード条件に対して)。Trion 100はMTBF 150万時間、TBW(総書込容量)120TB、日あたりの書込量110GB/day(480GBモデル)。240TB、219GB/day(960GBモデル)となっています。
MTBFは劣りますが、耐久性は表現が異なるので単純比較はできないものの、1日の書込量はTrion 100の方が多そうです。
消費電力はARC 100がアイドル時:600mW、 動作時:3.45W。Trion 100がアイドル時:830mW、動作時:4.8W。Trion 100の方が少しパワーを必要とします。
また同社の話によると、容量ギリギリに近い状態で使い続ける場合は、ARC 100の方が速く、耐久性も高いとのことでした。
現在まだ出荷されたばかりで、価格がこなれていませんが、SSDの大容量化と低価格化に期待できそうなデバイスといえるでしょう。