Googleが、Android 6.0の"目玉機能"とも言える、「Now on Tap」の日本語版を発表しました。発表のあった11月10日よりサービスを開始しており、Android 6.0対応端末でGoogleアプリをアップデートして許可を与えると利用可能になります。

検索の新サービス「Now on Tap」


「Now on Tap」は、検索の新サービス。アプリを開いている画面で、ホームボタンをロングタップすると、画面上の言葉を自動的に検索してくれる機能になります。例えば、メールでやり取りしているときに、「フォンデュ」といったキーワードがあったとき、作り方を検索したいとします。ここでホームボタンをロングタップすると、Googleアプリが内容を読み取り、自動的に検索結果をオススメしてくれるようになります。

単にキーワード検索ができるだけでなく、アプリとも連携しています。上で挙げたフォンデュの例の場合、クックパッドのアプリをインストールしていると、そのアイコンも合わせて表示されます。タップすると、クックパッドの該当ページのレシピが自動的に開くというわけです。今まであれば、いったんメールを閉じ、「フォンデュの作り方」などのキーワードを入力して、検索する必要がありました。こうした手間を軽減できるのが、Now on Tapのメリットです。

「猿田彦珈琲」で「食べログ」をオススメした
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アプリ内の該当ページに直接飛べる


Now on Tapで検索可能なアプリは、種類を選びません。Google Japanの製品開発本部長 徳生裕人氏によると、「イメージとしては、画面に映っているものをコピー&ペーストして、Googleに放り投げている」という仕組みで、テキストがその対象になります。つまり、LINEであろうが、Facebookであろうが、テキストを使っていればNow on Tapの検索対象になるということ。コピー&ペースが面倒なアプリを使っている際には、利便性がさらに増すと言えるでしょう。

Now on Tapを紹介するGoogle Japanの徳生氏
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こうして原稿にまとめると非常にシンプルな機能ですが、それはあくまで見た目の話。裏方として支える技術にこそ、Googleの力が生かされています。徳生氏によると、Now on Tapは3つの技術によって実現しています。それが「ナレッジグラフ」「自然言語処理」「App Indexing」です。

3つの技術に支えられている
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ナレッジグラフとは、すでにGoogle検索に導入されている技術で、機械学習を元に、検索結果を拡張する機能のこと。たとえば、Googleで「Google」と入力して検索すると、企業情報が表示されますが、これもナレッジグラフの結果の1つです。スポーツチームの名前を入れると、試合のスコアなども表示されるようになっています。キーワードを入力するユーザーが、どんな情報を知りたいのかを、先読みして表示する機能とも言えるでしょう。

文字列ではなく、モノ・コトとして認識
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自然言語処理は、読んで字のごとく、人間の言葉を処理する技術のこと。Now on Tapでは、その画面に表示されている文章を、コンピューターが処理するために使われています。ここにも機械学習が取り入れられているそうです。また、App Indexingは2013年に発表されたAndroidの機能で、アプリ内のコンテンツにディープリンクを貼るためのAPIです。先に挙げたフォンデュの例で言えば、クックパッドがこのAPIを使っているために、アプリのアイコンが表示されるというわけです。

自然言語処理を導入
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App Indexingで最適な結果に導く
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機械学習は、今、Googleが力を入れている分野。最近の大型サービスとしては、写真の内容をクラウド上で読み取り、テキストでの検索を可能にする「Googleフォト」があります。機械学習は構想としては以前からあったものですが、コンピューターのパワーが追いついてきたこともあり、さまざまな分野に応用され始めています。同日開催されたGoogleのアジア・パシフィックプレス向けのイベントでも、映像中継で登場したエリック・シュミット氏が、「Googleがこの分野ではリーダー」であると語っています。Now on Tapにも、こうしたGoogleの技術の粋が集められているのです。クラウドを使って、モバイルの力を最大化する、非常にGoogleらしい機能とも言えるでしょう。

エリック・シュミット氏もGoogleの強みだと語る
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残念ながら、Android 6.0はまだ普及率が低く、日本ではNexusシリーズしか対応していません。Googleとしても、今のところはAndroid 6.0未満の端末に提供する予定はないようです。とは言え、ドコモは、冬春モデルを早期にAndroid 6.0へアップデートすると、加藤薫社長自らが語っています。他社に関してはまだ状況がはっきりとしていませんが、利用できる端末は着実に増えていくことが予想されます。Android 5.XとAndroid 6.0を比べると、以前ほどの大きな変化はないため、比較的、アップデートにかかる手間が少ないのかもしれません。

Now on Tapもまだスタートしたばかり。徳生氏が「野心的な取り組みの第一歩だと思っているので、温かいご意見をいただき、よりよいプロダクトにしていければと思っている」と語っているように、実際に使ってみると、まだまだ粗があります。発表会の会場にあったデモ端末に用意されていた環境では、きちんと動作していましたが、Web表示時に使うとかんばしい結果があまり返ってきません。試しに筆者の連載第1回を読み込ませてみましたが、キーワードとして抽出されたのは、「FREETEL」だけでした。

筆者の記事で使ってみた
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FREETELのTwitterを表示できた


また、別媒体の連載で大変恐縮ですが、ITmedia Mobileの記事でNow on Tapを起動してみたところ、内容とはまったく関係ないAV女優がヒットするアクシデントも。偶然知っている女優で、デモ端末に自分のアカウントを入れてしまったのかと思い、ヒヤっとしました(笑)。このままDMMのアプリが立ち上がれば便利なのでは......と考えたところで、そもそもその記事にはまったく女優の名前が出ていなかったことを思い出しました。

なぜか関係ない人物の名前が......

このように、文章が多いと、まだまだ本当に必要とする情報をリコメンドしてくれない印象はありました。一方で、Now on Tapには機械学習の技術が使われています。ユーザーが利用すればするほど、利便性は高まっていく可能性はあり、今後には期待できます。また、今のところはテキストだけですが、画像まで読み込めるようになれば、さらに機能性が高まります。その意味で、今後の進化にも期待しています。