アップルのティム・クックCEO(最高経営責任者)がアイルランドのダブリン大学での講演会で、マイクロソフトのSurface Bookを「どっちつかずの中途半端な製品だ」と皮肉る発言をしました。おりしも近いコンセプトを持つiPad Proを発売直前に控えたタイミングで、強烈なライバル意識が伺えます。
Surface BookはタブレットSurfaceシリーズの新製品であり、ノートPCとしても最大のパフォーマンスを狙った究極のハイブリッドという触れ込み。かたやiPad Proは専用キーボードの「Smart Keyboard」も同時発売され、今までのタブレットからノートパソコンとしての一部領域にも踏み出すもの。Surface Bookとはハイブリッド市場において全面対決しかねない格好です。
ティム・クックはSurface Bookを「頑張りすぎている。タブレットとノートブックになろうとして、どっちつかずになった製品だ」と酷評。iPad Proにも跳ね返ってきそうなブーメランを恐れない大胆な発言です。
しかし、ティム・クックが他社製品に対して皮肉を言うのは通常運転にすぎません。2014年のWorld Developer Conferenceでも、直近12ヶ月で初めてアップル製品を購入した人が1.3億人だったと誇り、それがAndroidからの乗り換えと分析。「彼らは間違えてAndroidを買ってしまったが、より良い体験と人生を求めたんだよ」と語っています。
そしてアップルとマイクロソフトが、iPadとSurfaceをめぐって皮肉を応酬し合うのもいつものこと。ティム・クックはWindows8発売の際に、タブレットと伝統的なパソコンを合体させたマイクロソフトのOSを「トースターと冷蔵庫を合体させるようなものだ」と発言。その3年後にマイクロソフトのWindows部門トップのテリー・メイソン氏が新製品発表会の直前に、「何か新しい物が飛び出すかもしれませんよ」とトースターと冷蔵庫を合体させたイラストをツイート。3年もの間、根に持っていたことが分かりました。
@maryjofoley, @alex, @thurrott, @tomwarren hope you enjoy the show today...pay attention – some new things might pop up pic.twitter.com/yHbgfLNyfN
— Terry Myerson (@tmyerson) 2015, 10月 6
ハイブリッド市場の先行きについて、アップルのマーケティング上級副社長フィル・シラー氏は「市場にそれほど大きな伸びしろはない」と語りつつ「iPad ProはSurfaceと似ているようだが、あくまでタブレット。スタイラスはオプションでSurfaceのキーボードのように必須ではない」と強調。素人目にはキャラが被っている両製品が煽りあったり仲良く喧嘩すれば、プロレス的に大きな存在感が発揮できるかもしれません。