持ち運べる3G対応固定電話、エイビット「ホムテル3G」開発秘話。IoTハブを全家庭に!:山根博士の海外スマホよもやま話

山根博士 (Yasuhiro Yamane)
山根博士 (Yasuhiro Yamane), @hkyamane
2015年11月30日, 午後 12:31 in abit
0シェア
FacebookTwitter

2011年、世間をあっと驚かせた固定電話型PHS「イエデンワ」をウィルコム向けに提供したエイビット。ほかにもフリスクと同じサイズをした小型PHS「ストラップフォン」や、世界初と言うハート形PHS「Heart」など個性あふれるモバイル端末を多数世に送り出してきた。

そのエイビットから今度はW-CDMA対応、SIMフリー版のイエデンワ「ホムテル 3G」が発売される。このホムテル3Gは通信回線がPHSから3Gになっただけではなく、新たな用途・機能も搭載しているとのこと。ホムテル3Gはどのように生まれたのか、エイビットの生産管理部リーダー、神田靖子氏にその背景や裏話を聞いた。

ホムテル3Gの開発に携わった神田靖子生産管理部リーダー

ホムテル3Gがイエデンワから大きく進化した点は、通信回線がPHSからW-CDMAに変わったこと。「弊社はこれまでコンシューマー向け製品からM2M向けモジュールまで、PHS回線を利用した製品を主に提供して来た。PHSにはPHSの利点があるが、W-CDMA/3Gは山間部などカバレッジもPHSより広く、またSIMフリーとすれば各社のMVNO SIMを自由に利用することができる。これから自社の3G、LTE対応製品ポートフォリオを拡大するために、その第一弾としてホムテル3Gを開発した」(神田氏)。

確かにPHSでは端末だけの購入はできず回線のセット契約が必要だったが、ホムテル3GであればSIMは自分で自由に用意することが可能であり、より多くのユーザーに使ってもらえる製品になるだろう。

しかし改めてホムテル3Gの外観を見てみると、固定電話と変わらぬデザインは大胆だ。「過去に2つの固定電話型製品を開発していたことから、ホムテル3Gのデザインについてもそれらを倣い、固定電話型という製品コンセプトをそのまま継承した。また固定電話型の端末に3Gを搭載することで、今までにはなかった機能を提供することを考えた」と神田氏は説明する。

パッと見ると固定電話にしか見えない

固定電話と同じように数字キーを押せば電話をかけることができるのは当然として、ホムテル3Gには新たに無線LANルーター機能を搭載したのが大きな進化。ホムテル3Gを家庭やオフィスに設置すれば、無線LAN対応のタブレットやゲーム機器を簡単にインターネットに接続できるため、利便性が大きく高まっている」(神田氏)。

確かにせっかく3G機能を搭載したのに電話しか掛けられないのではちょっと勿体ない。ルーター機能があれば、手持ちの無線LAN機器も手軽に有効活用できる。だが無線LANルーター機能を搭載したメリットはそれだけではないという。

2020年の東京オリンピックに向けて、これからウェアラブルやIoT機器、スマートホーム製品など家庭内や個人が身体に装着するセンサーを持った機器の普及が急速に高まるだろう。ホムテル3Gがあればそれらを意識することなくインターネットに直接接続することができる。つまりホムテル3Gは家庭内のIoTハブとしての用途も期待している」(神田氏)。


エイビット代表取締役、檜山竹生氏いくつかの機能をデモ

IoT機器をインターネットに繋ぐためには無線LANルーター&光回線などが必要だが、ホムテル3Gがあればそれすら不要で、SIMを入れて電源をONにするだけでよい。

最近は海外の展示会へ行くと、体重計や空気清浄機、温度計、さらには照明器具などIoT関連製品はより一般ユーザー向けの製品が増えている。固定ブロードバンド回線を持っていない消費者でも、ホムテル3GがあればそれらIoT機器に常時ネットアクセス機能を提供できるというわけだ。

神田氏は「年配の親を持つ子供がホムテル3Gを親御さんの家に設置すれば、簡単に電話の掛けられる電話機として使えるだけではなく、IPカメラなどを部屋に設置し、緊急時の連絡や健康状態の監視などにも使えるだろう」と、一例を説明してくれた。IoTやスマートホームと言うと難しい応用例を考えがちだが、身近なところでもこんな活用方法があるわけだ。


無線LANルーター=テザリング機能を持ったことで用途が拡大する

ホムテル3Gを自社ブランド製品として販売していただくMVNO事業者さんは、建築現場やビニールハウスなどへの設置も事例として挙げている。電話をかけるだけならばスマートフォンでも可能だが、ホムテル3Gならば机や作業台の上にしっかりと置くことができ、タッチパネルではなく大きい数字キーを持っているので手袋をしたままでもボタンを押しやすい」と神田氏はビジネス用途への展開の可能性も話してくれた。

さてホムテル3Gの実機を操作してみると、まっ先に目にするディスプレイの表示フォントが美しいことに気づく。「ホムテル3Gの心臓部分は、モデム部分は海外の大手チップセットメーカー、MediaTek(MTK)社のものを採用。それに加えて32ビットRISCのCPUを搭載し、そこに自社開発UIを乗せている。もちろん日本語FEPも搭載しているので漢字を交えた文字入力もできる」(神田氏)とのこと。

ディスプレイ表示については「従来のイエデンワがモノクロ液晶を採用しカタカナ表示のみだったのに対し、高精細なカラー液晶に変更することで漢字表示に対応。それだけではなくフォントをより綺麗に表示できるように処理するなど見えない部分にもこだわりをかけた。消費者の目に触れる部分だけに、この部分もしっかりと作り込みを図った」(神田氏)とのことで、家電製品としても違和感の無い見た目になっていると言える。

カラー液晶で漢字表示に。フォントも美しく表示されるようにしている

ところで、今や各社のSIMフリースマートフォンもLTE対応品が増えている。ホムテル3GもLTEに対応させる予定は無かったのだろうか?「LTEの搭載は検討したものの、今回採用したMTKのモデムは3Gの動作が非常に安定していることと、音声通話もよく使う端末と言うことで今回は3Gのみの対応とした。だがもちろんLTE版も今後検討したい」(神田氏)。

クロデンワの音を録音。当時の様子を再現してもらった

その他に何か特徴的な機能はないのだろうか?神田氏はちょっとした遊び心をホムテル3Gに加えたという。「まずはフライトモードの搭載。ホムテルを実際に飛行機の中で使うシーンは無いかもしれないが、見た目が面白いだけの製品ではなく、きちんとした無線機器であり3G携帯電話であることからこの機能は実装した」(神田氏)。確かに使うシーンは限られるが、携帯電話であればこれは搭載してしかるべき機能だろう。

また着信音には昔の電話=クロデンワの音も実装。これは弊社の無響室の中で実際にクロデンワの音を鳴らし、その音を録音して組み込むほどこだわったもの。ホムテル3Gがあたかも固定電話のように思えてしまうほど、リアルな音だと開発チームでは自負している」(同氏)。実際に音を聞かせてもらったが、懐かしくもあり楽しさを感じさせるものだった。

充電池が使えるようになったためモビリティー性も高まった

他にも従来のイエデンワの電源がAC電源と単3アルカリ乾電池のみだったのに対し、ホムテル3Gではこの2つに加え専用リチウムイオン充電池でも動作するようにした。家庭内やオフィス内で移動して使ったり、外出中や車の中でもより使いやすくしている」(神田氏)とのこと。

なお同社のホムテル3G販売ページでは、予約特典として先着500名にその専用リチウムイオン充電池をプレゼントしている。

檜山代表取締役が自ら充電池利用のメリットをアピール

見た目の話題性だけではなく3GのSIMフリー機であり無線LANルーター機能も備えたホムテル3G。ターゲットユーザーはどのような層を想定しているのだろう。神田氏は「一般家庭はもちろん、イベント時や非常時用などとして企業や自治体などにも向いた製品」と話す。そして自身も携帯電話屋スマートフォンの愛好者であることから「携帯電話のマニアやヘビーユーザーなどで、他にはない製品を求めている人たちにも買っていただければうれしい」(同氏)と話す。

さてホムテル3Gの次は、エイビットからどんな製品が世の中に出てくるのだろうか?

ホムテル3Gは高機能な製品では無い。だがSIMが自由に使え、音声電話が簡単にでき、そしてIoTハブとしても利用できる。弊社はこれまでPHS関連製品を通して人々の生活を豊かにすることを考えてきた。大手企業ではないが、その分小回りが利くしニッチな製品も得意としている」。このように神田氏はホムテル3Gは同社の特徴をフルに生かした製品であることを力説した。

ホムテル3GはスマートフォンそしてIoTの普及が進む中、派手な機能や特徴が無くとも、人々の生活を豊かにする裏方的な製品かもしれない。その一方で見ただけで電話とわかる、他社さんのやらないワクワクできる製品と多くの方から評価していただいている。弊社の強みを生かした今後の製品にぜひ期待してほしい」(同氏)。

ホムテル3Gに留まらず、これからも世の中を驚かすような製品が同社から出てくることが期待できそうだ。

 

TechCrunch 注目記事新型コロナのソーシャルディスタンスを支援するビデオチャットアプリ8選

新型コロナウイルス 関連アップデート[TechCrunch]

 

関連キーワード: abit, homtel, iedenwa, iedenwa 2, Iedenwa2
0シェア
FacebookTwitter

Sponsored Contents