PANDA,天体望遠鏡全国の天文好きの皆様、早起きお疲れ様です。

何せ、2015年12月といえば、明け方に金星・木星・火星が出ているだけでなく、カタリナ彗星が太陽から地球へ接近するという非常にエキサイティングな状況。なお私もこれらを見るべく日々午前4時起きをしてしまい、そろそろ仕事に支障をきたしそうな勢いでして。大人としてどうかと自分でも思います。

さて先日、TOCOLから天体望遠鏡『スマホ天体望遠鏡PANDA』(以下、PANDA)が発売されました。5000円という低価格、なおかつiPhoneを含むスマホを取り付けることで天体の撮影ができるという組み立て式の望遠鏡です。果たしてPANDAを組み立てた感じは? どこまで見えるのか? インプレッションをお届けします!

まずは望遠鏡の組み立てから

届いたPANDAのパッケージはこんな感じで、まるでPCソフトみたいです。開けてみるとパーツがぎっしり。そう、組み立て式なので、自分で作り上げないといけません。

PANDA,パッケージ

本体は、鏡筒部、対物部、延長筒というユニットをそれぞれ組み立て、これら3つを合わせることで作成します。

また太陽投影版とスマホ取付台は本体とは別途組んで、必要に応じて望遠鏡に取り付ける形式。また、本体製作の過程で三脚のカメラネジに望遠鏡を取り付けるため、望遠鏡の三脚取付板にナットを埋めなきゃいけなくて、その際にハンマーが必要です。

被写体をとらえる対物レンズのパーツを作成
PANDA,対物レンズ

対物レンズが入った対物部と鏡筒部を組み合わせます
PANDA,作成中

ハンマーで三脚用のナットを取り付け
PANDA,取り付けナット

筆者は1時間ほどで組み立てましたが、このあたりけっこう細かい作業も多いので、ペーパークラフトやプラモデルのような工作系が苦手な人にとっては難関かもしれません。「組み立てるところから楽しめる」という自信がないとPANDAは厳しいかも。

対物レンズの像を拡大する接眼レンズを組み込んだ延長筒も製作
PANDA,接眼レンズ


スマホ取付台が心もとないのでちょいと改造

このPANDAは何もつけない時は普通の望遠鏡同様に目視での利用に、スマホを利用したい時は延長筒にスマホ取付台を取り付けて使うという仕組み。で、スマホ取付台にスマホを取り付けるには、取付台側とスマホ側にマジックテープをつけないといけないのです。

しかし、スマホに直接マジックテープを貼っちゃうのは抵抗が......。考えた末、余っていたハードケースを用意してケースにマジックテープをつけるという形に。

自分的には一番、組み方で悩んだスマホ取付台
PANDA,スマホ取付台

さらに筆者が使っているiPhone6sだと本体の重さでマジックテープだけじゃ頼りなさそう、ということでスマホ取付台にセロハンテープを何枚も貼ってケースを固定。説明書では撮影用スマホホルダーの利用を推奨しているので、PANDAの購入時に一緒に買っておくと良いかもしれません。

これで大丈夫......と取付台を延長筒に取り付けたら、なんと、iPhone6sの重みで取付台ごと落下ギャー。

取付台は延長筒のツマミに差し込むだけのため、スマホの重さでパカッと外れやすいのです。こちらもツマミ部分と取付台をセロテープで貼って固定。これでようやく使える状態に。なお、スマホ使わない時に取付台が外しにくくなる点は目をつぶりたいところ。

取付台とスマホケースを張り合わせてみました。このあたりはオリジナルPANDA,スマホ取り付け


使うにはやはり三脚が必要

さて、いよいよ撮影の運びになったのですが、ただしここで注意したいのが三脚は自前で用意しないといけないこと。天体望遠鏡は拡大倍率が大きいだけに視野が狭く、ちょっとした手ブレでもすぐフレームアウトしてしまうので三脚はマスト。とりあえずいつも撮影で使うカメラ用の三脚を用意しました。

三脚に取り付けていよいよ望遠鏡らしいビジュアルに
PANDA,三脚取り付け

望遠鏡のテスト。いきなり月や星をとらえるのは難しそうなので、ピント合わせも兼ね自宅マンションから2km先にある高速道路を見てみました。接眼レンズのある延長筒のツマミを前後に動かしてピントを調節。

み、見えたっ!!

高速の緑色の看板や走る車、高架の向こうのビルが鮮明に見えました。自分で組み立てた望遠鏡で見えるって感動。

2km先の高速の看板が見えました! なお、iPhone画面のマスキングテープについては見なかったことにしていただきたいですPANDA,テスト撮影


PANDAで星空を見てみる

いよいよ、月や星を見てみますよー。そう勢い込んでみたのですが、いざ夜空に望遠鏡を向けてみたら途方に暮れる自体に。

というのも天体がうまく捉えられないのです。あ、誤解のないように説明しますと、PANDAでは対象物を本体側面に出っ張っている爪に向けた上、スマホ取付版の上にある半円形のホールに入れることで望遠鏡の視野に対象物が入るようになっています。しかし、私、スマホ取付版にスマホケースをガチガチに貼り付けちゃってホール塞いじゃったんですよね。でも、そうしないとスマホ固定できないですし......。

ホール塞いじゃった件で後悔している筆者。ビジュアルが不審者な点はお許しいただきたい
PANDA,調整

仕方ないので本体側面の爪に対象物を入れた上、三脚のレバーやナットを微調整して視野に天体を入れることに。

しかし、これが難易度高いのなんの。先にも説明したように望遠鏡は視野が狭いので、被写体を画面に収めて固定するのが難しいのです。三脚も安いもの使っているので微調整しづらい点も泣きどころ。

苦戦すること数十分。しかも明け方にひとり、ベランダで孤独な戦いですよ。スマホの画面に被写体をとらえてはロストしてしまうの繰り返し。それでも、月をとらえ何とか撮影に成功しました。おおー、クレーターもバッチリ見えます。

月の写真。なかなかきれいに写っています
PANDA,月,撮影

しかし、被写体をスマホの画面に入れても、画面ズームや撮影ボタンのタップなどちょっとした動作で被写体の位置がズレてしまい、操作のたびに恋とは別の意味でドキドキ。また、そのまま撮影ボタンをタップするとブレてしまうので、カメラアプリのセルフタイマー機能を使うのがオススメです。

続いて木星を撮影。あの木星ならではの縞模様が見えるかな、と思ったのですが、スマホでは残念ながら撮影できませんでした。ただ、木星のそばに衛星が2個あるのを確認。

木星はスマホでは縞こそみえなかったものの衛星を発見
PANDA,木星,撮影

あわよくばカタリナ彗星が見られないか......当初はそんなことも考えていたんですけどね。でも、肉眼ですぐに見つけられる月や木星をPANDAの視野に収めるだけでも大変な状況なのに、一眼のバルブ撮影で写真を撮ってようやくあるかどうかわかるカタリナ彗星を捕捉するのは無理だろうと早々にあきらめました

PANDAとは関係ありませんが、1眼レフに望遠レンズをつけて撮影したカタリナ彗星。矢印の先の薄いシミみたいなのがそうカタリナ彗星


PANDAの魅力は自分で組み立てるところにあり

PANDAを実際に使ってみましたが、天体望遠鏡としてのスペックが高いわけではありません。望遠鏡の口径が40mm相当ということで、観測できるのは月や明るい惑星、大型の星雲・星団と限られてきます。また、スマホを使えばズームや撮影ができるけれども、スマホのセンサーだと肉眼で見えるのと同じような微妙な色合いで撮るのは難しいでしょう。

PANDAは接眼レンズを外して倍率約25倍の顕微鏡/偏光顕微鏡としても使えます
PANDA,偏光顕微鏡

ただ、PANDAで楽しいのは、スマホが取り付けられる点もさることながら、自分で組み立てた望遠鏡でレンズの不思議を楽しみながら月や景色が見られる、ということ。

筆者のようにかつて学研の科学シリーズにときめいた大人なら、望遠鏡作りから楽しめるかと思います。大人が自分の楽しみで買うのもいいですし、クリスマスに子供へのプレゼントとして買うのも良いのではないでしょうか。

......と思ったら、公式サイトによると品切れとのこと。再版することを祈ってます!!