2015年7月に刑務所から脱走したメキシコの麻薬王ホアキン "エル・チャポ" グスマン・ロレーラが、今年1月8日にメキシコ国内で拘束されました。身柄確保の決め手となったのは米国の映画俳優ショーン・ペンによる独自の接触だったとされています。

ホアキン・グスマンはメキシコで麻薬の密売や密輸をする犯罪組織"シナロア・カルテル"のボスとして約20年ものあいだ君臨してきました。その資産は米フォーブス誌のランキング入りするほど巨大で、さらに米麻薬捜査局(DEA)による「世の中の敵」ランキングではみごと(?)1位に選ばれています。

2014年に当局に逮捕されたグスマンは昨年7月、逃走用として独房のトイレにつながる約 1.5km ものトンネルを組織に整備させ、バイクでその中を駆け抜けるという『ルパン三世』顔負けのアクションで脱獄を果たしていました。

米国の映画俳優/監督ショーン・ペンは取材のため、メキシコ人女優ケイト・デル・カスティーリョを仲介役として2015年10月にグスマンに接触しました。このとき連絡に使ったのは BlackBerry Messenger 。BlackBerry Messenger は携帯電話ネットワークで送受信され、途中経路にインターネットを挟みます。このため WiFi や通常のインターネット盗聴では傍受しにくく、当局の追跡をかわすのに都合が良かったようです。

ショーン・ペンは1月9日、グスマンとの写真付きで米 Rolling Stone に記事を掲載。グスマンが自身の自伝的映画を制作することに興味を持っていることなどを伝えました。一方、メキシコ当局はショーン・ペンやケイト・デル・カスティーリョの周辺から潜伏先に関する情報を入手。居場所を特定し、記事発表の前日となる1月8日にグスマンの身柄拘束に成功しました。

BlackBerry はこんな形で BlackBerry メッセンジャーの名前が出たことを喜んではいないと思われます。ただインターネットにニュースが流れて以降、中米のその手の人々の間では BlackBerry Messenger が脚光を浴びている模様です。

ちなみにショーン・ペンは時おり、新聞社や雑誌に記事を寄せるジャーナリストとしても活動しています。しかし今回の件についてメキシコ当局は「俳優はジャーナリストではない」として、ショーン・ペンやケイト・デル・カスティーリョがメキシコの法律に触れていないか調べるとともに、本人らに事情聴取をしたいとしています。