カリスマ的な音楽制作の腕前と日常の無軌道っぷりで公私ともにエンターテイナーとしての地位を確立しつつあるカニエ・ウェストが、TIDAL 以外には絶対に出すことはないと発言していた現時点での最新アルバム『The Life of Pablo』を 、Apple Music その他の音楽ストリーミングサービスへ配信し始めました。カニエ・ウェストといえば、最近では Twitter 芸人としての活動にも忙しい米国のカリスマラッパー。いちいち本人のトンデモエピソードを追いかけていてはきりがないので割愛させていただくものの、ラッパー/プロデューサー Jay Z の音楽ストリーミングサービス TIDAL の共同オーナーにも名を連ねています。ちなみに奥さんは最近プロポーションと若さを自慢するためかやたらと裸写真をツイートしているキム・カーダシアン(閲覧注意!!)。
そのカニエ・ウェストの最新アルバム『The Life of Pablo』は、今年2月のリリース直前でダウンロード販売を取りやめ、TIDALでのストリーミングのみに販売方法を変更しました。ところがこの変更が間に合わず、わずかですがダウンロード音源が販売。さらにこれがP2Pネットワークに流されてしまい、カニエ本人がまったく知らないところで50万ダウンロード(当時)の大ヒットとなっていました(このあたりの事情は当時の記事を参照ください)。
カニエ・ウェスト、新譜が違法ダウンロードで50万DLの"大ヒット"。TIDALでのストリーミング限定が裏目に?
それでも TIDAL で改めてリリースされた『The Life of Pablo』は、そのストリーミング回数4億回を突破し、今年もっとも再生されているヒップホップアルバムとも評されているのですから、さすがに大したものです。
さらに、カニエ・ウェストは "『The Life of Pablo』進化論" とでも言うべき奇策を打って出ました。カニエは、最新アルバムをこれまでにちょいちょい更新して来ましたが、総仕上げとばかりに完全に新しいミックス、アレンジ、さらに歌詞にも手を加えた 進化版『The Life of Pablo』 を今週 TIDAL に公開、これがかなりの好評価を得ています。
『The Life of Pablo』の大幅な進化を受けてにわかに広まったのが、TIDAL 以外の音楽ストリーミングサービスでもこのアルバムがリリースされるといううわさです。
My album will never never never be on Apple. And it will never be for sale... You can only get it on Tidal.
— KANYE WEST (@kanyewest) 2016年2月15日
カニエは2月の時点で「Apple(Music)には絶対にアルバムを出さない」と宣言していたため、にわかには信じがたい話にも思えたものの、よくよく考えれば前言をすぐ翻すのはカニエ・ウェストの得意技。
実際、今週初めより Apple Music や Spotify、Google Play、SoundCloud Go などに『The Life of Pablo』からの曲「Famous」「I Love Kanye」が公開され、アルバムをリリースするための地ならしはできていました。
そして米国時間3月31日、ニューヨーク・タイムズはカニエの所属レーベル Def Jam が『The Life of Pablo』の販路をさらに拡大することを認めたと報じました。一部には公開日が4月1日であることから、エイプリルフールなんじゃないの?と訝しがる反応もありましたが、今朝(日本時間4月1日)日本の Apple Music で確認したところすでに『The Life of Pablo』全曲が聴ける状態になっています(一方で、Google Play Music では記事執筆時点でまだ見つかりません)。
日本国内のその他のサービスについては未確認であるものの、とりあえず日本でもカニエの最新作を堪能できるようになったのはファンにとって朗報であることに違いありません。
さて、2月の時点で流出していた『The Life of Pablo』ですが、変わったところではなんとアダルト動画サイト PornHub にまでアップロードされていました。今回の話を聞いて、こちらはどうなったのか......とチェックしてみましたが、しっかりとカニエ本人によって削除されていたようです。