発表から約2ヵ月半、待ちに待ったVAIO Phone Bizが発売されました。発売日の22日に届きましたので、とりあえず開封の儀を執り行ないました。VAIOの心意気を感るWindows 10 mobileの実力を確認してみましょう。
安曇野FINISHのカードだけで満足感
ヨドバシカメラから届いた箱を開けると、VAIOの文字が印刷された黒い箱が現われました。フタを開けると、アルミ合金ボディーのVAIO Phone Bizが鎮座。下段には、USB電源アダプターとUSBケーブル、SIMトレイ取り出し用ツール、取扱説明書、そして安曇野FINISHの印入のカードが封入されていました。▲VAIO Phone Bizのパッケージ。紙質的にはちょっと高級感に欠ける。
▲フタを開けると本体が現われた。SIMは電源を切ってからと注意書きも。
▲中身はこんな感じ。ヘッドホンはついていない。
▲「VAIOを買いました!」満足感の得られるカードが封入。
▲裏面には、安曇野工場FINISHの印が押されていた。安曇野行きたい!
VAIO Z Canvasをほうふつとさせる削りだしのアルミ合金ボディーは、レーザーエッチングされたVAIOの文字が誇らしく見えます。画面サイズは5.5インチのフルHD。Xperia Z5 Premiumとほとんど同じサイズの約77.0 mm×156.1 mm×8.3 mm。エッジ部分が絞りこまれているので、見た目は薄く感じます。
▲シルバーのアルミ合金ボディーは、ブラスト加工されていてちょっと滑る感じ。
▲エッジが絞りこまれているから、パッと見は薄く感じる。ガラス面上部がアルミ合金に覆われていないが、しっかり面取りされているので持ち味もいい。
アルミ合金ボディーの表面がブラスト加工されていて、かなり滑りやすくなっています。早急にカバーしないと落としてしまいそうです。なのでDeffの「VAIO Phone Biz専用TPUクリアケース」とビザビの「OverLay Brilliant for VAIO Phone Biz」をAmazonで購入。注文翌日には届くのがいいですね。
▲VAIO Phone Biz専用のケースと液晶保護フィルム。種類は少ないが、きちんと用意されているのはありがたい。
▲カバーを装着したところ。TPUの柔らかい素材でしっかりガード。ボタンもカバーされているが押しやすい。フィルムはギリギリまでカバーしてくれる。失敗してもカンタンに貼り直せるので納得行くまで調整できた。
セットアップ開始スタート画面も変化
まずはSIMを挿すところから。実はVAIO Phone Bizに入れるSIMはまだ決めておらず、とりあえず手持ちのSo-net 0SIMをアダプターを履かせて装着しました。アダプターを履かせると画面を上にした状態でトレイを差し込もうとするとSIMが落ちてしまうので注意が必要です。SIMは2枚挿せ、SIM2はnanoSIMサイズ対応なのですが、microSDカードと排他仕様のため、microSIMサイズのSIM1に挿したほうがベターです。▲iPhoneと同じように、付属のツールでトレイを出す。
▲SIMは2枚挿し対応しているが、microSDカードと排他なので、SIM1にmicroSIMを入れる。nanoSIMにアダプターを履かせた場合は、背面を上にして入れないとSIMが落ちてしまうので注意。
電源を入れて起動すると、設定が始まります。筆者にとって初めて購入したWindows 10 mobileなのですが、最初の設定時、SIMのAPNを指定しようとして失敗してしまい戻ろうと「戻る」ボタンを押したのですが戻らず。修正が効かないことにちょっと萎えました。しかたがないので設定終了後、再度設定しました。
▲起動直後の画面。言語の設定から始まり、SIMやWiFi、Microsoftアカウントなどの設定をする。
▲開発版では電波強度も弱かったのだが、きちんと修正されいた。
▲「すぐに作業を開始」では推奨設定が促されるが、ここは「カスタマイズ」を選択。
▲いろいろと情報が送られたりするので、納得できないものはチェックを外そう。
設定が終わればメイン画面であるスタート画面が現われます。スタートメニューも開発版とは異なり、SIMごとに通話ボタンがあったり、Continuumが初めからあったり、Office Lensがあったりします。開発版時のContinuumは接続から実行していましたが、製品版ではスタート画面からすぐに接続できます。
▲スタート画面。Continuumが初めから用意されている。
▲Continuumの接続はこちらからも可能に。VAIO Phone Bizで使えるContinuumはWiFiのみだ。
いきなりバージョンアップの通知が
バージョンを調べていたら、Windows 10 mobileのアップデートがあるとの通知が。早速ダウンロードされるのを待ってアップデートを掛けました。OSビルドが10.0.10586.107から10.0.10586.218に。信頼性の向上や修正が主な改善ポイントのようです。▲バージョンアップ前のデバイス情報。
▲「電話の更新」を見てみると、新しいバージョンの通知が。
▲バージョンアップ後のデバイス情報。
開発版のときの拡大画像スクロールのがたつきもなく動きはいったて滑らか。ヌルヌル動きます。オフィスアプリでエクセルの表組みもスクロールがヌルヌル動きます。これは気持ちいいぐらいです。また、開発版で懸念していたカメラ機能も改善されていました。製品版では白飛びや黒つぶれすることなく、自然な写真や動画の撮影ができるようになっています。
▲多少ノイズは乗っているが、開発版の時よりは画質はいい。
▲動画をキャプチャーしたもの。こちらも白飛びや黒つぶれすることもなく、しっかりと描写してくれた。
ベンチマークソフトも最新版に
ベンチマークを測ってみました。開発版のときはAnTuTu Benchmarkがまだv0.8.0ベータ版だったため、他機種との比較ができませんでしたが、今回はv6.0.5ベータ版となり、他機種との比較ができるレベルまでになりました。結果はスコアが47622とミドルクラスのスマホと同等でした。▲AnTuTu Benchmarkの結果。3Dの結果はちょっと低い。
▲WIndows 10 mobileのハイエンドモデルLumia 950と比較。一部は勝っている。
通信機能をチェック。Speedtestのアプリがあったのでこれを使って計測しました。LTEでの通信では、14時ぐらいの恵比寿駅付近で下り最大37.74が出ました。上りは9.44が最大という結果に。自宅でWiFi接続したときの速度は、下り最大177.33を計測。一方上りが最大でも10Mbpsしか出ません。通常なら上りも下りも同じぐらい出るはずなのですが、ちょっとこれは結果がおかしいですね。ちなみに、iPhone 6sで同じ時間帯の結果は、下り350Mbps超え、上り260Mbps超えを記録しているので、本体なのかOSなのかアプリなのかいずれかがおかしいはずです。
▲LTE通信時の速度。このときはDMM mobileのSIMを使用している。
▲恵比寿にいたとき、「LTE+」とプラスが付加されていた。キャリアアグリゲーションが効いているときと思われる。
▲自宅のWiFiに接続して計測。上りの速度が出ないのがおかしい。
そこで、スループット計測のiPerfを使ってみました。こちらWindowsアプリがあったので、PCとVAIO Phone Biz間で計測しました。結果はPCをサーバーにしたときが94.5Mbps、VAIO Phone Bizをサーバーにしたときは119Mbps。どちらもきちんと速度が出ていました。これにより、Speedtestのアプリがどうもおかしいようです。なので、これらのベンチ結果は参考までにしておいてください。
▲Windowsアプリ「Network Performance Test」。iPerfによる計測が可能。
ということで、開封からざっくりと使ってみましたが、いちばん感じたのは、やはりアプリが充実してほしいこと。たとえば、Facebookのアプリはありますが、「いいね!」ボタンも拡張されておらず、機能的には一世代前。アプリを使うよりブラウザーで見たほうがいいかもしれません。あと、たとえば「テザリング」という言葉を使わずに「モバイルホットスポット」にしてみたり、Windows 10では「Windows Update」なのに「電話の更新」としてみたりと、どちらもパッと見て機能がわかりませんでした。ムリして独自の言葉やWindows 10とは違った言い回しを使わずに、ユーザー視点で開発してほしいですね。
まだWindows 10 mobileが発展途上にあるのは確かですが、箱は魅力的なのに中身がそれについてこれないのでは、魅力も半減してしまいます。Windows 10マシンとの相性がいい面もあるので、今後のWindows開発力とアプリ開発者へのサポートに期待したいところです。
VAIO Phone Biz的には、開発版の時に気がついた改善してほしい点は、すべて克服しておりましたので文句なし。5万9184円(税込)と決して安くはないですが、Windows 10 mobileに興味がある人にはオススメです。VAIOストアではいまポチっても5月11日以降のお届けになっているのでゴールデンウィークには楽しめないですが、楽天モバイルや量販店でも販売しているので、手にとってみてから購入するか決めてもいいと思います。
VAIO Phone Biz用の壁紙が公開されていて、手持ちのVAIO Pro 11に設定してニヤニヤしているワタシ。しばらく使い倒してみて、またこの場で使い勝手などを報告します。
最後にWindows 10 Mobile版「VAIOオリジナルSIMユーティリティ」がWindowsストアで公開されているので、VAIOオリジナルLTEデータ通信SIMを使っている人はダウンロードしましょう。
開発版時の記事:
VAIO Phone Biz レビュー。Win10スマホの目玉Continuumはサクサク、発売までに期待したい改善点も