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NTTドコモは5月11日に、夏モデル7機種を発表しました。本サイトでも取り上げているように、グローバルで発表済みの「Galaxy S7 edge」や「Xperia X Performance」に加え、シャープの「AQUOS ZETA」、富士通の「arrows SV」、LGの「Disney Mobile on docomo DM-02H」もラインナップ。

また、ハイエンドタブレットの「arrows Tab」や、ドコモとしては初となる3.5GHz帯のTD-LTEに対応したWi-Fiルーター「Wi-Fi STATION HW-01H」も、発売される予定です。ドコモ初のTD-LTE対応Wi-Fiルーターも登場
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夏と冬、2回に分けて行われているドコモの発表会ですが、冬春モデルが対象だった昨年と比べると、機種数自体はやや少なめ。冬春モデルは13機種で、フィーチャーフォン(ガラケー)まであった、昨年の夏モデル全12機種と比べても、数は抑えられています。

その理由は、端末投入サイクルの変更にありました。質疑応答の場で、ドコモのプロダクト部長、丸山誠治氏は「1つ1つの機種は魅力的」としながらも、「今年の夏から、原則として1年おきに機種を出すというスタイルに変えていきたい」と語っています。確かにGalaxyもフラッグシップのSシリーズに関しては、昨年の夏モデル以来になりますし、富士通もarrowsはハイエンドモデルを冬春商戦にぶつけています。こうした事情を反映させたのが、今年のドコモの夏モデルと言えるでしょう。

ミッドレンジの「arrows SV」のみだった富士通
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逆に言えば、夏モデルとしてAQUOS ZETAを出したシャープは、来年までハイエンドモデルを出さないということになります。丸山氏は「各メーカーと相談しながら」と語っていましたが、おそらく、Xperiaに関してもこれは同様でしょう。また、Galaxyに関しても、グローバルモデルと歩調を合わせる形で、次のフラッグシップモデルは、来年の夏モデルということになりそうです。夏モデルとしてフラッグシップモデルを用意していなかった富士通は、冬春モデルにハイスペックなarrowsを出すはずです。

「AQUOS ZETA」を投入したシャープは、冬にミッドレンジを出す可能性も
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一方で、「商戦期は冬と夏の2回あり、適宜新商品は投入する」(丸山氏)といいます。ドコモの代表取締役社長 加藤薫氏も、「メーカーさんにも色々な特徴のある機種がある。そういうものをラインナップしながら、どういう周期で出していくかを検討する」と述べています。具体的な機種名については言及を避けましたが、Galaxyを例に取るなら、夏商戦はフラッグシップのGalaxy Sシリーズ、冬春商戦はSペンが特徴的なGalaxy Noteシリーズを出すというような形が、より明確になったと言えるでしょう。

投入サイクル変更の狙いを語るドコモの加藤薫社長
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メーカーによっては、ミッドレンジモデルとハイエンドモデルを組み合わせたり、大画面モデルとコンパクトモデルを組み合わせたりといったこともあるかもしれません。いずれにせよ、これまでのように、夏と冬に2回、同じ系統のフラッグシップモデルが店頭に並ぶというような状況は、なくなっていきそうです。その結果として、「1機種あたりの調達量は増えることになる」(加藤氏)というため、メーカーにとっても、そこまで悪い話ではないでしょう。

一方で、背景にはスマホのコモディティ化があります。加藤氏は、「機能やバリエーションもかなり収れんしている」といい、半年に一度のモデルチェンジをする必要がないことを語っています。進化のポイントが少ないのであれば、年1回に投入サイクルを減らし、そのぶん、1機種の販売数を増やすというのがドコモの狙いです。

グローバルで見てもその流れは顕著になっており、多くのメーカーがフラッグシップモデルは年に1回投入しています。ただし、それだけではすべてのニーズを満たすことは不可能です。そのため、価格別にモデルをそろえたり、用途が異なる端末を出したりしているわけです。

Galaxyはフラッグシップモデルが年1回になっている
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「Xperia X Performance」を発売するソニーも投入サイクルを延ばす方針だったOLYMPUS DIGITAL CAMERA

フィーチャーフォン時代からの慣例もあり、夏と冬の2回、新モデルを出すことが恒例になっていましたが、ようやく、日本でもある程度グローバルな動きに足並みをそろえるようになってきたと言えるでしょう。

実質0円が事実上禁止された影響もありそうです。実際、ドコモは今年度の端末販売台数が減少するとの見通しを立てており、決算会見でも発表しています。販売台数が減るような状況がある中で、モデル数を増やすのは得策ではありません。むしろ、数を絞って、1台あたりにコストをきちんとかけ、回収できるようにした方がユーザーのためにもなるはずです。

ただ、これはメーカーにとって、リスクが高まることにもなります。年1回のフラッグシップモデルがコケてしまうと、リカバリーが大変になるからです。その年のiPhoneやGalaxyに会社の業績が大きく左右されているアップルやサムスンを見れば、それも分かりやすいでしょう。その視点でドコモのラインナップを見たとき、デザインが以前より似通ってきていたのは、残念なところです。

特にシャープや富士通のモデルは、これまであった会社の個性のようなものがなくなってしまっていた点が気にかかりました。フラッグシップモデルの投入回数が減るのであれば、会社としての方向性をきちんと示すようなデザインも、今まで以上に求められるはず。機能だけでなく、パッと見てこの機種だと分かるアイデンティティ作りももっとがんばってほしいと感じました。