台湾で開催されたCOMPUTEXでは、各社がさまざまなVRコンテンツを出展。完成度は高まっており、いよいよ本格普及が進むという手応えを感じました。一方で、他人がVRに没入している姿はかなり無防備なことに気付きました。今後VRが街中に浸透していけば、防犯上の問題が生じるという強い懸念を感じずにはいられません。

現在はリスクを想定せず

現在のVRは、専用ゴーグルで視界を覆うタイプが主流です。ヘッドホンを装着すれば、外界から視覚と聴覚がほぼ完全に遮断されます。その状態の人間はかなり無防備。周囲の変化になかなか気づきにくいというわけです。

もちろん、VRの黎明期にあたる現在は差し迫った危険は感じられません。展示会のデモやアミューズメント施設では、隣に担当者が常駐し、VRの装着から操作方法までサポートしてくれる場合がほとんどです。例えばau SHINJUKUに期間限定のVR体験コーナーを設けたKDDIも「VRには常に担当者を配置するので、リスクはそもそも想定していない」と話します。



本格普及の先にある危険

一方、今後VRが今よりもカジュアルな形で社会に浸透していくとどうなるでしょう。COMPUTEXでは、仮想空間を銃を持って歩きまわるシューティングゲームなど、ゲームセンター向きと思われるVRアトラクションも展示されていました。ゲームセンターだけでなく、インテリアショップ店の片隅に家具の配置をシミュレーションするVRが設置されるようになるかもしれません。

そのような状況で、例えば1人でVRを楽しんでいて、没入中の無防備な姿を狙った犯罪が発生することは想像に難くありません。カバンから財布などの貴重品を盗まれる、女性の場合は盗撮されたり、身体を触られるといった性犯罪も考えられます。VRを装着中は外界への注意が払えないため、何をされても抵抗できないのです。



このような危険を防ぐには、VRを人目の届く場所に設置したり、貴重品ロッカーを設けるなど様々な対策が考えられます。また、それ以上に大切なのは、ユーザー1人1人が、VRに没入している最中は現実世界への注意が疎かになってしまうリスクをしっかりと自覚することではないでしょうか。VRの危険性を声高に叫んで、立ち上げの腰を折るつもりは毛頭ありませんが、本格普及が始まる今のうちに、このような側面もしっかり考えるべきだと感じました。