新MADOSMA Q601レビュー。3900mAhの大容量バッテリーとWi-Fiテザリング5GHz設定がとても嬉しい

笠原一輝(Kazuki Kasahara)
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 マウスコンピューターは、Windows 10 Mobileを搭載したスマートフォンとして「MADOSMA Q601」を、7月28日から販売開始した(別記事参照)。

 MADOSMA Q601は、SoCにQualcommのSnapdragon 617(MSM8952)を採用し、3GBメモリ/32GBストレージというスペックで、Windowsスマートフォンとしてはハイエンド仕様になっている。今年の1月に出荷が開始されたNuAns NEO、4月に販売が開始されたVAIO Phone Bizと並んでSnapdragon 617を採用していることで、比較的高い性能をもっており快適に使うことができる。本記事では、そのMADOSMA Q601の実機を利用して、どのような製品であるのか紹介していきたい。

既発売のSnapdragon 615搭載製品に比較するとストレージサイズ、バッテリー容量などが長所

 今回発表されたMADOSMA Q601は、2015年6月に発表されたMADOSMA Q501の後継となる製品だ。MADOSMA Q501は発表時にはWindows Phone 8.1で(Windows 10 November Updateリリース後はWindows 10 Mobileがプレインストールされて販売されている)、液晶は5型を採用していたのに対して、MADOSMA Q601は最初からWindows 10 Mobile(プレインストールされているのはWindows 10 Mobile バージョン:1511 ビルド:10.0.10586.124、電源投入後に10.0.10586.420にアップデートされる)になっており、液晶は6型のIPS液晶に強化されている。
 最も大きな違いは、MADOSMA Q601には新しい世代のSoCが採用されていることだ。MADOSMA Q501にはメインストリーム向けのSoCとなるQualcommのSnapdragon 410(MSM8916)が採用されていたのに対して、MADOSMA Q601では世代的にも新しくかつハイエンド向けと位置づけられているSnapdragon 617(MSM8952)が採用されている。Snapdragon 617は、無線のContinuum for Phones(スマートフォンをディスプレイに接続してキーボードやマウスでPCのように操作する機能)に対応しているなど機能も増えており、かつクアッドコア(Cortex-A53が8コア)で、GPUもAdreno 405に強化されているなど、プレミアム向けと位置づけられているSnapdragon 8xxシリーズほどではないとしても、高い性能を持つSoCだ。
 日本市場では既にSnapdragon 617を搭載したWindowsスマートフォンは複数発売されている。1月から出荷が開始されているトリニティのNuAns NEO、4月から販売が開始されているVAIOのVAIO Phone Bizがそれで、発表だけ(販売開始は10月下旬以降の予定)という意味ではソフトバンクから販売される予定のLenovo製のSoftBank 503LVも同じくSnapdragon 617を搭載している。既に販売されている2モデルのスペック上の違いを表にしてみると以下のようになる。

表1 MADOSMA Q601、NuAns NEO、VAIO Phone Bizの比較
  MADOSMA Q601 NuAns NEO VAIO Phone Biz
SoC SKU Snapdragon 617 Snapdragon 617 Snapdragon 617
CPU Cortex A53x8 Cortex A53x8 Cortex A53x8
GPU Adreno 405 Adreno 405 Adreno 405
メモリ 3GB 2GB 3GB
内蔵ストレージ 32GB 16GB 16GB
拡張メモリスロット Micro SDXC(*1) Micro SDXC Micro SDXC(*1)
ディスプレイ 6型 FHD IPS 5型 HD 5.5型FHD IPS
通信 セルラー 4G LTE/3G/2G 4G LTE/3G/2G 4G LTE/3G/2G
LTEバンド

(日本)FDD:1/3/8/19/28(B) TDD:41

(海外)FDD:1/2/3/4/7/8/28(B) TDD:38/40/41

FDD:1/3/8/19/28 FDD:1/3/8/19/21
CA対応 - - 対応(ドコモ/1+19、1+21、3+19)
Wi-Fi IEEE802.11ac/a/b/g/n(5GHz/2.4GHz) IEEE802.11ac/a/b/g/n(5GHz/2.4GHz) IEEE802.11ac/a/b/g/n(5GHz/2.4GHz)
Bluetooth 4.0 4.0 4.0
NFC -
GPS
SIMカードスロット Micro SIM+Nano SIM(*1) Micro SIM Micro SIM+Nano SIM(*1)
カメラ 背面 1300万画素 1300万画素 1300万画素
前面 500万画素 500万画素 500万画素
インターフェイス USB Type-C(2.0、OTG対応) USB Type-C(2.0、OTG対応) Micro USB(2.0、OTG)
外装着せ替え - -
ICカード挿入スペース - -
急速充電 QC2.0 QC2.0 QC2.0
バッテリー 3,900mAh 3,350mAh 2,800mAh
サイズ 82.3x160x7.9mm 74.2x141.11.3mm 77x156.1x8.3mm
重量 176.5g 150g 167g
Continuum対応 無線 無線 無線
OS Windows 10 Mobile Windows 10 Mobile Windows 10 Mobile
価格 4万9800円(税込) 4万2984円(税込、カバー別) 5万9184円(税込)
(*1)Micro SDXCとNano SIMは排他

これを見るとよくわかるように、MADOSMA Q601の既存のモデルとのアドバンテージは、NuAns NEOに比較するとメモリが3GB/ストレージが32GBになっている点、また液晶ディスプレイがフルHD(1920x1080ドット)になっている点などになり、VAIO Phone Bizに比較するとストレージが32GBになっていて、バッテリーの容量が1000mAhほど大きく、NFCに対応しているあたりになる。

デュアルSIMカードスロットと、カメラシャッター音をオフにできる(予定)の設定が嬉しい

 詳しく実機を見ていこう。デザインは前面のベゼルがホワイト、裏面がアルミのシルバーというデザインになっている。筆者個人の趣味ではあるが、色々なシーンに持ち歩くことになるので、落ち着いた色やデザインが好みなのだが、本製品はそうしたデザインと言えビジネスシーンで使っても十分違和感がないものだ。



▲前面ベゼルがホワイト、裏面がアルミのシルバーという落ち着いたデザイン。出荷時には保護フィルムは貼られていないが、パッケージの中に保護フィルムが同梱される出荷される。

 端子類もシンプルで、底面にUSB Type-Cが用意されている。ただ、Snapdragon 617に内蔵されているUSBコントローラはUSB 2.0までの対応となるので、データ接続の最大速度はUSB 2.0の480Mbpsとなる。それでも、リバーシブルでどちらの方向にもさせるようになるので使い勝手はmicro USBよりは優れているといえる。


▲上面、ヘッドフォン端子が用意されている。


▲底面、USB Type-C端子が用意されている。


▲右側面にはボリュームスイッチ。


▲左側面にはSIMトレイと電源スイッチ。


▲箱と内容物。本体以外には簡易マニュアル、USB充電器、USBケーブル、トレイピン、Nano SIM Micro SIMアダプターが付属している。


▲本体はQuickCharge 2.0対応だが、付属のUSB充電器は未対応。


▲両端がUSB Type-AとUSB Type-Cのケーブル。

 SIMカードスロットは右側面にあり、ピンで押し出して取り出すタイプになる。SIMカードトレイは、最近のSIMロックフリー端末でトレンドになりつつある、MicroSDカード/Nano SIMスロット排他+Micro SIMスロットというトレイが利用されている。通常利用では、Micro SIMとMicroSDカードを活用することになるが、MicroSDカードの利用を諦めれば、Micro SIMカードとNano SIMカードの2枚のSIMを入れて使うことができる。ただし、いわゆる4G/3Gデュアルスタンバイ(4G/3Gの電波を利用して2枚のカードの両方で待ち受けすること)はできず、デュアルスタンバイするには4G/3Gと2G(GSM)の組み合わせのみとなる。日本ではGSMの電波を出している通信キャリアはないので、基本的にはデュアルスタンバイは海外でしか利用できない。ただし、日本でもSIMを2枚入れておいて、切り替えて利用することは不可能ではない(GSMの電波を出さないように、もう1方のSIMカードは通信しないように設定しておく必要がある)。


▲SIMトレイはピンで押し出す形。


▲SIMトレイ。



▲このようにMicro SIMと、Nano SIM/Micro SDカード排他になっているSIMトレイ

 サポートするLTEバンドは、日本ではFDD:1/3/8/19/28(B)およびTDD:41となっている。これを見る限りNTTドコモ(バンド1、バンド3、バンド19、バンド28)、ソフトバンク(バンド1、バンド8)、Y!Mobile(バンド3、バンド28)に対応していることになる。なお、auに関してもバンド1が該当しているように見えるが、基本的には未対応ということなので、NTTドコモおよびそのMVNO回線、ソフトバンク、Y!MobileのSIMを利用して通信できると考えられる。
 本製品がユニークなのは、そうした国内向けのバンドだけでなく、海外では追加のバンドをサポートしていることで、FDD:1/2/3/4/7/8/28(B)およびTDD:38/40/41を海外では使える。これにより、欧州、中国、台湾、米国で現地のプリペイドSIMを買って通信することができる。とはいえ、最新のiPhoneやiPadのようにほとんどすべてのバンドをサポートしている訳ではないので、通信キャリアは選ぶ必要がある。例えば、米国ならT-Mobileはほぼカバーできているが、AT&T Wirelessはメインのバンド17には未対応なのでややつらいかもしれないなどとなる。
 背面にはカメラが用意されている。MADOSMA Q501の弱点として、カメラの機能がやや弱いというものがあったが、本製品ではそこも改善されている。MADOSMA Q501ではリア800万画素、フロント200万画素だったのに対して、MADOSMA Q601ではリア1300万画素、フロント500万画素に強化されている。ミッドハイとしては一般的なスペックと言える。また、これはハードウェアとは関係ないが、Windowsのカメラアプリも進化しており、最新版ではHDR機能が追加されている。もちろんMADOSMA Q601でも利用できるので、利用シーン(例えば風景など)によっては効果がある。


▲リアカメラは1300万画素。

 なお、MADOSMA Q601では、Windows設定のサウンド設定で、「カメラのシャッター」という設定が用意されており、これをオフにすることでシステムのボリュームと連動してシャッター音をオフにすることができる。つまりグローバル向けのスマートフォンと同じように、必要に応じてシャッター音をオフにできるのだ。ただし、現在のファームウェアではこの設定をオフにしてもシャッター音は切れない。これはソフトウェアのバグとのことなので、将来的に新しいファームウェアが配布されれば修正される可能性が高いことは付け加えておきたい。


▲設定からカメラのシャッター音をオフにできるようになっているが、現状はソフトウェアのバグで鳴ってしまう。将来的にはこの設定がきちんど動作するように修正される予定。

MS-TCCと組み合わせると最強の5GHz固定のテザリング機能

 今回しばらくMADOSMA Q601を使っていいと感じた点は2つあった。1つはバッテリー容量が3900mAhと大容量になっていることだ。現代のスマートフォンは概ね2000mAh~3000mAhの容量のバッテリーを内蔵していることが多い。それで一般的な用途で1日というバッテリー駆動時間だと思うが、本製品のように1.5~2倍のバッテリーを内蔵すれば、シンプルにバッテリー駆動時間も1.5~2倍になる。実際、筆者の一般的な使い方(移動時などにスマホを利用する、座って作業する時にはPCを利用)では1日は余裕で、1日半~2日は充電しなくても使えていた。
 また、もう1つこれは便利だなと感じたのは、Wi-Fiテザリングの機能が、一般的なスマートフォンで利用可能な2.4GHzだけでなく、5GHzにも設定できたことだ。具体的には設定のモバイルホットスポットの設定でネットワーク帯という設定が用意されており、2.4GHz、5GHz、使用可能(帯域の状況を見てスマートフォンが自動で2.4GHzと5GHzを設定)という3つの設定が用意されている。ここで、5GHzに設定しておけば、5GHzのWi-Fiを利用したテザリングが利用できる。


▲テザリングの設定で5GHzに帯域を固定することができる。

 これの何がいいかと言うと、人が沢山いる宴会場のようなところでほかの人もWi-Fiルーターやスマートフォンのテザリングを使っているような環境で、つながりにくいということを避けることができる点にある。多くのWi-FiルーターやほとんどスマートフォンのテザリングはWi-Fiの帯域として2.4GHzを利用して混雑してつながりにくいということはよくある。しかし、そうした時でも5GHzであればまだ使っている人が少ないので、比較的そうしたことは起こりにくい(もちろん将来的に5GHzを使う人が増えれば話は同じだが...)。
 かつ、Windows 10 Mobileでは以前の記事で紹介したとおり、MS-TCCというBluetoothのプロトコルを利用することができる。これを活用すると、Windowsスマートフォンをカバンの中に入れたままWindows PCからテザリングをリモートでオンにすることができることも付け加えておきたい。

Androidスマートフォンに比べるとやや割高なのは事実だが、ビジネス向けとしては魅力がある

 以上のように、MADOSMA Q601は従来製品に比べてSoCなどが性能向上し、液晶も6型という比較的大型なディスプレイを採用したことで、モダンなWindowsスマートフォンに仕上がっている。かつ、詳細を見ていくと、カメラのシャッター音が切れる(ようになる予定)だったり、バッテリーの容量が3900mAhと大容量で1日~2日は余裕で使えたり、さらにはMS-TCCによるリモートテザリングも可能でかつ5GHz帯が利用できるというテザリング機能など魅力的な点が少なくない。

 ただ、唯一気になるとすれば、4万9800円(税込)という価格だろうか。VAIO Phone Bizの5万9184円(税込)よりは安く、NuAns NEOの4万2984円(税込)+ケース代よりはやや高いという価格設定になる。Windowsスマートフォンとしては、ほどほどの値頃感の価格設定と言っていいだろう。ただし、シンプルにSIMロックフリーのスマートフォンとして考えると、やや高めに感じる。例えば、同じSnapdragon 617を搭載したAndroidスマートフォンの例で言うと、Motorola MobilityのMoto G4 Plusは32GBモデルで3万8664円(税込)という価格設定だ(別記事参照)。これらを見ると、やはりやや高めだと言わざるを得ない。

 しかし、それはコンシューマの目線で見ればという話であって、そもそもWindowsスマートフォンはビジネスユーザーや企業ユーザーが購入するような製品だ。重要な事はこの価格には、PCのサポートと同じようなサポートが受けられる価格を含んでいるという点だ。マウスコンピュータはPCメーカーとしてそうしたビジネスPCのサポートでも定評があるが、同じようなサポートはこのMADOSMAでももちろん受けることができる。そうしたことを含んでの価格だと考えれば、決して高すぎということはないと思う。

 そうしたビジネスユーザーで、スマートフォンを使っている時にもOffice 365の機能をもっと活用したい、あるいは企業内で多数運用されているIntuneのようなWindows向けのMDM(モバイルデバイスマネージメント)にも接続したいモバイル端末が欲しいというユーザーであれば、MADOSMA Q601は有望な選択肢となるのではないだろうか。
 
 

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関連キーワード: MADOSMA Q601, MouseComputer, Windows 10 mobile
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