ドガの肖像画に別の女性、X線で浮かぶ・LHCで発見の新粒子は存在せず・チェルノブイリを太陽光ファームに(画像ピックアップ44)

Munenori Taniguchi
Munenori Taniguchi, @mu_taniguchi
2016年08月7日, 午後 07:00 in alien megastructures
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1週間のあいだに拾いきれなかったニュースを集めてお伝えします。今週は「ドガの絵画に隠されたもう一人の女性」、「LHCで発見の新粒子は存在しなかった」、「チェルノブイリに大規模ソーラーファーム建設計画」といったニュースをまとめました。

ドガの絵画に隠されたもう一人の女性を、X線で浮き上がらせる技術

フランスの印象派画家・ドガが1876年頃に描いた肖像画「Portrait de Femme」には、1920年代から下に別の女性の顔が描かれていることがわかっていたものの、絵を壊さずに下に隠れた女性の顔を見る方がなく、誰もその女性の顔をはっきりと知ることはできませんでした。

この絵を研究するDaryl Howardらは、オーストラリア・ヴィクトリア州にある粒子加速器を用いて蛍光X線分析(XRF)と呼ばれる非破壊分析手法を用いました。X線の照射によって絵画に塗られた絵の具を種類ごとに浮かび上がらせ、下に隠れた絵がいくつかの層に描かれていることがはっきりとしました。また隠れていた女性は、当時の画家たちの間で人気があったとされるモデルEmma Dobignyと推測され、分析によってはじめてその表情や特徴的な耳の形が確認されました。

ただ、いくら絵画に隠れたもう一人のモデルがわかっても、なぜドガが先に描いていた肖像の上に別の肖像を描いたのかはわかりません。
[Source : Scientific Reports]

LHCで発見された新粒子は存在しなかった

 
2015年末に、CERNの大型ハドロン衝突型加速器を使って発見された「新たな粒子」が、実は統計的データのゆらぎだったことがわかりました。

新粒子発見のニュースが流れた当時は、統計精度的にはやや甘いものの、ATLASとCMSという2つの独立した実験グループが同時に観測したことからその確度は高いと考えられました。さらに、現在の素粒子理論(標準理論)ではヒッグス粒子が最後の粒子とされ、新粒子の存在は想定されておらず、理論を覆す可能性がある発見とも言われていました。

ただ今年、より大きなエネルギーを扱えるよう改造を施して再稼働したLHCを使い、改めて計測したデータの分析を実施したところ、新粒子とされたのはデータの統計的な変動の範囲の出来事だったが判明、新粒子はないとする結果となりました。
[Image : AP Photo/Anja Niedringhaus]
[Source : Popular Science]


異星人の巨大建造物で話題になった星、結論はまだ

2015年に不自然な減光現象が確認され、何らかの巨大建造物の存在も疑われたはくちょう座KIC 8462852は、現在もその現象の謎が解明されていません。

KIC 8462852は天文学者のTabetha Boyajianがその減光現象を発見したことから現在はTabby's Starとも呼ばれます。この星では通常時の明るさから一時的に22%も減光する現象があり、その原因としていろいろな説明がなされてきました。

たとえば、最初に話題となったのは、地球外文明によるダイソン球のような巨大構造物があるのではないかとする説。ダイソン球はSFドラマ「スタートレック」でも登場したコンセプトで、構成の周りを構造物で取り囲み、そのエネルギーを取得するというもの。ただあまりに突飛な説であることは否めません。その後ほどなくしてNASAが発表した彗星の連続通過説も、20%もの減光には木星サイズの彗星が必要で、さらに過去に何度も繰り返し減光が観測されていたことから説明が成り立たないとされました。

最新の研究では天文学者Ben Montetらがケプラー宇宙望遠鏡による4年分の観測データを分析し、Tabby's Starがある時点では急激な減光現象をみせ、別の時期では緩やかな明るさの変化を示していることを発見しました。このような変化を見せる恒星は他にはないとのこと。ただやはり、Tabby's Starの減光現象の理由は説明できず、その謎は深まるばかりです。

Tabetha Boyajianはプロアマ問わず世界中の天文研究家と協力し合い、また自身はクラウドファンディングで得た資金でカリフォルニアの天文台Las Cumbres Observatory Global Telescope Network (LCOGT)を押さえてKIC 8462852の観測を継続すると発表しています。

LCOGTによる地上からの観測では、ケプラー宇宙望遠鏡ほどの高い観測精度は望めないかもしれません。しかし、2024年にPLATO宇宙望遠鏡を打ち上げ予定のESAは、Tabby's Starの観測に使う用意があるとしています。
[Picture : Danielle Futselaar/SETI International]
[Source : Popular Science]

月や火星への宇宙旅行で心臓にリスク

フロリダ州立大学の研究者が、宇宙放射線が飛行士の心臓・循環器に悪影響を及ぼす可能性があると発表しました。過去に月または園周辺へと飛行した宇宙飛行士のうち、すでに亡くなっている7人の死因を調べたところ、3人が心臓・循環器疾患だったことが判明。これは全体の43%で、一度も宇宙へ出なかった飛行士(9%)、宇宙放射線から守られる地球磁気圏内を周回するISSなどへの滞在経験がある飛行士(11%)に比べて4~5倍の確率だとしています。

ただ、7人中3人という話なので、数字の精度という意味では少々疑問も残ります。そこで研究者はマウスを使い、地球磁気圏に守られない場所での宇宙放射線を想定した実験を実施。その結果、マウスの動脈に機能障害が多く発生したとして、やはり宇宙空間の放射線が心臓・循環器に有害だということがわかるとしました。

現在、火星への有人飛行を目指す計画がNASAやESAなどで進められているものの、火星までは片道8か月以上(NASA)の時間が必要となります。また磁気圏のない火星では宇宙放射線が地上にまで到達するはずです。火星有人探査を始めるまでには、放射線からの防護技術の開発も必要となりそうです。

[Image : Project Apollo Archive, Flickr]
[Source : Popular Mechanics]

チェルノブイリの立入禁止区域に大規模ソーラーファームの計画

ウクライナ政府が、チェルノブイリ原発事故による放射能汚染によって立入禁止区域に指定された広大な土地に、1000MWの大規模な太陽光発電設備を設置する計画を発表しました。1986年の4号機爆発事故発生後も2000年までは原子力発電所として稼働し続けたチェルノブイリは送電線網をまるまる残しているため、これをソーラーファームからの送電に転用するねらいもあるとのこと。

避難指定区域内ではいまだ放射線量が高く居住できません。計画からはこうした放射能汚染地帯でどのように太陽光発電設備を維持運用するかといった詳細な情報は伝わりません。ただ、放射線量が低下してきた一部の地域では、例外的に立ち入りが許可されるようになっており、周辺地域にはもともと原発で働いていた人たちが多く住むことから発電設備運用の経験と知識を持つ人材が揃いやすいことなどはソーラーファーム設置の後押しとなりそうです。

ウクライナでは原発停止以降、深刻な電力不足の状態にあるとされます。もちろん残留放射線には注意が必要ではあるものの、広大な土地に降りそそぐ無限の太陽エネルギーをソーラーファームで回収し国内に送れるようになれば、電力自給率の改善に加えて雇用も見込むことが可能です。これはまさに良いことづくしというほかありません。

すでに政府は欧州復興開発銀行(EBRD)に計画に向けた資金調達の話をしたほか、米国から複数企業が出資を名乗り出ているとしています。
[Image : AP Photo/Efrem Lukatsky]
[Source : The Guardian]
 
 

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