未来のコンピューターは今よりも1000倍ほど速く動作するようになるかもしれません。欧露の研究チームがNatureに発表した研究によると、"T-Ray"と呼ばれるテラヘルツ波を利用することで、不揮発性メモリーセルの書き換え高速化が可能になるとのこと。テラヘルツ波は電磁波と赤外線の間の波長をもつ一種の放射線。放射線と言っても人体への影響はないとされ、身近な使用例としては、空港などで使われるボディスキャナーがあります。パッシブ式テラヘルツ波スキャナーはあらゆる物質から発せられるテラヘルツ波を検知し、たとえば衣服の下に爆薬や武器、密輸品などを隠し持っていないかを検出することが可能です。

チームがNatureに発表した研究結果によると、このテラヘルツ波を使えば、磁化によって電源がなくとも情報を保持できる高速なメモリー(おそらくスピントロニクスメモリー素子)の動作を、電磁波を使った場合の約1000倍にまで高速化できるとのことです。反強磁性体ツリウム・オルトフェライト(TmFeO₃)を使った実験では、従来使われてきた電磁波に比べ10倍の磁界を発生させ、より高速な動作に対応できることが確認されました。

研究では、まだ実際のメモリー素子としての動作実験には至っていません。しかし研究が進み実用化に至れば、いつの日か筐体の中で"T-Ray"が飛び交う超高速PCなども実現するのかもしれません。