「UQ mobile」がラインナップを大幅拡充、打倒ワイモバイルの勝算は:週刊モバイル通信 石野純也

石野純也 (Junya Ishino)
石野純也 (Junya Ishino)
2016年10月26日, 午前 10:05 in ishino
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UQコミュニケーションズが、MVNOサービスのUQ mobileで端末のラインナップを大幅に拡充。すでに発売しているASUSの「ZenFone 3」「ZenFone 3 Deluxe」や、LGの「X SCREEN」に加え、TCLの「SHINE LITE」「IDOL 4」、ファーウェイの「P9 lite PREMIUM」、シャープの「AQUOS L」といった、個性的なラインナップを取り揃えました。

このタイミングでUQ mobileがラインナップを拡充できた背景には、au VoLTEに対応する環境が整ってきたことがあります。

ラインナップを大幅拡充したUQ mobile

▼alcatelブランドの「SHINE LITE」


▼alcatelブランドの「IDOL 4」

▼シャープの「AQUOS L」


▼ファーウェイの「P9 lite PREMIUM」


KDDIの100%子会社であるKDDIバリューイネイブラーから事業を受け継いだUQコミュニケーションズですが、当初は端末が少なく、「だいぶ頑張っていたが、デバイスが足りないという方がいた」(代表取締役社長 野坂章雄氏)といいます。実際、ユーザーの満足度は高かった一方で、アンケートを取ると「端末ラインナップが少ないことの数値が1つだけ極端に低かった」(企画部門 事業開発部長 前島勲氏)という大きな課題がありました。

▼UQコミュニケーションズの野坂社長

端末を増やせなかった理由

その大きな理由の1つが、auのネットワークの特殊さです。auは3GにCDMA2000 1Xという規格を採用しており、これが「SIMフリーメーカーの観点では亜流だった」(同)といいます。世界的に見てもCDMA2000 1Xでサービスを行っている通信事業者は非常に少なく、グローバルで出荷台数の規模を上げようとしているメーカーにとっては、対応するメリットが薄かったのです。

au系MVNOの母数が大きければ話は変わってきたかもしれませんが、市場で優勢なのはやはりドコモ系。鶏が先か卵が先かの議論になってしまいますが、端末が増えない負のスパイラルになっていました。

▼ラインナップの拡大は急務だった


この状況のなか、UQコミュニケーションズは、SIMフリーメーカーにVoLTEへの対応を「一生懸命働きかけいった」(野坂氏)といいます。VoLTEとは、世界共通規格のLTE上で音声通話をやり取りする仕組みのこと。VoLTEの仕様がキャリアごとに異なるため、対応するにはチップセットの選択に制限が出たり、ソフトウェアを作り込んだりするコストや手間は発生します。

とはいえ、異なる通信方式であるCDMA2000 1Xを搭載するのに比べれば、メーカーの負荷は軽減されます。同じ端末を海外や他のMVNOに出せるのも、メーカーにとってはメリットと言えるでしょう

▼VoLTE対応をメーカーと進め、対応端末拡大にこぎつけた


VoLTEの対応にあたってはauにも協力を仰ぎ、IOT(インターオペラビリティテスト)を実施。こうした成果がようやく実り、ここへきて一気に対応端末が増え、冒頭挙げたような充実したラインナップを取りそろえることができたというわけです。

細かく見ていくと、まだVoLTEに対応していないメーカーもあり、SIMフリースマホと回線を別々に買って組み合わせることができるドコモ系MVNOよりも端末数は少ないのも事実ですが、ここまで選択肢を提示できれば、UQ mobileに興味を示すユーザーも多くなるでしょう。

▼auの接続性検証(IOT)サイトにはZenFoneシリーズなどが並ぶ


端末のラインナップを大幅に拡充したUQ mobileですが、それだけにとどまりません。ライバルであるワイモバイルに対抗すべく、5分間の通話定額である「おしゃべりプランS」も来年の2月から導入します。さらに、販路も一気に広げる構えで、イオンやゲオ、カメラのキタムラなどを加え、年度末には1000店舗を実現する方針です。このタイミングに合わせ、深田恭子さん、多部未華子さん、永野芽郁さんを起用したCMも開始します。

▼販路は1000店舗に拡大する予定。サポートも手厚くする




▼70年代をテーマにしたCMを展開

ライバルはワイモバイル

端末、料金、販路を見れば分かるように、UQ mobileがターゲットとしているのは、今や飛ぶ鳥落とす勢いのワイモバイル。CMも70年代をテーマにしており、対抗意識があることが一目で分かります。実際、野坂社長も「第4のキャリアを目指したい」(同)と述べており、既存のMVNOとは一線を画す方針。そのために必要なピースがそろったのが、まさにこの秋冬商戦なのです。

▼第4のキャリアを目指すピースがそろった秋冬商戦


一方で、仕組みを見ると、UQ mobileはやはりMVNO。ソフトバンクがブランドだけを変えて提供しているワイモバイルとはビジネスモデルが根本的に異なります。

ネットワークもauから帯域を借りており、「貸出しの条件は他のMVNOと同じだと思う」(同)というため、他社同様、お昼休みの時間帯などは十分な速度が出ないこともあります。コスト構造的には、帯域を借りるための接続料が大きくのしかかってくるため、即ワイモバイルにキャッチアップできるかというと、それは難しいかもしれません。

そのため、今後は、ワイモバイルにはできない、MVNOならではのサービスが必要になってくるかもしれません。UQコミュニケーションはMVNOであると同時に、WiMAX 2+方式の基地局を持つキャリアでもあります。今はUQ WiMAXとUQ mobileが2つ併存する形で、2つはまったく連携していませんが、将来的にはネットワークを持つ強みを上手く活用した方がいいでしょう。スマホでも「ギガ放題」を提供するなど、同社ならではの秘策にも期待したいと感じました。

 

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