中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)で、新しいサイバーセキュリティ関連法案が可決されました。この法案は表向きにはテロを含む犯罪防止を謳ってはいるものの、インターネット関連企業における機密情報へのアクセス権限を提供しなければならないといった条項なども含まれています。さらにもし、条項に反するようなことがあれば中国当局は企業のサービスを一方的に停止させる権限も有するとのこと。施行は2017年6月より。新しいサイバーセキュリティ法では「重要情報基盤」つまり大量のユーザーを持つインターネットサービス企業は、抱えるユーザーの情報をすべて中国領内に保管する必要があります。利用者すべて実名登録とし通信内容を開示、さらにテクニカルサポートと称するバックドアの設置を承認しなければなりません。

人権擁護団体のHuman Rights Watchは、詳細に調査した結果としてこの法律が中国の「社会主義体制維持を念頭に置いて整備されたものだ」と主張します。加えて「経済的秩序を乱し、国家統一を揺るがす」とみなされる活動は懲罰対象になっているとのこと。つまり、民主化をもとめるといった直接なことだけでなく、国にとって都合の悪い情報を流布するコンテンツ制作なども基本的に禁止されるということです。たとえば2015年暮れには中国の国内経済が失速していると報じただけで199人もの報道関係者が投獄されています。今後はこうしたことが大量に発生するようなこともあるかもしれません。

もっとも、中国では従来からネットの検閲が実施されており、当局がFacebookなどのインターネット企業に対しデータの国内保管を強制しようとしたといった話題もありました。ただ、今回の新サイバーセキュリティ法は従来よりもさらに高い権限を持つものとして施行されることとなり、違反すればこれまでよりもさらに重罪とされる可能性もありそうです。

なお、このような動きはロシアでも押し進められています。ただロシアの場合はロシア国民の個人情報を扱うデータベースをロシア国内に置かなければならないといったものでした。中国のサイバーセキュリティ法はロシアに比べてもさらに広範な情報やネット上の活動をカバーするものになったと言えそうです。

ちなみに、今年3月にはプラネックスコミュニケーションズが中国でもFacebookができるというVPNルーター(?)を発売しています。今後は中国旅行に出かけても、こうした機器を使う前によく確認したほうが良いのかもしれません。
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