「1兆個のデバイスがネットに繋がる社会に対応」──ソフトバンク、IoT専用の超低速LTE網を全国展開

1基地局で5万回線を収容

小口貴宏(Takahiro Koguchi)
小口貴宏(Takahiro Koguchi), @TKoguchi787
2016年11月29日, 午後 02:35 in iot
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次世代移動通信5Gの技術を先取りする「5Gプロジェクト」。ソフトバンクはこの第2弾に向けた実証実験を、11月24日に実施しました。5Gといえば、数Gbpsのスループットが注目されますが、実験ではたったの63kbps。この低速な通信網が、IoT時代の到来を支える屋台骨となりそうです。

1兆個のデバイスがインターネットに繋がる社会

ソフトバンクは、5Gプロジェクトの第1弾として、通信を大容量化する「Massive MIMO」の一般向けサービスを開始しています。今回、5Gプロジェクトの第2弾と銘打ったのが、IoT時代には欠かせない「多接続」を実現する低速ネットワークの実証実験です。


▲5Gプロジェクトの第2弾は「多接続」

ネットワークに多接続が求められる背景には、IoTの爆発的な普及があります。今後自動車や監視カメラ、自動販売機、PS、商品管理、エネルギー管理など、あらゆる産業分野にIoTが入り込むことが予測されています。また、インターネットに繋がったセンサーが収集する膨大なビックデータを人工知能が解析することで、社会のさらなる高度化や、新たなビジネスチャンスが生まれると期待されているのです。

一方で、既存のLTEネットワークでIoTに対応することは困難だといいます。ソフトバンクの北原秀文氏(モバイル技術本部 ネットワーク規格統括部 統括部長)はその理由を次のように説明します。

「従来のLTEネットワークでは、1つの基地局あたり1000回線しか収容できません。これでは、日本全国に10万局を設置したとしても、1億デバイスしか繋がらない計算です。日本の人口と同じと思うかもしれませんが、インターネットに繋がるデバイスの数は、2021年までに国内で157億個、全世界では1兆個に達すると予測されています」


▲あらゆる分野にIoTが浸透するなか、ネットワーク側の対応が急務だという

1つの基地局で5万回線を収容

そこでソフトバンクが実証実験を行ったのが、多接続を実現するIoT向けのLTEネットワーク「NB-IoT」です。通信速度は上り最大63kbps、下り28kbpsと低速ですが、それゆえに通信モジュールのコストが安く、省電力でバッテリーも10年間交換不要という特徴を持ちます。

また、1つの基地局で既存のLTEの50倍となる5万回線を収容可能。これにより「桁が違うデバイスの数がインターネットに繋がる社会に、我々は備えられる」とソフトバンク北原氏は付け加えます。

▲モジュールコストは10ドル以下、10年以上バッテリー持続するという

2017年夏にIoTネットワークを全国展開

このため、ソフトバンクは2017年夏を目処に、NB-IoTを含む3種類のIoT向けLTEネットワーク「LTE Cat.1」「LTE-M」「NB-IoT」の商用展開を開始する予定。これにはプラチナバンドの900MHz帯と、2.1GHz帯を活用します。

基地局側はソフトウェア・アップデートで対応できるため、エリア展開はほぼ全国一斉。通信速度が速いCat.1はコネクテッド・カーなどに、通信速度の遅いNB-IoTはセンサー類などといった具合に、用途によってネットワークを使い分ける形になります。


▲ソフトバンクは2017年夏から3つのIoTネットワークを全国展開


▲ニーズに応じてネットワークを使い分ける

低コストなスマートパーキングシステムをデモ

今回の実証実験でソフトバンクは、NB-IoTを使ったスマートパーキングシステムをデモしました。NB-IoTを使うために、有線やWi-Fi・Bluetoothといった仕組みは不要。バッテリーは10年間持つため、メンテナンスコストも抑えられます。駐車の検知にかかわるデータ通信は、非常に少量の上り通信で済むため、63kbpsのNB-IoTでも十分というわけです。


▲NB-IoTの通信モジュールを搭載したセンサー(本来は舗装の下に埋め込む)


▲センサーが車の駐車を検知


▲管理者画面から駐車の有無がわかる。

既存基地局のソフトウェア更新で対応可能

なおIoTネットワークとしては、キャリアが既存の携帯電話ネットワークと同じように提供するNB-IoT、LTE-M、LTE Cat.1のほかに、免許不要のノンライセンスドバンドを用いたLoRaやSigFoxなどがあります。これらと比較した特徴についてソフトバンクの担当者は「ノンライセンスバンドでは帯域を専有されるおそれがある。ライセンスバンドでは、オペレーターが管理するためにその心配がない」と説明します。


▲免許不要の周波数帯を使ったIoTネットワークもある

またLoRaやSigFoxでは、オペレーターが基地局を新設する必要があるのに対し、NB-IoTやLTE-M、LTE Cat.1では既存の基地局のソフトウェアアップデートで対応できる点もコスト的なメリットだといいます。なお、ソフトバンクとしても、場合によってはノンライセンスドを活用するとしています。

なお肝心なのは回線料です。京セラのSigfoxなどは、通信回数などによって「年額で100円」という安価な料金設定が話題を集めました。ソフトバンクは現時点でIoTネットワークの回線料を明かしていませんが、1日の通信回数などに応じて、弾力的に料金を変えるプランを検討しているということです。

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