2013年にクラウドファンディングでのキャンペーンを成功させ、製品化が決定したVR専用トレッドミルOmniを製造するVirtuixが、国外からの注文をキャンセルすると発表しました。理由は発送手続きの煩雑さとコスト膨張に対応できないのがわかったとのこと。

OmniといえばVRゴーグルを装着し、その仮想現実空間を実際に歩き回れるお座敷ゲレンデ的VRデバイス。歩く走るは当然ながら、ジャンプ、かがむといったアクションゲームの基本動作にはすべて対応します。さらにOculus RiftやHTC Viveといった本格VRゴーグルからスマホを入れて使うGear VRといった簡易VRゴーグルまで幅広く対応しているところも魅力です。

ただ、やはり人が上に乗ってジタバタする以上、それなりの大きさ、強度は必要で、耐久性も確保しなければなりません。その結果Omniの重量は約80kg、梱包サイズは123x110cmほどになりました。さらに世界各国の配送規制への対応や追加パッケージや保守パーツの管理なども考えると流通面での手間とコストが現実的ではないレベルに膨れ上がってしまいました。
クラウドファンディングから数年、「もうすぐ出荷」のアナウンスからも数か月を、辛抱強く全裸待機してきた出資者の方々からすれば「いまごろになって何を言うか」となんともやりきれない結果ですが、Virtuixは強制キャンセルとなる米国以外の出資者に対して、出資額に年間3%の利息を上乗せして払い戻しをするとしています。なお払い戻し手順は個別に連絡が行くとのことです。

国外出荷がなくなった現時点で正式に米国外でOmniを体験できるのは、中国で展開予定のVRゲームセンターなど、かなり限定的となる模様です。ただ、完全に自宅でVR世界を歩き回る夢が絶たれたわけではありません。Virtuixは将来的にはきちんとした流通対策を施し、世界各国への出荷を実現させたいとしています。

今回のケースはクラウドファンディングの良くない方の一面を垣間見せた事例と言えそう。一般の企業であればこういったことは考えられませんが、クラウドファンディングの場合はプロジェクトに製品を開発する技術はあっても、自分で作り上げたものがどうユーザーのもとへ届くかまでは把握しきれていない場合もありえるということです。出資者にはこのような隠れたリスクを嗅ぎわけるスキルも必要なのかもしれません。