巨大な恒星のなかには、超新星爆発を経ずにブラックホールになるものが存在するーーそんな可能性をNASAが発見しました。地球から2200万光年の位置にある恒星N6946-BH1が、その星の最後の瞬間である超新星爆発の光を発することがないまま輝きを失い、ブラックホール(の候補)に変化したとしています。
一般的に、大質量の恒星はその一生を終える際に激しい重力収縮が発生し、星の核の部分以外が衝撃波で吹き飛ばされる超新星爆発を起こします。太陽の30倍以上の質量をもつ恒星の場合、核はその後も重力収縮を続けて重力崩壊を起こし、ブラックホールになるとされます。
しかし、それでは宇宙空間ではもっと多くの超新星爆発が確認されるはずで、なぜもっと多くの超新星爆発が観測されないのかという問題の説明がつきません。
NASAはハッブル宇宙望遠鏡とアリゾナ州にある大双眼望遠鏡(LBT)を使い、2200万光年離れた位置にある恒星N6946-BH1を観測しました。この星は太陽の25倍ほどの大きさでしたが、2007年から輝きが弱まりはじめ、2015年までにはその場に星があったことを確認できなくなりました。
研究者はN6946-BH1が何かの障害物に隠れた可能性など、考えうる要因を検討し排除していった結果、星のあった方向に弱い赤外線の反応を検出しました。これはブラックホールへ取り込まれる物質が放出していると考えられ、最終的にN6946-BH1が超新星爆発を起こすことなく、そのままブラックホールに転じたと結論づけたとのこと。
オハイオ州立大学の天文学教授で観測敵宇宙論学者であるChristopher Kochanek氏は、大質量の恒星の10~30%ほどは超新星爆発に至らないままブラックホールに変わる可能性があるとしました。それまで輝いていた星が突然ブラックホールになる後継というのはにわかには想像しにくいものですが、今後この現象の研究がすすめば、さまざまな宇宙の謎について新たな理解やヒントがえられるかもしれません。