農機メーカーがAIベンチャーを買収
買収が決まったものの、Deereによる計らいでBlue Riverのチームは"起業家精神"を維持するため現在の本拠地にとどまり、これまで通りの開発体制を維持するとのこと。
AI活用の詳細はまだ公表されていませんが、その戦略は除草剤散布だけではないとされます。Deereはマシンラーニングを「会社の将来にとって重要な機能」と位置付けており今後の農業の自動化を推進するために活用していくことは間違いありません。
あまり話題になることはないかもしれないものの、農業分野でのAIは、除草剤散布以外にもたとえば出荷しごろな作物の選別、病気診断、害虫駆除などでじわじわと浸透しています。
[Image : Luke MacGregor/Bloomberg via Getty Images]
[Source : PR Newswire]
スマホで「脳のケガ」を診断する技術
特に深層学習によるニューラルネットワークの強化で、瞳孔反応の検査精度が向上しており、小規模な初期試験では脳外傷の可能性をある程度判断することが可能になったとしています。
ただ、現在のところははっきり症状が出ているケースを診断できるのみであり、軽度な脳外傷を検出するためにはさらなる開発が必要です。またアメフト選手のように、引退後数年してから現役時に受けた衝撃の影響が出てくるようなケースに対してはまだ、診断結果は正確ではない可能性はあるものの、現時点でもスポーツ、事故や救急の現場での脳外傷の迅速な検出に利用できるようになったと研究者は語っています。
ちなみにワシントン大学はスマホのカメラを使った膵臓がん、黄疸の検出アプリBiliScreenの開発も発表しています。
[Image : Dennis Wise / University of Washington]
[Source : Washington University(PDF)]
腫瘍の良性悪性を10秒で判定するペン型デバイス
このデバイスを手術の最中に使用することで、医師は癌を取り残すことなくすみずみまで除去できます。研究者らは、人の組織253か所のサンプルを使ってMasSpec Penをテストし、96%以上の正確性があることを確認済みです。
ペン状デバイスではあるものの、質量分析計そのものはかなりの図体であるため、開発チームはできるだけ小型かつ安価に改良する必要があるとしており、2018年にはプロトタイプを試せるようにしたいとしています。
[Image : Vivian Abagiu / University of Texas at Austin]
[Source : Science Translational Medicine]
イカスミで歯周病検査が痛くなくなる
イカスミにはメラニンのナノ粒子が豊富に含まれており、口に含めば歯と歯茎の間にそれが浸透します。その状態でレーザーを照射すれば、ナノ粒子が膨張するため、歯周ポケット部分が膨らみます。それを超音波で検出することで歯間ポケットの位置をマッピングできるという仕組みです。
マッピングの結果ポケットの深さが2mm未満であれば、その部分は健康です。しかし、それ以上に深ければ、歯周病の徴候と判断され、深ければ深いほど悪い状態となります。
これまでは歯周ポケットを1本1本調べる必要があったのに対し、レーザーの照射範囲内を一度に調べられるのが新しい方法のメリットの一つです。ただ、レーザーはコストがかさむため、技術者らはより手頃なLEDで同じ役割を果たせるよう開発を続けています。
[Image : Justin Lewis]
[Source : UC San Diego]
空飛ぶ人型ロボット
鉄腕アトムやサイボーグ009に登場するジェット(002)をはじめ、SFやアニメの世界では人の姿をしたロボットが空を飛ぶのは珍しいことではありません。しかし、現実の世界では最近になってようやく人型ロボットが上手に2本の足で歩行できるようになったばかり。大空はまだドローンが幅をきかせているテリトリーです。
しかし、イタリア工科大学(IIT)の研究者グループは、開発している人型ロボットiCubの手足にジェットエンジンを取り付けた、"アイアンマン風システム"を備えたロボットを大空に飛ばせる研究をしています。
アイアンマンの飛行スタイルは手のひらと足の裏からのジェット噴射で推進と姿勢制御を行います。すでにこれと同じことを実践している人もいるものの、これはSFの世界だから簡単にできること。相当な訓練を積み重ねても、いまだ大空高く舞い上がるには至っていません。
しかしIEEE Robotics and Automation Lettersに掲載された論文によると、研究者らはiCubロボットの手足にスラスターを搭載した状態をソフト的にシミュレーションして、上手く姿勢制御するための基本的なフレームワークを詳しく記しています。
まだ基本的な研究であるため、シミュレーションでは空力的な問題や細かい周囲環境の影響を考慮しておらず完全ではありません。しかし研究者は、この研究が将来的に人が装着する飛行外骨格の叩き台になる可能性があり、さらには手足の推進システムを利用した高速ジャンプ/ランニング機能の開発につながることもありえるとしています。
[Image : Dynamic Interaction Control Laboratory]
[Source : IEEE Spetrum]