またテクノロジーニュースサイトThe Registerは、9月25日付けの記事でやはり受信部が落下し、その破片が反射鏡にいくつかの穴を開けたと報じています。
設備面での被害はかなり大きそうではあるものの、Universities Space Research Association(USRA)職員5名を含む天文台職員とその家族は安全な場所に避難していたため、けが人などが出ていないのは不幸中の幸い。ただ施設にはおよそ1週間分の食料と井戸、そして発電機があるとしているものの、9月22日の時点では天文台への道路が通れない状態と報じられており、物資の補給ができないところは気がかりです。
USRAの科学担当上級副社長ニコラス・ホワイト氏は天文台の状況について「被害の完全な評価、必要な修理規模、観測再開時期についてまだ話せる状態ではない」と述べています。またプエルトリコ電力局(PREPA)は全国送電網がハリケーンによって完全に閉鎖され、復旧には数か月がかかるとしており、これも天文台の機能回復に影響するかもしれません。
アレシボ天文台は、2017年春に米国立科学財団(NSF)が運営資金をおよそ1/4にまで減らすことを決定しており、今後の存続が危惧されています。NSFは資金不足分を提供してくれる外部組織が現れることを期待して呼びかけをしているものの、大きな支援元はまだ現れていません。アレシボ天文台にはほかにNASAなどが資金を負担しているものの、悪化する台所事情に追い打ちをかけるハリケーン被害が、アレシボだけでなく世界の天文学界に大きな影響をおよぼすのは間違いありません。
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